第56話 ストユニ同盟。
文字数 2,591文字
ナビがお仕事を終え、みんなで食事をしながらこれからの話をしている最中ストレが抗議の声を上げた。
もっか対処すべきは風の大陸に現れた、二体のダッド。
タチが仕切った組み分けは…
A:タチ[神殺し]・私[神]・ズーミ[水の化身]・ナビ[風の化身]・ユニ[意地でもBに行かなかった]
B:ストレ[泣き虫一般人]・ポチ[心が折れたタチの犬]
タチの見ていたのはダッドの次。光の化身イトラの存在。
確かに、ダッドを倒せばおしまい。という話じゃない。
タチが首をはねられてもトドメを刺されなかった理由も、私が今襲われてない理由もソコにある。
タチと私の合流。そして再び私の前で惨劇を見せる事…。
ナビがタチの班分けに同意をしめす。
ポチの馬は見たことがある。彼が指を鳴らすと雷が落ち、黒い馬が現れるのだ。
話の流れからすると、ナビの言う「雲」も移動手段なのだろう。
嬉しそうに
一人、ダッドに立ち向かうご褒美が撫でられるぐらいじゃ可哀想というか…。
私、常時たくさん撫でられてるし。
反論の余地が消え、ストレも決意を固めた。
ごめん。ダッドに立ち向かうのは、ポチ君一人じゃなかった。
周りが濃すぎて、いつもストレちゃんの存在を忘れてしまう。
元は国に仕える騎士だった彼女。今でもその在り方に
しかし…。勝手に着いてきたのが始まりとは言え、私の方からすると、完全に巻き込んでしまった感があるのだけれど…。
少し嬉しそうに膝まづく彼女を見ていると、その心意気を無下にはできない。
膝をつき、槍を私に捧げ、頭をたれるストレ。
久しぶりのそれっぽいやり取りに、満足そうに立ちあがる。
その体にも、心にも、気力が溢れていた。
私が共に居る時は、泣き顔ばかりが似合う彼女だったが、騎士として振舞う姿も十分、
溢れた気力そのままに、ストレはタチの方へと向き直り、人指し指を「ビシ!」っとさす。
足元に立つ賛同者。ユニちゃんも、いつの間にか同じように指でさしてる。
私が居ない間も、二人は共にいたはずだけどお互いの溝は埋まっていないようで…。
むしろ私が合流したことで、再発したのかもしれない。
ストレはしゃがみ込み、ユニちゃんと肩を組む。
良かったね。色んな所がいがみ合う (主にタチを中心にだけど)仲間内でも、新たな友情が目覚めたよ。
まるで母親のように、私の今後を心配してくれるストレ。
ストレの言いたいこともなんとなくわかるんだけど、恋は惚れた奴の負け。
それでいうと私達はどっちが負けなんだろう?
すっごい勝ち誇った顔でストレとユニちゃんを見下すタチ。
うんうん。わかるよ。めっちゃくちゃ腹立つよね。
でもその顔ですら、私はずっと見ていたいんだ。
偉そうに、上から二人を抱きしめようとして猛烈な反発にあうタチ。
その反撃すら嬉しそうに味わっている。
どこまでも勝手で、どこまでも自由な存在タチ。
ナビの言葉が私の心にしみる。
たぶんちょっと優越感。神としてはダメな感情の抱きな気もするが、感じたものはしょうがない。
これから起こるダッド・イトラとの戦闘を前に、変なスイッチが入って燃え上がるタチ。
火が燃え移り吠えるポチ。
あらがうストレとユニちゃん。
お酒も入ってないのに騒がしい机だ。
そんな騒がしさを横目に、私はズーミちゃんとナビと食後のお茶をすする。
タチガールの私としては、もうとりあえずタチの一人勝ちでいいんじゃないかな?と思ってしまう。
神としてダメなのはわかってるよ?