第68話 ポチ助。
文字数 1,197文字
光の化身イトラがヤウの手により消え去る少し前。
「黒衣の駄犬ポチ」と「泣き顔のストレ」の別働隊は、たった2人でダットを追い詰めていた。
ナナ達と別れ、もう一箇所の「土の化身ダッド」と接敵してから、既に何度か同じ言葉をストレはつぶやいた。
こちらに出現したダッドのサイズは、ナナ達が戦ったものよりだいぶ小さいサイズだとはいえ、攻撃の
元・
世界の始まりの神様とか、四大陸を
だが、共に戦う彼は少し違うようだ。
かつて敵側だったときより、強さが増している気がする。
鳴き声しか発さない異様さが、妙な迫力を付け加えているせいかもしれない。
ポチの主人に習った攻め攻めな襲撃により、ダッドの体積は少し大きな建物サイズまで減っていた。
A:タチ[神殺し]・私[神]・ズーミ[水の化身]・ナビ[風の化身]・ユニ[意地でもBに行かなかった]
B:ストレ[泣き虫一般人]・ポチ[心が折れたタチの犬]
なんとなく、ナナ達がいる方角の空を見上げたストレの目に、赤く燃える炎が見えた。
太陽ではない、はるかに小さいが、凶悪にメラメラと燃える塊がひとつ宙に浮いていた。
人型の炎が、上から偉そうに言葉を吐き捨てる。
イトラの側についた「火の化身アチャ」だ。
ポチが攻撃をやめたが、動かないままのダッドに優しい励ましの声をかけるアチャ。
ゆっくりとダッドの方へと進みゆく彼から、ストレとポチは距離を取る。
アチャが、嫌らしく口元を歪め手招きをした。
かかってこい、と。
突然変わった戦況に、頭を冷やせと言葉を続けようとしたストレだが、ポチが彼女の言葉を聞くわけがなかった。
なぜなら、ストレはポチの主人ではなかったから。