p68 ファンドに撃沈
文字数 932文字
それは好都合だ。しかし、頼まれごととは何だろう。
「頼まれ事って? 」
「今日発売の漫画の新刊買って来てって」
「自分で買いにきゃあいいのに。そんなに欲しい本なら予約しとけよ」
「忘れちゃったんだって。先着順で限定グッズが付いてる本だから、買いに行ってほしいんだってさ」
ファンドが休みの日に、そんなことをやらせるゲロビンタにも腹が立つ。
「兄弟の都合に合わせて、ねーちゃんが自分の予定変更することないと思うけど」
いつもだったら余計なことは言わないのに、今回はつい、口に出してしまった。
「一緒にプロトタキシーテス見に行こう。このタヌキも一緒に行くんだぜ。なっ、たぬキノコ、お前もねーちゃんと一緒に行きたいよなっ? 」
「急にどうしたの? 僕の魅力をあざといって断罪したくせに」
「許せ、たぬキノコ」
「別にいいけどね。このお姉さんと一緒に行けるとイイね」
たぬキノコはファンドに軽く流し目を送り、用も無いのにそこら辺をうろついた。
自分が歩けば黄色い声援が飛んでくることを良くわかっての行動である。
トコトコ歩き回る姿が可愛いことを、たぬキノコはきちんと自覚している。
「なあ、ねーちゃんもプロトタキシーテス見に行こうよ」
「どうしよう、行きたいなぁ」
「この唐草模様 の風呂敷巻 いてんのも、ポイント高くね? 」
「ホントだ、可愛い。何か入ってるの? 」
「いも」
「かぁわいいぃいい~」
勝算あり。とソロは確信した。
だが
「でも、やっぱいいや。彼氏と見に行く」
重い静寂がソロの全てを覆った。
「ああ・・・・・・ソロ・・・・・・」
たぬキノコから同情の籠 った信号を一心に注 がれる。
「ありがとね、夜青龍 。ゴハン奢 れなくなっちゃったからさ、これ、みんなで食べて」
ずっしりと重いバスケットを手渡されたが、持ち手が耐荷重の限界を超えていたのか、ソロが持った瞬間破損して足の甲に直撃した。
「やだゴメン! 大丈夫? 」
「うん・・・・・・」
「僕の風呂敷 を使って」
たぬキノコはジェスチャーでファンドに自分の風呂敷 を使うよう促した、が、人間に通じるわけがない。
「タヌキ、どうしたの。私のとこに来れば一生大事にしてやるぞ」
近くに寄って来たのをこれ幸いと、撫で繰り回されて終わった。
撫でられ損も甚 だしい。
「頼まれ事って? 」
「今日発売の漫画の新刊買って来てって」
「自分で買いにきゃあいいのに。そんなに欲しい本なら予約しとけよ」
「忘れちゃったんだって。先着順で限定グッズが付いてる本だから、買いに行ってほしいんだってさ」
ファンドが休みの日に、そんなことをやらせるゲロビンタにも腹が立つ。
「兄弟の都合に合わせて、ねーちゃんが自分の予定変更することないと思うけど」
いつもだったら余計なことは言わないのに、今回はつい、口に出してしまった。
「一緒にプロトタキシーテス見に行こう。このタヌキも一緒に行くんだぜ。なっ、たぬキノコ、お前もねーちゃんと一緒に行きたいよなっ? 」
「急にどうしたの? 僕の魅力をあざといって断罪したくせに」
「許せ、たぬキノコ」
「別にいいけどね。このお姉さんと一緒に行けるとイイね」
たぬキノコはファンドに軽く流し目を送り、用も無いのにそこら辺をうろついた。
自分が歩けば黄色い声援が飛んでくることを良くわかっての行動である。
トコトコ歩き回る姿が可愛いことを、たぬキノコはきちんと自覚している。
「なあ、ねーちゃんもプロトタキシーテス見に行こうよ」
「どうしよう、行きたいなぁ」
「この
「ホントだ、可愛い。何か入ってるの? 」
「いも」
「かぁわいいぃいい~」
勝算あり。とソロは確信した。
だが
「でも、やっぱいいや。彼氏と見に行く」
重い静寂がソロの全てを覆った。
「ああ・・・・・・ソロ・・・・・・」
たぬキノコから同情の
「ありがとね、
ずっしりと重いバスケットを手渡されたが、持ち手が耐荷重の限界を超えていたのか、ソロが持った瞬間破損して足の甲に直撃した。
「やだゴメン! 大丈夫? 」
「うん・・・・・・」
「僕の
たぬキノコはジェスチャーでファンドに自分の
「タヌキ、どうしたの。私のとこに来れば一生大事にしてやるぞ」
近くに寄って来たのをこれ幸いと、撫で繰り回されて終わった。
撫でられ損も