第1話 わたし神。

文字数 900文字

人として産まれたのは十三回目…ある時は聖女!ある時は魔法使い!切った張ったの大冒険を繰り広げてきたってわけです!
そうかい。そうかい。それは素敵なお話だねぇ~


 青空の下、カラカラと回る車輪に合わせ、痛む私のお尻と弾む会話。

 水の町エリンへと向かう馬車後部で、私とおばあちゃんが揺られていた。

それじゃあ、今回はどんな凄い力を持って生まれてきたんだい?


それが聞いてよおばあちゃん!なんとびっくり無能力!
 もう、三時間は揺られていただろうか。ぽかぽか日和とおっとりした相席者についつい事実をしゃべりすぎてしまう。
いっぺん死んでやり直しも考えたんだけどね…痛いのは嫌だからやめといたんだ!
輪廻転生…夢のあるお話だね~。もし本当なら来世でじーさんにまた会えるといいね~。
あえるよばーちゃん!!この能力無し才能無しのナナが保証したげる!
どん!と、それなりにある胸を張り一丁前にたたく。


元気なのは良いことだよナナちゃん。一緒にいるだけで元気がでるもの。
どういたしまして!

 道中の会話はずっとこんな感じだった。私が威勢よくわめき、
おばあちゃんがなんでも肯定してくれる…なんと気持ちのいいことよ!


湖によるなら、このあたりで降りなナナちゃん
御者のおじさんが振り向くことなく教えてくれる。
どーもどーも!じゃあ私はここで降りるね!
 カラカラ進み続ける馬車からぴょんと飛び降りる。

座りっぱなしだったお尻と太ももに木目がついてそうだ。

面白いお伽話だったよ~!あとお腹を冷やさないようにね~
おばあちゃんそれ3回目~!またどこかでね~!
 私がおへそ出しているのがよっぽど気になったんだろうな…変わらぬのどかな速度で進む馬車とおばあちゃんに手を振る。

 おじいさんとの初デートの場所、エリンにあるお魚料理店に向かうそうだ。

へそ…出してないと調子悪くなるんだよね…何度転生しても…
軽く伸びをして全身に血をながした後、お腹をなにげなくさする。
(お伽話か…まぁ普通そう思うよね。)
  そう、だからこそ今まで人に話したことはなかった「一区切り」を超えた思い出話…
 ぽかぽか日和とおばあちゃんおそるべし…と言ったところか。
神様なんだよね…私!
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登場人物紹介

[ナナ]

死んでもやり直し、同一の主観を持つ転生を繰り返している。

タチと出会い今、この瞬間、しがみ付いてでも離したくない思いを知る。

言葉の人。

「美味しいもの食べてる時が一番幸せ!」

[タチ・ユリ]

なんでもいける素敵ビッチ。

男も女も抱くし、責めも受けも味わう遊牧民の子。神を抱く女。

今を楽しむため、強靭で健康な肉体を悪魔と契約して手に入れた。

代償は寿命の半分と、子を宿す力。

肉体の人。

「うるさい。抱くぞ?」

[ズーミ]

水の化身。

化身として新米なため、のじゃ喋りで威厳を持たせようとしたりする。

人間大好き。

情の人。

[ユニコーン]

やっかい処女厨。

ナナが好き。タチが嫌い。

ナナを見守っていたくて、出会った時から追っかけをしている。

おぼれる人。

[ヒタム・ストレ]

前職をタチのせい(?)で追われ、新たな主人としてナナを追っかけている。

騎士でいたい人。

[黒衣の人(ポチ)]

増えた世界から、まっとうに転生してきた人。

奴隷を買いハーレムを築いたが虚しさを覚え、刺客としての役割を果たす。

タチは抱きたがっている。

寂しいおじさんの人。

「世の中を大切にしたいと思うわけがない、大切にされた覚えがないからな。」


[アチャ]

火の化身。

火の大陸で自らを神と呼ばせ、人を手下として使っている。

お気に入りの国に肩入れしたりもしてる。

[ナビ]

風の化身。

酒場でバイトしたりしている。

ウゴゴゴゴォ

[おばーちゃん]

「素敵じゃないの」

新機体。主人公だからね!

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