第33話 紫陽花

文字数 4,045文字

 六月の初夏、柔らかな陽射しが降り注ぐ中、私たちは変わらぬ日常に取り組みながらも、命がけで挑んでくる刺客たちに対処していた。彼らは、まるで感情のない機械のように、ただ上からの命令に従い、無慈悲に私たちを襲ってきた。その冷徹な姿に、私の心はいつも不安と緊張でいっぱいだった。

 移動の際には藤堂さんが運転する車に乗り、降車後も複数人の護衛に守られながら、私たちは慎重に行動をしていた。幸いにも、郭外の虎洞寺氏は術者の人相や特徴を含めた全情報を把握(※)しており、そのおかげで私たちは比較的安全に過ごすことができた。

 虎洞寺邸にある天の地下本部には巨大なデータサーバーがあり、石与瀬各所の防犯カメラともリンクしていた。さらに、非合法にも必要に応じてドローンを飛ばし、私たちに近づく人間を監視する仕組みが整っていた。変装などはすぐに見破られ、データベースとAIの画像解析によって素性が瞬時に割れてしまう。その徹底ぶりには、驚かされると同時に深い安心感も感じていた。

 戦いの場面では、私は決して相手を傷つけることはしなかった。私の目的は相手が蓄積している精霊子を強奪し、一時的に無力化させることにあり、それによって自分の器の容量を拡大することが唯一の目標だった。

 だからこそ、降りかかる火の粉を払いのけることはあっても、命を奪うことは考えられなかった。その勇気も、決意も、私には持ち合わせていなかった。

 しかし、任務に失敗した者たちの行く先にどんな処分が待っているのかは、私には全く想像がつかなかった。それが深淵の冷徹さそのものであり、その不安は私の心に深く根を張っていた。こうした現実を真凜にはどうしても伝えられなかった。彼女には、この無情な世界の一端を知ってほしくなかったし、知ったところでどうしようもないと感じていた。

 この馬鹿らしい力が一刻も早く消え去ってしまえばいい。それが私の心の奥底からの切実な願いだった。

 そのために、私がすべきことは黒鶴の力を駆使し、精霊子の器を完成に近づけることだった。そして、根源を再生し、解呪を成就させる。これだけが、力の束縛から解放されるための道だった。しかし、完成には一つの重要なピースが欠けている。「導き手」と呼ばれる存在が、まだ見つかっていなかった。

 それでも、私は立ち止まるわけにはいかなかった。たとえどれだけ険しい道であっても、私には他に選択肢がないのだ。

       ◇          ◇        

 ある日、しとしとと降り続く雨の中、私たちは静かな道を歩いていた。傘の下、雨の音だけが静かに響く。濡れた舗道が淡い光を反射し、私たちの足音を優しく包み込んでいた。

 私は足を止め、ふと視線を道端の紫陽花の花に向けた。花びらは淡い青と紫のグラデーションを描き、雨に濡れて一層鮮やかに輝いていた。その色合いの移ろいが、まるで雨の中でひとときの静かな美しさを作り出しているようで、私の心に深く染み入った。

 私の指が花びらに触れると、その柔らかさとひんやりとした感触が、心をそっと和ませた。雨に濡れた花々が、私の心に潤いを与えてくれるようで、まるで小さな宝物を発見したかのような幸福感に包まれた。それは、長い間閉ざしていた感情の扉が、ほんの少しだけ開かれたような感覚だった。

 しかし、私は驚きと戸惑いを覚えた。この心地よさは、本当に私が望んでいいものなのだろうか? 今ここで感じている幸福は、解呪と弟の奪還という目的のために生きる仮りそめの命に相応しいのだろうか。私はいつか消えていくしかないと理解しているのに、こんなにも心が温まっていいのだろうか。

 茉凜が振り返り、花に触れる私の様子を見て静かに声をかけた。

「弓鶴くん、どうしたの?」

 その声に気づくと、私の心は一瞬で冷たく閉ざされた。心の中で「こんなことを感じるべきじゃない」と自分に言い聞かせ、感情を再び押し殺そうとした。

「紫陽花の花、好きなの?」

 茉凜の問いかけに驚き、私は慌てて手を引っ込めた。雨の雫が花びらからこぼれ落ち、その瞬間、恥ずかしさと共に、素の自分が見えてしまったことに、ほんの少しの照れくささを感じた。隠していた感情が無防備にさらけ出されたようで、心の奥深くでわずかに動揺していた。

 その感情を隠すために、私は少し寂しげな口調で話し始めた。心の奥に秘めた感情を誤魔化すために、紫陽花の花言葉や花にまつわる話を茉凜に語り始めた。話すことで、自分を取り繕い、隠しきれない感情が表に出ることを防ごうとした。

 すると、茉凜は明るい声で提案してきた。

「そうだ、弓鶴くん。次の休みにどこか行かない? 紫陽花がいっぱい咲いているところとか、どうかな?」

 その言葉を聞いた瞬間、私は一瞬言葉を失った。心の奥底に封じ込めていた感情が、ざわめき始めたのがわかった。茉凜の言葉に心が揺れたのは否定できなかったが、それを認めるのが怖かった。彼女との距離を保ち続けることが、自分を守る唯一の手段だと信じていたから。

「俺は……別に行きたくもないが、真凜が行きたいというなら、かまわない」

 その言葉には、茉凜と一緒に過ごす時間が増えることへの微かな期待感が含まれていた。しかし、その感情を意識しないように必死で努めようとしていた。

 でも、茉凜はその裏に隠された私の本心を察していたに違いない。彼女は経験上から、私の反応を見抜く術を知っていて、どんなに冷静を装っても、私の感情はどこかで漏れてしまうのだった。

 茉凜は、そのすべてを見逃さず、私を優しく見守っていると感じていた。彼女の無邪気な提案が、私の心にさらなる混乱をもたらすと同時に、温かさと共にどこか不安をも呼び起こしていた。茉凜と過ごす時間が私にとってどれほど大切で、同時にどれほど危険であるかを理解しつつも、その感情に正直になれない自分が、歯がゆくて仕方がなかった。

       ◇          ◇

 日曜日の朝、藤堂さんが運転する車で、私たちは目的地に向かっていた。石寄瀬の街から四十キロほど離れた場所にある紫陽花畑で有名なお寺が、茉凜が事前にネットで調べて選んだ場所だった。

「さあ、行こう!」

 車を降りた瞬間、茉凜は元気よく私の手を引っ張って駆け出した。その勢いに驚いて、私は一瞬固まってしまった。

「ちょ、ちょっ待ってよ!」

 慌てて呼び止めたものの、私は自分が美鶴としての素の反応を出してしまったことに気づいて、内心で狼狽していた。もしかしたら、茉凜に何か勘付かれてしまうのではないかと、心配になった。

 しかし、その心配は杞憂だったようで、茉凜は特に気にする様子もなく、ただ楽しそうに私の手を引いて歩き続けた。彼女の明るさに、私の不安は少しずつ和らいでいった。

 参道を進むと、両側に紫陽花が咲き乱れ、視界にはまるで花の海が広がっていた。雨上がりの空気の中で、紫、青、赤と様々な色合いの花々が一層鮮やかに輝いていた。その色とりどりの花々が、心を穏やかにしてくれるようで、胸の奥に温かさが広がる感覚を覚えた。

 参道をさらに進むと、紫陽花に囲まれた池が見えてきた。池には古びた橋が架かっており、橋を渡ると池の反対側に到達できるようになっている。木々の緑が水面に映り込み、まるで水彩画のような美しい風景が広がっていた。

 私はその景色に心を奪われ、自然と深呼吸をした。紫陽花の香りがふわりと漂い、心が落ち着く。茉凜がそばにいることに気づき、その存在が私の心をさらに安らげていることを感じた。彼女の無邪気な笑顔と、自然の美しさが一緒になったこの瞬間が、私にとってどれほど大切なものなのか、少しずつ理解し始めていた。

 「すごく綺麗だ」と私は心からの感想を漏らした。茉凜も同じように目を輝かせて、花々の間を歩いている。彼女の嬉しそうな顔を見ていると、私も自然と笑顔がこぼれる。こうして過ごす時間が、私にとってどれほど心地よいものであるかを、改めて実感していた。

「ね? 来てよかったでしょ?」

 茉凜の無邪気で明るい表情が、私の心を和ませていた。その笑顔は、心の奥底にある深い罪悪感を少しだけ和らげてくれるように思えた。

 やっぱり、彼女の笑顔を見るのは嬉しかった。どこか不安を抱えながらも、こうして一緒に過ごす時間が私にとってどれほど大切なものであるかを、しみじみと感じていた。

 「あ、そうだ!」

 茉凜が何かを思いついたようで、突然声を上げた。どうやら、記念写真を撮りたいらしい。彼女はスマホを取り出し、私をその場に強引に引き寄せた。私は少し抵抗したものの、彼女の勢いに押し切られて、渋々写真に収まることになった。

「おい、ちょっと待てっ!」

 写真が撮られる瞬間、私は思わず目を閉じてしまった。スマホのシャッター音が響くと、茉凜は楽しそうに写真を見せてくれた。そこには、私が引きつった顔で写っており、それを見た彼女は心から楽しそうに笑った。

「ひ、酷いぞお前。こんなものすぐに消せ!」

 私の顔は思わず赤くなり、声を上げてしまった。彼女の前では、いつもの冷静さがどこかへ消えてしまい、恥ずかしさと照れくささが一気に押し寄せてきた。

「いいじゃないの。この顔、最高だよ」

 茉凜の言葉に、私はますます顔を赤らめた。彼女の無邪気な言葉に、どうしても自分の感情を抑えきれず、恥ずかしさに溺れていくのだった。

 そんな風にして、私の心は溶けていったのかもしれない。彼女の存在が、少しずつ私の心の壁を崩し、深い部分に眠る感情を呼び起こしていくようだった。茉凜と過ごすこの瞬間が、私にとってかけがえのないものになっていたのだ。


※ 外郭組織『郭外』が依頼の橋渡し役をし、それに基づいて術者が派遣される仕組み。郭外は術者に協力する。そうした都合を利用して、虎洞寺氏は秘密裏に術者を把握するリストを作り上げていた。ただし、三家に関してはアンタッチャブルで、鳴海沢の接近を察知できなかった。
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登場人物紹介

ミツル・グロンダイルのキャラクター設定

基本情報年齢: 12歳(外見年齢)


外見: この大陸では珍しい黒髪と薄緑の透き通った瞳。美しい容貌だが、体型は少し少年のようで、まな板の寸胴であることに敏感。自称年齢: 21歳(前世の記憶を持つため)


性格: 冷淡に見えながらも実は直情的で、一人でいることを好む。時折無邪気な一面を見せることがある。前世の記憶と現在の状況の狭間で揺れ動き、冷静な大人の一面と子供っぽさが共存する複雑なキャラクター。


好物

食事に関しては美味しいものを少しだけなタイプ。剣の中の茉凜がアルコール依存になってしまったため。最近はお酒も嗜む。


社会的関係: 引っ込み思案で人付き合いが苦手なため、孤独を好む。しかし、孤独を埋めるために時折無邪気な一面を見せる。自分の力や能力に対する内なる葛藤と向き合いながら、過去の記憶と現在の状況の狭間で揺れ動く。


ミツル・グロンダイルの物語における役割

憧れの存在: ユベル・グロンダイル(父)の影響を強く受けており、彼の戦闘スタイルや技術に憧れを抱く。父の遺志を継いで魔獣を狩る役割を担う。

遺産と使命: 父が遺した白きマウザーグレイルを持ち、彼の意志を継ぐ重要な役割を果たしている。彼女の能力と背景は、物語の重要な要素となっている。

謎と葛藤: 彼女の能力と前世の記憶には深い謎があり、物語の進行とともにその全容が明かされる可能性がある。彼女の内面的な葛藤や成長は、物語の核心に深く関わっている。


前世の名前: 柚羽 美鶴(ゆずは みつる)

年齢: 不明(死後、弟の弓鶴に憑依しているため、年齢としては弓鶴の年齢に準じる)

性別: 女性(現在は弟の弓鶴に憑依中)

出身地:九州地方某県の山中の柚羽家(深淵の三家の一つ、始まりの回廊の守護者)

職業: 柚羽家の後継者で深淵の始まりの回廊の巫女


 美鶴は深淵の三家の一つである柚羽家の長女であり、始まりの回廊の守護者。柚羽家襲撃事件で両親を失った後、叔父の虎洞寺氏に保護された。その後、両親の死の真相を知り、自ら人身御供になる覚悟を決め、柚羽家の後継者となった。彼女は密かに深淵の根源の再生を図り、解呪に臨んだが、その試みは失敗し、死亡した。


その後

 美鶴はデルワーズの画策により、弟の弓鶴と意識と記憶の全情報を交換させることで、彼に憑依する形で生き延びる。弟を取り戻すために再び解呪に進もうとした際、茉凜と出会う。茉凜が持つ「黒」の力の安全装置としての役割によって、二人は運命共同体となることが決まる。


 自らが女性であることに対する戸惑いと、茉凜に対する淡い感情を抱くようになり、自分が本当は弟ではないことや、茉凜が見ているのは弟であることに苦悩する。


 美鶴は両親の死の真相を知った後、自らが柚羽家の後継者として深淵の根源の再生を図ろうとしたが、その試みが失敗したことに対する責任感を抱えている。


 茉凜の猛烈なアタックに対して、次第に閉じていた心を開き始めると共に、彼女に対して淡い心を抱く。しかし、自分が本来女性であることや、それを知られることを怖れて受け入れることに苦しんでいる。


 美鶴は茉凜と共に深淵の根源の解呪に挑む中で、茉凜の存在が自らにとってどれほど重要であるかを認識し始める。しかし、彼女は自分の感情と状況に苦悩し、特に自分が女性として抱く感情や、茉凜が見ているのが自分ではなく弟であることに対して深い悩みを抱えている。


深淵の黒鶴

 精霊子に対する感受性が極めて高く、世界に漂うすべての精霊子を集積できる。彼女の前世の名前(美鶴)と組み合わせて【黒鶴】と呼ばれる。限定された空間(場裏)を形成し、その中でイメージ通りの現象を具現化。四大元素すべてを制御可能で、並列起動による複合行使も可能。背中に現れる翼は物質的ではなく、彼女の願望を投影したもの。


場裏

 限定された空間を形成し、その中で事象を操作。色で呼称される流儀に基づき、たとえば赤であれば熱の操作に関わり、イメージのままに具現化できる。詠唱や魔道具を必要としない強力な魔術として認識されている。戦闘と


能力の影響

 ミツルの戦闘スタイルは、前世の影響を色濃く受け継いでおり、流動的で柔軟な戦術が特徴。彼女の能力は瞬時に強力な現象を引き起こすことができ、そのため精神的な負荷が非常に大きい。精神崩壊や自我喪失のリスクが伴う。


精神的負荷

 精霊子の収集と能力の使用により、大脳辺縁系に過大な負荷がかかり、精神的な負担が大きい。特に精霊子への感受性が高い彼女は、負荷に耐えきれず暴走する危険がある。

ヴィル・ブルフォード

 ミツルの前にふらりと現れた、ぼさぼさ頭の無精髭の中年剣士。『黒髪のグロンダイル』の噂を聞きつけて訪れたという、彼の真意と思惑は?

 自らを『放浪のしがない剣士』と言う割に、その剣技は一流で、歴戦の強者。『雷光』とあだ名されると対魔獣戦のエキスパートで、その戦いぶりはミツルも舌を巻く。


年齢 48歳

身長 190センチ近い

体格 大柄で強靭

出身地 不明

職業  剣士、冒険者、元リーディス王国銀翼騎士団右翼副長

髪: ぼさぼさの金髪。長さは無造作に伸びており、戦いの中で乱れたまま放置されている。

顔 無精ひげが顔全体に生えており、荒々しさと共に風格を漂わせている。

武器 中央に深い溝が彫られたブロードソード。鍛造で作られており、適度な粘りを持ち、滅多に折れない。


剣術スタイル

流派 雷光(らいこう)

特徴 巨体とその質量を生かした高速ダッシュ


戦闘スタイル

高速ダッシュ 雷のようなスピードで踏み込み、敵の懐に入り込む

敵の死角利用 相手の身体を死角として利用し、瞬時に繰り出される高速の斬撃で敵を仕留める

左手の傷 突きを繰り出す際に意図的に剣の先に左手を添え、敵の注意を引き付ける。実際の攻撃は横や下から繰り出されるため、非常に巧妙。猪突猛進型でありながらも、臨機応変に対応できる柔軟さを持つ。これは、変幻自在で『型』のないユベルと毎日修練を積み重ねた結果(苦肉の策)による。


戦闘技術

片手剣術 基本的には片手でブロードソードを操るが、必要に応じて両刀も使うことができる。戦況に応じて剣の使い方を変え、迅速かつ的確に対応。


特殊技

雷光突き 瞬時に高速で踏み込み、突きを繰り出す技

閃光斬り 一瞬の隙を突き、相手の死角から高速で斬撃を繰り出す技


特徴と戦術

巨体と速度を生かして、魔獣の懐に入り込み、致命的な攻撃を繰り出す。視線誘導の技術で、敵の視線を引き付けてから攻撃する。


心理と性格

戦場での冷静な判断力と卓越した技術で、数々の戦場で名を馳せる。敵の動きを見極め、最適な攻撃や防御を選択する。どんな状況でも冷静に対応し、自信を持って戦う。猪突猛進型でありながら、変幻自在の戦術を使いこなす柔軟さを持つ。


元リーディス王国銀翼騎士団右翼副長を務めた経験を持つ。騎士団時代の訓練と経験が、彼の戦術的な判断力と剣術の技術に大いに寄与している。特に、ユベルとの修練で得た経験が、彼の変幻自在な戦術に大きな影響を与えている。


その戦闘スタイル

一九〇センチ近い大柄な体躯を持ちながらも、その強靭な体に似合わぬほどの軽快さを誇る剣士。彼の手に握られているのは、ロングソードよりも短いブロードソードに近いもので、中央には深い溝が彫られている。この剣は鍛造で、適度な粘りを持ち、使い手によっては滅多に折れることがない。


ヴィルの剣術のスタイルは「雷光」と呼ばれ、彼の巨体とその質量を生かした高速ダッシュが特徴。彼は特に大きな魔獣を相手にするのが得意で、雷のようなスピードで踏み込むと、敵の懐に入り込み、相手の身体自体を死角として利用する。瞬時に繰り出される高速の斬撃で、敵を一気に仕留める。


特筆すべきは、彼の左手に傷が絶えないこと。これは、突きを繰り出す際に意図的に剣の先に手を添えて、その手に注意を引き付けるためだ。敵がその手に視線を奪われている間に、実際の攻撃は横や下から繰り出されるため、彼の戦術は非常に巧妙。


ヴィルの剣は基本的に片手で操られることが多いが、必要に応じて双剣で戦うこともできる。その柔軟な使い方と、雷光のような素早さを駆使して、彼は戦場でその名を轟かせた。

茉凜(マリン)のキャラクター設定


基本情報年齢: 17歳

身長: 173センチ

プロポーション:高跳びの選手かファッションモデルのようなスラリとしたかっこいいスタイル。ただし本人は自覚なしで自信がない。 


外見: ミルクティーブラウンの髪、大きな瞳、お日様のような笑顔。純粋で優しい少女の姿が特徴的。


性格: 天真爛漫でポジティブ。どんな困難な状況でも明るさを失わず、死の淵の絶対的不利な状況でも輝く。特に追い込まれるとスイッチが切り替わり、予知視界を用いる能力が発揮される。


背景前世: 元々は私たちの世界に住んでいた人物。異世界に突然放り込まれ、さらに剣の中に転生させられるという過酷な運命を辿る。


役割: ミツルの相棒であり、恋人(?)。彼女の無条件の愛情と楽観的な性格がミツルの心の支えとなっている。過去のトラウマ: 落雷事故によるトラウマがあるが、それを嘆くことなく明るさを保ち続ける。ミツルにとっては大きな支え。


能力と役割能力: マウザーグレイル経由の予知視界。死の淵での絶対的不利な状況でも特に有効で、剣の中にあるこの能力が最大の武器である。


役割: ミツルの『深淵の黒鶴』を制御するための安全装置(セーフティ)として機能。暴走を防ぐ唯一の手段として、ミツルとの接触と精神的な感応が必要。自身の全てを捧げる覚悟を持ち、ミツルを守ることを使命としている。


心情と内面愛情: ミツルに対して無条件の愛情を注いでおり、彼女の存在はミツルにとって欠かせない心の拠り所となっている。愛情が恋であることに気づきながらも、その感情を告白することはできない。


支え: ミツルの冷たい態度や無口さの裏に隠された繊細な心を理解し、彼の孤独や苦しみを誰よりも感じ取っている。彼の心の支えとなることを自分の使命と感じ、彼を守るために自分の全てを捧げる覚悟を持っている。


内面の葛藤: 弓鶴(ミツル)が自分にとって特別でなくなるのではないかという不安を抱えながらも、彼の幸せを最優先に考え、自分の感情を抑え込んでいる。仲直りを図る際には自分を押し殺して彼らの関係を修復しようとするなど、内面的には複雑な感情が渦巻いている。

白きマウザーグレイル

基本情報正式名称: 精霊器接続式対魔族兵装 MW-CSV-DD MAUSER-GRELL(マウザーグレイル)

形状: 純白のロングソード

特徴: 刃に相当する部分がなく、実質的には何物も斬れない

構造と材質材質: 不明。構成素材については詳細が不明だが、非常に高い堅牢さを誇る。

耐久性: どんな魔獣の攻撃にもヒビ一つ入らないほどの堅牢さを持つ。

重量: 見た目よりも軽量で、非力なミツルでも自在に扱える。

機能と特性魔導兵装: 剣の形をとった魔導兵装であり、実際には物理的に斬ることはできない。

潜在能力: 現在のところ、ミツルもその実体と潜在能力については把握していない。

補助機能: ミツルの持つスキル「真凜」が安全装置として補助を行っている。

戦闘における役割安全装置: ミツルが持つ「深淵の黒鶴」の能力を制御するための安全装置として機能する。マウザーグレイルが実際の戦闘では使われないが、その存在がミツルの能力の安定に寄与している。

象徴的な意味: 剣そのものは物理的な攻撃力を持たないが、深い意味や力を秘めている可能性がある。特に、ミツルの精神的、象徴的な支えとしての役割を果たしている。

謎と疑問実体の不明: 現状、剣の具体的な機能やその実体についてはミツル自身も把握していない。剣の持つ潜在的な力や目的については謎に包まれている。発見される

可能性: 今後のストーリー展開で、その真の力や役割が明らかになる可能性がある。

ユベル・グロンダイル

 ミツルの父で、『閃光』の異名を持つ変幻自在の剣術を操る天才。すでに故人である。


ユベル・グロンダイルのキャラクター概要

年齢と外見:

年齢:50代外見:かつて金髪だったが、現在は黒く染めている。無精髭を蓄え、スリムで筋肉質な体型。優雅な立ち姿と流れるような戦闘動作が特徴。


役割と経歴:

元リーディス王国銀翼騎士団右翼リーダーであり、対魔獣戦のエキスパート。リーディス王国の銀翼騎士団に所属し、多くの戦場を経験。特に魔獣戦においてその名を馳せた。


基本戦術:

ユベルの戦闘スタイルは「柔」の極みであり、その動きは流動的でまるで水のように変幻自在。力強さでは他の剣士に劣ることもあるが、素早さと身軽さで魔獣を屠る。ステップワークや変則的な体術を駆使し、敵の動きを予測させない巧妙な戦術を展開。回転しながらの斬撃や舞うような動きで敵の意識を散らし、戦局を有利に進める。


家族との関係:

妻:メイレア(元リーディス王国の第三王女)。非常に深い愛情を持ち、二人の関係はミツルにとって時折恥ずかしくなるほどの愛情表現がなされていた。娘:ミツルにとってユベルは憧れの対象であり、彼の戦闘スタイルや技術に強く影響を受けている。

最後の旅と戦い:

妻メイレアの行方不明後、ユベルは娘ミツルを連れて探索の旅に出る。愛する妻を取り戻すため、家族の絆を守るための決意を持っていた。未知の魔獣との戦いで命を落とし、その犠牲によってミツルは生き延びることができた。

白きマウザーグレイル:

ユベルが妻との絆として持っていた白きマウザーグレイルは、ミツルに託された。この剣はユベルの思いと愛情を象徴し、ミツルにとっては父の遺志を継ぐ重要なアイテム。


お尋ね者:

尊敬を集める存在だったが、妻を誘拐した罪が科せられ、お尋ね者として追われていた。ユベル・グロンダイルの戦闘スタイル


「柔」の戦術:

ユベルの戦闘スタイルは「柔」の戦術を体現し、流動的で変幻自在な動きが特徴。彼の動きは舞踏家のように優雅でありながら、非常に戦術的で緻密。


ステップワークと回転体術:

軽やかなステップワークで敵の攻撃を避け、回転しながらの斬撃で敵を翻弄。体操選手やフィギュアスケーターを彷彿とさせる華麗な動きが特徴。


対魔獣戦の特化:

魔獣の懐に自在に出入りし、相手の身体を盾として利用することで最短距離からの攻撃を実現。風のように迅速で、敵の反応を許さない。

彼の戦闘スタイルを際立たせている。

前世での二人

 それは第二章で語られる。

虎洞寺健

美鶴と弓鶴の叔父で、保護者であり協力者。

能力が実用に耐えない血族が所属する郭外のリーダーで、自身は多数の企業を成功に導いた実業家で資産家。その貢献によって上層部にも大きな発言力を持ち、水面下で二人の活動をサポートする。彼の目的は深淵の呪いからの解放と深淵の解体である。

佐藤さん

 柚羽家のお手伝いさんで、美鶴の理解者。昔からの柚羽家のお手伝いさんで、その家事能力は超人。茉凜の料理の師匠。

真坂明

 15歳の少女で、身長は152センチメートル。黒のショートカットが特徴的で、衣装は、黒のクロップトップと高腰のパンツ、袖にディテールが施されたオープンジャケットで、全体的にクールでスタイリッシュな印象。均整の取れたスタイルも、洗練された雰囲気に一役買っている。

性格は情熱的で、自分が思ったことをはっきりと口にするタイプ。弓鶴の元許嫁であり、真坂家の次期後継者としての重責を担っている。また、「深淵の赤の流儀」の高度な術者でもあり、その実力は並外れている。彼女の存在感は、その内に秘めた強い意志と、家の名に恥じない実力から来ている。

明は破談後も弓鶴を想い続けており、それが彼女の能力の原動力になっている。自身が家の後継者となり、弓鶴を婿として迎えようと決意した結果、兄二人を殺害してしまう。

柚羽 美鶴

 ミツルの前世で転生時二十歳。その過去はダイジェストとして第二章で語られる。ミツルの内向的なところは彼女の成分。

 前世では茉凜に対して次第に恋心を抱いていくが、さまざまな問題が障害となって、素直に気持ちを伝えられずにいた。

 彼女のバルファへの転生がグロンダイル家にもたらした影響が、ミツルが戦い旅する理由。

鳴海沢洸人

深淵の血族、上帳を構成する三家の一つ、鳴海沢の長子。流儀青の強力な使い手。弓鶴の確保のために遣わされるが敗退し、その後弓鶴と茉凜の監視役として転校してくる。

数年前に暗殺に失敗し、その後始末として対象を家族諸共惨殺したことがきっかけで、殺せない欠陥品になってしまった。強力な血を残すために家に留め置かれ、鬱々とした日々を送っていた彼を変えたのは、深淵の始まりの回廊の巫女からの言葉だった。 

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