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文字数 992文字

 明らかに(くさ)いって言おうとした。

 たぬキノコにあんなこと言われたら立ち直れないかもしれない。

「ソロはどうしたの。さっきキャピタルがドッグフードを三粒枕元に」

「オレは換気の為に起きた」

「ソロ、僕が校長先生から聞いた話、聞く勇気があるかい? 」

「今日は何を聞いても驚かないぜ。頭に花まで咲いちまったし」

「とっても素敵だよ」

「・・・・・・どんなふうに素敵・・・・・・? 」

「トロピカル」

 トロピカルが悪いのではない。
 ソロの素敵のイメージがトロピカルではないだけで、決してトロピカルがネガティブなわけではない。

「トロピカル」

「二回言うな。校長の話を聞かせてくれよ」

「校長先生がバンク少佐から聞いた話によると、林田は捕食者になってしまったんじゃないかって。バンク少佐が跳ね飛ばしたツル太郎の首が、林田と同じ顔だったから、って」

「あ・・・・・・、やっぱり、そうだったんだ」

「そんな予感があったんだね」

「林田とツル太郎が同じ顔だって、知ってた。でも、誰にも言えなかった。言ったらもう、誰も林田を探してくれない気がして」

「そうだね、捕食者になってしまったって知れたら、捜索は打ち切られていたと思う。もう一つあるんだ。首を()ねたツル太郎にBM菌をくっつけておいたんだって。そしたら、ソロと接触した痕跡がバンク少佐側のBM菌に伝わってきたんだって」

「はあ? オレが? ツル太郎に? 」

「ツル太郎の首と、どこかで遭遇した? 」

「そんなもん転がってたら通報もんだろ」

「僕も夜に紛れて身を潜めていたとか、ソロの家のゴミに(まぎ)れていたとか考えたんだけど」

「生首があったとしても、気が付かねぇくらい荒れてっからなぁ・・・・・・」

「それくらいしか思い浮かばないよね。でも、バンク少佐はツル太郎とソロが話をし
ていた、って言ってたんだって」

「何時ぐらいの話なんだろ。昨日はお袋とじいちゃんと一緒に雷に(ひた)って、たぬキノコと燃えるプロトタキシーテス見て、そのあと図書館行って・・・・・・」

 直接言葉を交わしたのは、図書館のスタッフ、ケンカを売ってきた三人組、ガラテア。

 どう考えてもガラテアが怪しいが、生首なんか持っていなかった。

「ソロがツル太郎と接触していたっていう確証をバンク少佐から得られなかったから、校長先生はさっき戦ったんだ。引き渡すわけにいかない、って」

「ラスボス感すごかったな。で、どっちが勝ったか、わかるか」
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