第7話 なぜ、どうして、と、言われても。
文字数 2,758文字
ひと串六つのテラリと光るもち玉は残り三つ、一口で半分も食べたの…!?他人のもちもちを!?
私なら一玉づつ味わって食べるのに…美味しそうなもちもち…食べたい!
恥ずかしい音が私のお腹当たりからした。
今朝ご飯は頂いて、腹持ちもしている。お腹が減って出た音ではない。
甘いもの対する求愛の鳴き声だ。
お腹さんの。
すっごい見下した顔も、もちもちに隠れて今は見えない。
もちもちの弾力、触感。甘い甘い3種類の中身…!あぁ美味しい!生きてて良かった!
まだ頬張ったほっぺの内側が甘い。
こんなに喜びをくれたのだ、商品名には目をつぶろう。
あと二串は食べないと。
タチとズーミをその場に置いて、速足でお店へと向かう。
私が楽しむことのできない視座の物語。
劇を囲む人垣はここからでも見えるが、幸い演者の声は聞こえてこない。
はずだった。
私の頭に響く落ち着いた声と、人垣の盛り上がりは一致していない。
でも、行きと帰りで露骨にテンションが違うから仕方がない。
心配してくれているんだか、からかってるんだか。
二人仲良く私を取り囲んでるけど、昨日殺し合いをしていた記憶は残ってないのだろうか?
傍から見るとただの仲良しさんだ。
あれ?どの串にも玉が五個しか刺さってない。無意識に一個づつ食べたのか私?
最初に出会ったズーミのもちもち殺しは、確かひと串六つだったはず…。
みんなの串から一個づつ盗んだ疑いはあるけれども。
まだ昼日中、ほかにも美味しそうな出店は沢山ある、色々食べ歩いて楽しむのだ。
ゴゴゴゴゴ
それも結構激しく。
私も激しい揺れでバランスを崩しかけるが、タチが支えてくれた。
もちろん腰に手を回し胸を触るかたちで。
無意識でコレなんだろうか…咄嗟の行動でよくもまぁ。
助けられた、という文句のつけにくい状態がまたいやらしい。
そんなくだらない思いを抱いていると、急にボコリと地面がせりあがった。7メートルほど。
あんなに激しかった揺れは既におさまっていた。

とっても面倒なことがまた始まりそうである。