設定メモ 1
文字数 5,224文字
物語の舞台となる異世界。記録上、数万年の歴史を持ち、何度も文明が興っては滅ぶというサイクルを繰り返している。その節目節目には、正体不明の脅威と白きマウザーグレイルと呼ばれる存在が記されている。
現在の文明は、中世から近世の文化レベルで、環境衛生面は劣悪。
魔獣
正体不明。何処から現れるのか、どうやってその数を増やしていくのか、その全てが謎の生物。環境に応じた様々な動物の外見を模しているが、体内には脳も内臓も存在せず、活動を停止すると崩壊して塵と化す。
魔獣の核の部分から採取される、通称『魔石』が魔術や魔道具の動力源となり、現代の文明を支えている。魔獣と魔石と魔力の関係は、この世界の矛盾と暗部。
魔石
魔術や魔道具の
魔術
魔石を動力源とする技術で、この世界の者であれば誰もが適性を持っている。ただし、攻撃や防御に用いるような高度かつ高出力な魔術は、高度な適正と精神集中に加え、長大な詠唱や複雑な魔法陣を必要とする。そのため、実戦で用いる場合は術式を圧縮内包した魔導兵装を用いて、詠唱を簡略化する。基本的に四大元素に基づくが、ほとんどの術者は一系統しか扱えない。
魔導兵装
主に魔術師が使う、魔術に必要な術式を圧縮格納した兵装で、様々な形状の物が存在する。主に個人兵装。
高出力の魔石が手に入れば、大規模軍事転用できるのではないかと考えられ、各国で極秘裏に研究が進められている。ただ、それだけの力を賄える強大な魔石を入手する目処が立っていないのが現状である。
魔術師
魔石から効率よく魔力を引き出せる高い適性を持つ者を指す。魔術適性の高い者なら、魔獣から放たれる魔力の流れ、【魔素】を感知できる。
精霊魔法
太古の昔、繁栄していた精霊族が扱っていたとされる技術。魔石を動力源とする魔術とは、構造が根本からして異なっている。
魔道具
魔石を動力源とする道具。この世界の文明は、魔石によって成り立っているといっても過言ではない。一般家庭にも多く普及しており、様々な用途の魔道具が、我々の世界で言うところの家電感覚で用いられている。灯り、熱源、冷蔵、などなど。
回復術
魔石に頼らない古代の秘術で、その素養を持つ者はとても限られている。パーティーに回復術師が居れば、継戦能力は飛躍的に高まる。この世界に聖なる力などは存在せず、術師自身の生命力の転換と治癒対象との生命の交感で行われる。よって効果は軽度の傷や疲労の軽減と回復といった程度である。身体の欠損部を再生するような奇跡は存在しない。その性質上、一日の術の使用回数に制限があり、クールタイムが生じる。
精霊族(クラルトツ)
古代に栄えたとされる伝説の種族。この世界に満ちていた精霊と接続する事ができた。ミツルはその末裔といわれ、四大元素に関わる精霊すべてと接続できる上に、それ以外の未定義のありとあらゆる事象に関わる精霊とも接続できる。よって将来的にはこの世の事象のほとんどすべてに干渉可能になる。それに必要な術式があるアイテムに秘められている。
深淵の黒鶴
ミツルが前世で用いていた【深淵】と呼称される異能で、その中でも特殊な番外個体【黒】を指す。精霊子に対する高い感受性を持ち、世界に漂うすべての精霊子を集積できるほどの容量を持った規格外の怪物。彼女の前世の名前である【美鶴】と組み合わせて、【黒鶴】と呼ばれるようになった。
深淵の異能の起源は、バルファ世界から転移してきた【精霊器デルワーズ】が、自身が世界の修正力によって変質崩壊する前に、特定の生物の遺伝子に介入したことから始まる。その存在が崩壊した結果生じた【精霊子】を脳内に形成された受容器官で集積し、それを活用することで能力を発揮する。
精霊子を元に【場裏】と呼ばれる限定領域を形成して、その中でイメージ通りの現象を具現化させるのが深淵の術者と呼ばれる存在。基本的に一人の術者が扱える範囲は四大元素のうちの一つのみ。ただし、規格外のミツルは四大元素すべてを制御可能で、並列起動の複合行使で複雑な現象も実現可能。
背中に現れる翼には物質としての特性はなく、彼女の願望が投影されたもの。
場裏
ミツルが操る異能の基礎となるもので、限定された空間を形成してその中で事象を操作する。色で呼称される流儀に基づき、たとえば赤であれば熱の操作に関わり、イメージのままに具現化できる。これは、彼女が元いた世界において用いていた、制限を受けた精霊魔法『深淵』であり、この世界においては、単に「詠唱も魔道具も必要としない強力な魔術」としか認識されていない。魔術とは根本的に異なる。
白きマウザーグレイル
ミツルが携える剣で、純白の刀身が特徴のロングソード。刃に相当する部分はなく、実質何物も斬れない剣。ヴィルの指摘の通り、これは剣の形をとった魔導兵装である。構成素材は不明だが、どんな魔獣の攻撃にもヒビ一つはいらない堅牢さを誇る。また、見た目よりも軽量で、小柄で非力なミツルでも自在に扱える。
この剣には謎が多く、ミツルもその実体と潜在能力について何も把握していない。現状は彼女が元々持っているスキルの安全装置、【真凜】が補助をしているに過ぎない。
正式名称は『精霊器接続式対魔族兵装 MW-CSV-DD MAUSER-GRELL マウザーグレイル』
この世界の食事情
辺境都市エレバンは、寒い北方で周辺は荒れ地な上、魔獣が大量発生する環境なため、牧畜も農業も行えず、ほとんど他所からの物資に頼っている。保存の効く干し肉や塩辛いソーセージ、堅い黒パン、チーズ、イモ類が主食。調味料や香辛料は超高価。酒類も質の悪いワインや蒸留酒しかない。そのため転生してきたミツルは、地獄のような食生活に辟易している。
「この身体は成長期の真っ最中だってのに、食べる気も起こらない」、といった有り様で、さっさとお金を集めて、文化の最先端である、南の大国【リーディス】に向かいたいと考えている。
街には魔石による冷蔵設備はあるので、稀に遠方からやってくる隊商(冷凍冷蔵設備を備える)から、新鮮な肉が手に入ることもある。
リーディス
大陸南方の海岸部に面する大国で、文化の最先端を行く。肥沃な大地と豊富な水資源に恵まれ、首都には上下水道が整備され、各所に公衆浴場が配置されるなど、衛生面でも先を進んでいる。また大きな港を持つため交易も盛んで、世界中のありとあらゆる物産が手に入る。当然、グルメも満足できるレベルで、ミツルはそれ目当てにこの国に行きたいと考えている。
種族
基本的に人類しか存在しない。地方毎に特殊性を持つ少数部族が存在する。
バーバリアン
優れた戦闘力を持つ民族であることから、尊敬を込めてそう呼ばれている。極寒の北方地域に隠れ住み、二メートルを有に超える大柄で頑強な肉体が特徴。巨体に似合わず俊敏で、手先も器用。あらゆる武具を使いこなす戦闘のエキスパートであり、サバイバル能力も高い。彼らは滅多に人前に姿を見せないが、若い男たちは修行の一貫として一定期間故郷を離れて南方で武者修行するという。
彼らには『来たるべき時に備えよと』いう掟が存在し、その準備のために一生をかけて鍛錬に励み、磨き上げられた戦闘スキルは代々受け継がれていく。繰り出される技は、もはや人間業を超越している。
深淵
ミツルが前世で用いていた【深淵の血族】が持つ異能。バルファ世界から我々の世界に転移してきた精霊器デルワーズが、世界の修正力によって崩壊し、その結果生成された精霊子を利用する形で能力が行使される。場裏と呼ばれる限定領域を形成し、その中でイメージに基づいた現象を具現化する能力。
ただし、精霊子の収集により、術者の大脳辺縁系(感情や本能を司る部分)に過大な負荷がかかるため、精神的な負担が非常に大きく、精神崩壊や自我喪失のリスクが伴う。
流儀=スキルは色で類別される。通常の術者は四大元素(熱、水、風、土)のうち一つだけを制御できるが、ミツルは番外の規格である黒で、精霊子への感受性が極めて高く、受け止める容量も高い。また、他の術者が蓄積した精霊子を奪い、流儀を模倣できる。ただし、強すぎるが故に精神的負荷と暴走のリスクが極めて高い。
赤=熱操作
青=水操作
白=風・大気操作
黄=土・地形操作
黒=番外
翼の投影 背中に現れる翼は物質的なものではなく、ミツルの「自由」への願望を投影した幻影。実際の翼として機能するわけではないが、能力の象徴として存在する。
魔術の基本
魔術は四大属性に依存している。属性の適応範囲は限定されていて、通常一人の魔術師が扱えるのは一つ。多くても二つまでが限界。
魔術の歴史
古代には精霊由来の魔術が主流だったが、それを可能とした精霊族は滅亡したとされている。現在の魔術は魔獣から採取される魔石をパワーソースとして利用しているため、仕組みもアプローチも完全に異なるとされる。
魔石属性と制限
魔石は主に四大属性に関連し、一個の魔石は一種類の属性しか持たない。
魔石の謎
なぜ魔石から魔力が出力されるのか。なぜ魔獣からしか採取できないのか。魔獣とは一体どこから来るのか。謎は多い。だが現代の文明は、魔石に大きく依存しており、その真実は各国の協定によって隠蔽されている。
有限な魔力
魔石に秘められた魔力には限りがあり、魔力が尽きた場合は交換が必要。これは薬莢のようなものであり、使い捨て。内包する魔力量は品質によってばらつきがある。品質の高い物は高値で取引される。
品質の違い
魔石は質の低いものが一般に流通しており、家電感覚で使える魔道具に利用されている。
戦闘用魔道具
基本機能
魔術師は魔石に秘められた魔力を効率よく引き出し運用する燃焼効率のいい高性能エンジンのような役割を果たす。本来、魔石から魔力を引き出すためには、高い魔術適性と膨大な知識と精神力が必要で、長大な呪文や複雑な魔法陣が必要になってしまう。戦闘用にはこれを省略するために、呪文や魔法陣を圧縮して内包した魔道具が使われるが、簡易的な詠唱と発動までのラグが発生する。
連続使用の限界
魔道具の連続使用は負荷が大きく、使用限界がある。銃の砲身限界と考えてよい。
魔道具の発明と技術革新
賢者ボスクールの発明
百年ほど昔、大魔術師であり、かつ発明家でもあった賢者ボスクールが画期的な属性転換術式を発明。この術式により、魔石の属性を他の属性に変換することが可能になった。
属性転換術式により、一般魔道具の出力レベルであれば誰でも属性の縛りを無視して発動可能となり、生活用魔道具が普及した。これにより、家庭用の魔道具が飛躍的に進化し、一般家庭にも広く浸透した。
持続反応式魔導具
これによって魔道街灯や魔道ランプが実用化された。魔術を低レベルで持続させることができる。
戦闘用魔道具の制約
大出力を必要とする戦闘用魔道具には属性転換術式は適用できず、依然として単独属性のままである。
ハンター業と地域発展
魔獣狩り
魔石は魔獣から採取されるため、多くのハンターが魔獣狩りを生業としている。
白きマウザーグレイル
名称: マウザーグレイル『MW-CSV-DD MAUSER-GLELL』。精霊器接続式対魔族魔導兵装
出所: 古代精霊族の遺産
特性: 無詠唱無遅延の四大属性に縛られない大出力魔導兵装
動力源
この世の理すべてに関わる純粋精霊の力を利用していると想定される。理論上そのすべてを再現可能で、そのための天文学的数の術式が圧縮格納されている。この力は現代の技術では解明されていない。可能性として、精霊と接続して、その力を集積するための核となる【器】の存在が動力源となっているかもしれない。精霊の力やエネルギーが如何にして魔導兵装に組み込まれるかは不明。
制御機構
高度な魔法機構
制御機構は非常に複雑かつ高度で、現代の技術や知識では理解できない。茉凜が解読しようと努力しているが、あまりに膨大な上、厳重なプロテクトが施されているため、思うに任せないのが現状。
精霊との共鳴
制御機構が精霊との共鳴に依存している可能性がある。精霊との深い感応や精神的なつながりが制御に必要であり、ミツルはまだその全貌を把握していない。
軍事的影響
軍事的優位性
マウザーグレイルの技術を解析し、手に入れることができれば、戦略上圧倒的な優位性を確保する可能性がある。
技術の独占
技術の独占は、他の国や勢力に対して外交的な圧力をかける手段となり、戦略的な同盟形成や影響力の行使に役立つ。
リスクと対策
悪用リスク
技術の悪用や暴走のリスクが高く、適切な管理が必要。悪意のある勢力に渡ることで、世界の秩序が崩れる可能性がある。
リーディス王家との関係
リーディス王家は古代精霊族の末裔といわれており、この剣との関係が疑われる。