第55話 わっちゃわちゃ!
文字数 1,788文字
昨夜と同じ階段そばのテーブルは、二つ分が横合わせになり賑わいが増している。
ズブズブと頭突きをかまし、角を刺すユニちゃんと。
意にも介さず私にお触りする、笑顔のタチ。この二名が主な原因で。
タチは、まるで可愛い子犬とじゃれ合うように振舞うが、対するユニちゃんの怒りは本物。
互いに本気でぶつかり合うが、ユニちゃんの見た目の愛らしさが、どうしても殺伐さを打ち消してしまう。
向かいの席では、本当に犬の様に鳴く、どうみても成人男性のポチ君が酒を浴びるように飲んでいる。
…非常に触れづらい。
タチから事情を聴かされた私の素直な気持ちだ。
誰に対する褒め言葉なのか不明だけど、終始ご機嫌のタチ。
この席についてから、私はずっと体を撫でまわされてるが、気にすることなく食事を進める。
なんならちょっと安心してる。
タチが私を確かめると、私もタチが確かめられるから。

化身の先輩にかしこまって、神様に耳打ちするのも変な話だが、今となってはそれが当然。
なぜなら私達は友達だから。
昨夜私がタチとイチャついてる間、てっきりみんなで話し合いを進めているとばかり思っていたけど…。
人間関係、力関係っていうのは複雑だね。
ごめん。こんな変なのしか居ない場所に置いて行って。
ごめんなさい。だって体を撫でまわされつつ、隣で喧嘩をされながら、美味しいご飯を食べてもので…。
あと、友人からのお悩み相談もあったし。
涙目でズーミちゃんの口を両手で抑えるストレ。
この二人は仲良くなれると思うんだよね。この集いで唯一常識があるし。
ナビは…どうだろう?
あっちでわちゃわちゃ、こっちもわちゃわちゃ。
一仕事終えたナビがテーブルに戻ってくるまで、私達はみんなで仲良く混沌茶飯事を楽しんでいた。