骨は珊瑚、目は真珠アゲイン
文字数 803文字
天井から——水面から、おだやかな光が射す。
きらめきながら降りてくるのは——
(
より合わされた、赤い糸と青い糸。
動脈と静脈のように。
その血脈の緒で吊り下げられ、剣はゆっくりと沈んでくる。切っ先を下に向けて。
そして止まる。
顔の真上で。
口から吐いた泡が切っ先で割られ、二つになって、天井へ昇っていく。
ふいに刀がふるえ出し、見る見るうちに数十
つぎつぎと投げこまれ、横たわる体は刀の山に埋もれていく。
(父上)
とめどなくあふれる涙が、潮となって打ち寄せる。
身を裂き骨を食むこの口惜しさは、いつになったら消えるのだろう。
裏切りは許せない。
裏切りだけは。
父上のご無念、二度とくりかえさせはしない。
父
一族の長が、名をはせた武者が、湯殿で。
ひと振りの刀もなく。
ひと振りの……
血縁も「昔のよしみ」も信じない。信じるものか。
きずなを結び直すのだ。新たに。
真実絶対の信頼関係を築く。主従のあいだに。
なれあいやひいきではなく、まことを尽くした者にはまことをもって報いる、純粋な、画期的なシステム。徹底した実績評価。そんなシステムを構築する。
(わたし独りで?)
いまこそおまえの助けが必要なのに、なぜおまえは邪魔ばかりする? 九郎……
宝剣など、沈ませておけ。
朝廷からは離れる。彼らの庭では遊ばない。
清盛入道ほどのお人にして、あの
当然だ。あれは彼らの、彼らによる、彼らのためのゲームなのだから。
勝ちたかったら、彼らのフィールドで戦ってはならない。
新しいゲームを始めるしかない。わたしたち独自のゲームを。
(なぜそれがわからない。わかろうとしない。九郎)