p142 留年の足音
文字数 955文字
「こういうことはよくあることだ。浮島クエストが長すぎて単位が足りなくなったり、菌類に寄生されたはいいが体に合わなかったり、犯罪に巻き込まれたり捕食者に襲われたりいきなり大災害に見舞われたり隕石が降ってきたり新種の生物と遭遇したり、誰もが順調に進級するのが難しい。留年しないで進級している方が珍しい時代だ。だが」
校長から降って来る花粉を吸いこんでしまい、ソロはむせた。
「柴田さん、この点数っ、どうして、なんでっ・・・・・・! 」
校長がプルプルしながら期末テストの答案用紙をトランプのように広げた。
これから神経衰弱でもやるのかという勢いで。
「ゼロ、ゼロ、ゼロ、ゼロZERO! Z! E! R! O! 」
「あっ、それ違う紙に答え書いちゃったかも」
「どうっ……! しっ・・・・・・! って? 担当教諭の筆跡で名前は書いてあるけれど、柴田さんはどうして、名前も書いてなかったの? 」
「問題用紙に書きました」
「名前と答えを書いた問題紙はどこやったのかな? 」
「確か後ろからプリント集めにきたヤツに渡したんだけど、たぶん間違って答え書いてない方の紙渡しちゃいました。答え書いた紙はすぐ捨てました」
「柴田さん、今の時点で進級の単位が足りないんだ。学年末テストで満点を獲得しても、単位が足りないんだ。この期末テストが、ボーダーラインだったんだ」
「てことは、学年末テストはやんなくていいってことですか? 」
「違う、ちょっと違う、そうじゃ、そうじゃない、そうじゃないんだ・・・・・・」
頭が山茶花の校長が長い手足を震わせて、必死になってキャピタルでもわかるように説明している。赤い花に黒いスーツが映えて、たまらなく格好良いのがまた、悲壮感を際立たせている。
校長が震えるたびに黒いスーツに黄色い花粉が付着して、金箔のように目立っているのも良い。
雷を自在に操る無敵の校長も、話が通じない奴には苦戦するのである。
すると、廊下から威圧感満載の足音が聞こえてきた。
「リローマッソぁアアアルルルる! 」
巻き舌の雄たけびに反射的に身を伏せると、チビのバンクが扉を蹴破って現れた。
ソロのBM菌を回収していないから、あのサイズのままなのだそうだ。
冬なのに半袖のTシャツとハーフパンツ姿で、兄弟そろって夏休みのような格好をしている。
校長から降って来る花粉を吸いこんでしまい、ソロはむせた。
「柴田さん、この点数っ、どうして、なんでっ・・・・・・! 」
校長がプルプルしながら期末テストの答案用紙をトランプのように広げた。
これから神経衰弱でもやるのかという勢いで。
「ゼロ、ゼロ、ゼロ、ゼロZERO! Z! E! R! O! 」
「あっ、それ違う紙に答え書いちゃったかも」
「どうっ……! しっ・・・・・・! って? 担当教諭の筆跡で名前は書いてあるけれど、柴田さんはどうして、名前も書いてなかったの? 」
「問題用紙に書きました」
「名前と答えを書いた問題紙はどこやったのかな? 」
「確か後ろからプリント集めにきたヤツに渡したんだけど、たぶん間違って答え書いてない方の紙渡しちゃいました。答え書いた紙はすぐ捨てました」
「柴田さん、今の時点で進級の単位が足りないんだ。学年末テストで満点を獲得しても、単位が足りないんだ。この期末テストが、ボーダーラインだったんだ」
「てことは、学年末テストはやんなくていいってことですか? 」
「違う、ちょっと違う、そうじゃ、そうじゃない、そうじゃないんだ・・・・・・」
頭が山茶花の校長が長い手足を震わせて、必死になってキャピタルでもわかるように説明している。赤い花に黒いスーツが映えて、たまらなく格好良いのがまた、悲壮感を際立たせている。
校長が震えるたびに黒いスーツに黄色い花粉が付着して、金箔のように目立っているのも良い。
雷を自在に操る無敵の校長も、話が通じない奴には苦戦するのである。
すると、廊下から威圧感満載の足音が聞こえてきた。
「リローマッソぁアアアルルルる! 」
巻き舌の雄たけびに反射的に身を伏せると、チビのバンクが扉を蹴破って現れた。
ソロのBM菌を回収していないから、あのサイズのままなのだそうだ。
冬なのに半袖のTシャツとハーフパンツ姿で、兄弟そろって夏休みのような格好をしている。