どっちが年上なんだか……
文字数 986文字
「ねぇ、美鶴。わたし、わかったんだ。どうしてあの劇に出たのか、あなたがメイヴィスだったからだよね?」
美鶴は急に顔を赤らめ、視線を宙に泳がせた。胸の中で何度も自分を責めながら、なんとか言葉を紡ごうとする。
「そ、そうだよ……。自分でもバカだってわかってる。劇の中の夢を借りて、少しでも気持ちを満たそうだなんて、結局虚しいだけなのに……。でも、どうしても抑えられなくて、あなたにあんなことをしちゃって……」
その声はかすかに震え、涙ぐんでいるように聞こえた。美鶴は心の奥にある後悔と茉凜への気持ちが入り混じり、自分をさらけ出すことに恐れていた。
茉凜はふわっと微笑み、その柔らかい笑顔は美鶴を包み込むようだった。
「ううん、大丈夫だよ。確かにちょっとびっくりしたけど……嬉しかったの、わたしのためにしてくれたんだもんね」
茉凜の言葉に、美鶴は驚き、さらに顔が真っ赤になった。胸の奥で何かがはじけるような感覚を覚え、心臓がドキドキと高鳴る。
「……本当にごめんね。でも、軽い気持ちでやったわけじゃなくて、あなたに伝えたかった……本気だったから」
美鶴の声はますます小さくなり、彼女の真剣な気持ちが込められていた。
「うん、ちゃんとわかってるよ。でもね、これからどうしようかな? もっと近くにいたいって思ったら……ダメかな?」
茉凜はそっと美鶴の手を取った。
「えっ?」
突然の触れ合いに、美鶴は一瞬息を呑み、胸が締め付けられるような感覚に襲われていた。
「だって、わたしもあなたのこと……大好きだから。これからは、もっと二人で一緒にいたいな」
茉凜が悪戯っぽく笑いながらも、真剣な眼差しを向けた。美鶴はその言葉に、胸の奥が熱くなるのを感じた。
「本当に……?」
美鶴の目は潤み、信じられないように茉凜を見つめた。その瞬間、二人の心は寄り添い、新しい感情が溢れ出す。
「うん、本当だよ。それと、これからはもっと甘えてもいいんだよ?」
茉凜はさらに距離を詰め、美鶴の頬にそっと触れた。その優しい手の感触に、美鶴は安心感を覚え、目を閉じた。
「茉凜……」
美鶴は何も言えずにただ、茉凜の温もりを感じる。二人は夕暮れの静かな光に包まれ、何も言わずとも心が通じ合っているのを感じた。