第16話 お昼のためにならない魔術講座

文字数 5,402文字

 戦闘の後、私とヴィルは、水が得られる場所に移動して昼食を摂ることにした。

 その場所は広大な狩り場を巡るハンターたちの中継ポイントとして知られていて、一応の水場があることで休憩に最適な場所だった。

 辿り着いてみると、目印になる程度の粗末な小屋と小さな井戸があるだけだった。

「うん、ここならちょっと一息つけるな」

 スレイドから降りながら、ヴィルほっとしたように言った。

「うん、水もあるし、ちょうどいい場所ね」

 私も同じように降りると、井戸の前に立ってその水を眺めた。井戸の中には、汚れた水がたまっているだけで、私は「やっぱりね」、とため息をついた。

「水の方はどうだ? 使えそうか?」

 ヴィルは眉をひそめながら、無造作にロープが結ばれただけの井戸のバケツを見つめていた。

「水質は馬には問題ないと思うけど、人が飲むにはちょっとね……」

 私は肩をすくめた。

「まあ、いいだろう。あいつにはしっかり飲ませてやらないとな」

 ヴィルは井戸から水を汲み上げると、スレイドにそれを与え始めた。

 私はその間に薄い毛布を広げ、腰を下ろして昼食の準備を始めた。空腹でお腹がぐーっと鳴っているのを感じながら、ほっと一息ついた。そして、私は腰のベルトに下げたマウザーグレイルに触れて、茉凜に呼びかけた。

「茉凜、お昼ご飯だよ。今日はちょっと奮発したんだ」



 いつも通りの元気な声がして、私はそれだけで心が弾む。

 私たちが持参したのは、ライ麦に似た「グリム麦」で作られた少し癖のある硬いパンと、「ヴァルド」と呼ばれる動物の干し肉、それに「ドレイク」という単角の家畜牛の乳から作られたチーズだった。日本の料理に比べれば質素そのものだけれど、物資を輸送に頼っているエレダンではなかなかの贅沢品だ。

 そこにヴィルがやってきて、少し距離を置いた横に座り込んだ。



 それを察して、茉凜は引っ込んでしまった。

「もう腹ペコだ。早く食べよう」

「はい、どうぞ」

 私はヴィルの分を薄い布に包んで差し出した。

「おう。ありがとうな」

「いただきます!」

 そう言って私は目を閉じて合掌した。するとヴィルが不思議そうに私を見て、首をかしげた。

「イタダキマス? それって何の呪文だ?」

 それを聞いて私はおかしくて、思わず吹き出しそうになった。日本ではごく当たり前の作法でも、この世界では奇妙に映るのかもしれない。

「これはね、ご飯がおいしくなる呪文だよ。作ってくれた人たちや、食材になってくれた生き物たちに感謝するためのものなの」

 私が説明すると、ヴィルは顎に手を当ててしばらく考え込んだ。

「へえ……その考え方は面白いな。うん、ありかもしれん。俺も真似してみよう」

 そう言って、ヴィルも同じように手を合わせた。

「イタダキマス」

 その様子を見て、私はなんだか嬉しくなってしまった。堅物かと思ったら、結構柔軟で面白い人なのかもしれない。

 私はパンをナイフでスライスし、干し肉とチーズを乗せて口に運んだ。

 干し肉は味わいも薄くて塩味しか感じないけれど、パンの独特の風味とチーズの豊かな香りがして、素朴ながらも美味しい。こんな荒れ地では新鮮な肉や野菜は望むべくもないけれど、これはこれでとても満足。

 食べ進めていると、ヴィルが腰に下げた皮の水筒を取り出して、私に差し出してきた。

「お前も一杯どうだ? 酒は好きなんだろ?」

 水筒の中身はどうやらお酒らしい。さすがに茉凜だって、私のことを考えて昼から飲めとは言ってこないものなのに。冗談じゃないと思いながら、私は少し呆れてじーっと見つめながら答えた。

「あら、この前は私のことを子供扱いしてたくせに、どういうつもり?」

 そんな私にヴィルは笑った。

「実際の歳がどうあれ、俺はお前を一人前の人間として扱うつもりだ」

 そう言われて私はどきっとした。

 たしかに私は立派な大人……のつもりではいるのだけれど、前世の二十一歳の私と、この世界で生まれて生きてきた十二歳の私との間には感情のギャップがあって、どうしても困惑してしまう。肉体の年齢なりに振る舞うのは嫌だし、かといって背伸びするのもどこかギクシャクしてしまう。

「お昼からお酒なんて……。そういうのは夜に心をゆったりと落ち着かせて楽しむものよ」

「かもしれんが、でも水だって高いだろ? だったら、俺は酒の方がいいかな」

 この辺りで飲用に適する水はとても貴重だった。あまりに高価なので、比較的安価なワインやビールに似たお酒を水で薄めて飲んだりしているのが一般的だった。

 私はといえば、隠れて自分の能力の【流儀青(※1)】の場裏の中で水を精製していた。一切の混じり気のないほぼ完全な純水で、それでだいぶ助かっている。

「喉を潤すなら新鮮な水が一番よ。それに私はそんなにお酒が強くないし、感覚が鈍ったらそれこそ命取りじゃない」

「そうか? 俺はちょっと酒が入ったくらいが調子がいいけどな。飲めば飲むほど強くなるとも言うぜ。ははは!」

「はぁ……」

 なんて人だ、と私はため息をついた。

 やっぱり前言撤回。ちょっとだらしがない人かもしれない。私は呆れて自分の食事に集中する。

 しばらくして、不意にヴィルが興味津々で尋ねてきた。

「ところでさっきの戦いでのお前の魔術、複数属性の同時並行の行使って言ってたが、一体どういった仕組みなんだ? よかったら少し説明してくれないか?」

 私は考え込みながら、ヴィルに向き直った。

 私の能力は特殊すぎて、魔術とは根本的に仕組みが異なっている。説明するのはとても難しい。

「別にいいけど、私の魔術はちょっと特殊なの。うまく説明できるかどうかわからない。それでもいい?」

「ああ、俺も魔術の仕組みなんてよくわからん。簡単にでいい」

「わかったわ」

 私は彼には隠し事をしたり嘘はつきたくないと思い、できるだけわかりやすく説明をすることにした。もちろん。半分は作り話になってしまう。魔術と私の能力は、放出される現象は同じとしても、構造が根本からして違うのだから。

「まず、魔術が発動する領域(エリア)を作って、それを相手の近くに送り込んで取り囲む。それから、その中で私がイメージしたものを形にしていくの」

「ふむ」

「まず使ったのは、風の魔術で、竜巻の囚(トルネード・バインド)っていうの。これは私が勝手につけた名前だけどね。竜巻は当然知ってるよね?」

「もちろん」

「それを相手を包むくらいの大きさの領域の中に閉じ込めて、強く作り出すの。巻き込まれた魔獣はまず動けなくなるわ。相手の動きを先に封じるのは魔術師の基本ね」

「ほう……。限定領域に凝縮させた竜巻なんて、高位の魔術師でも難しいかもしれん」

「ほんとう? それから次は地棘突(グラウンドスパイク)。これは地の魔術で、相手の真下の地面を操作して、尖った棘を作リ出して一気に突き上げるの。これに串刺しにされたら、もうどうにもならないわ」

「そいつは凄いな……」

「とどめが隕石轟(メテオストライク)。火の魔術ね。巨大な火球、ファイアーボールを作り出して、相手の頭上から叩き落とすの。当たる直前で弾けさせるのが効果的よ。鉄なんて一瞬で溶けちゃうから、魔獣はまず耐えられないと思う。で、その周囲を風の障壁で隔離すれば、熱は私に一切届かないわ」

 本当のところ、例えばメテオストライクの元はファイアーボールじゃない。【流儀赤(※2)】で空間そのものを耐火金属が真っ赤になるくらい超高熱にして、直撃する前に場裏を解放して空気と反応させる。それはまさに爆熱と爆風の嵐と化して対象を襲う。もたらされる破壊力は、並みの魔術とは比較にならない。

 具現化させた現象が、イメージした以上の破壊をもたらすこともある。深淵の黒鶴と場裏の関係は、魔石を動力源とするこの世の魔術の範疇から完全に逸脱している。

 ヴィルは私の話を聞くたびに、目を大きく開き、口元に驚きの笑みを浮かべていた。

「それだけの数の高度な術をあの一瞬で同時に発動させて、しかも正確に制御するなんて、これはぶったまげたな」

「そうかな? 私にとってはこれが当たり前だから……」

 私は少し照れくさそうに微笑んだ。

 ヴィルの驚きは本物だったけれど、自分にとってそれは特別なことではなかった。だけど、彼の言葉が心に引っかかり、どう返せばいいのか迷ってしまう。

「そうあっさりと言われると困るんだが、まったくお前はとんでもない奴だ。間違いなく当代随一の天才魔術師と言えるだろう」

 ヴィルの視線は真剣で、少し戸惑いを感じる。

「それは大げさじゃないの?」

 私は軽い調子で応じた。

 私はこの世界で目覚めてからまだ一年ほどしか経っていない。魔術師の基準というものがよく分かっていないのだ。ただ、私の力がその範疇に収まらないものだということは理解していた。

「そんなことはないぞ。俺はいろいろな戦いで魔術師を見てきたんだから、間違いない。だがな、一つだけ気になる事があるんだ」

 ヴィルの目が鋭く光ったのを感じた。

「無詠唱の複数属性、複雑かつ強力な同時並行の魔術の行使。たしかに凄い。じゃあ、それを可能にする魔力源はどこにあるんだ?」

 やはり核心をついて来たか、と私は思った。彼の鋭い問いかけに、どう答えるべきか迷った。心の奥では不安と焦りが渦巻いていた。

 どうしようか、このままじゃ隠し通せそうもない。

「それは……」

 しばらく沈黙が続いた。ヴィルの視線が刺さるように感じた。

「その剣がそうなんじゃないのか?」

 マウザーグレイルを魔導兵装と言い当てた彼なら、常識的に考えてそう言ってくると分かっていた。

「だとしたら少なくとも超弩級の、それも国宝級に匹敵する高純度の魔石が、最低でも四種類は収められているんじゃないのか?」

 違う。でも、この場を言い逃れできる上手い言い訳が見つからない。私はしばらく沈黙するしかなかった。嘘をつきたくはない。でも、真実を話すのも怖い。

「……はずれね。そんなものなんて無いわ」

「だとしたら、どこにあるっていうんだ? ええ?」

 ヴィルは眉間に皺を寄せて、さらに詰め寄るように問いかけてきた。

 もう、どうすればいいかわからない。何を言っても信じてもらえないだろう。でも、どうすればいいんだろう……。

「ねえ、ヴィル。もし動力源っていうのが私で、この剣はその変換器だとしたら、どう思う?」

 ヴィルの表情が固まり、明らかな動揺の色を浮かべていた。

「それはありえないだろう。そんな膨大な魔力を賄うなんて……。それじゃお前が魔石そのものってことにならないか? そんな人間が存在するわけがないだろう。だいたい魔力が尽きたら、そこで終わっちまうだろうが」

 力の正体を明かしたとして、きっと彼には理解してもらえないだろう。だめだ、これ以上言うのは危険だ。

「だよね……。でも、こう考えてみて? 私が魔石の魔力とは別の理の、力の源みたいなものを集めて蓄える、人の形をした器だとしたらどうかしら? それも底なしの、どこまでいってもいっぱいにならないくらいの……」

 何を恐ろしいことを口走っているのだろうか。それじゃ私は……。

 ヴィルの目が大きく見開かれた。

「な、なんだと!? お前は何を言っているんだ。そんなもの、ますますありえないだろ……」

 私は自分でも制御できない感情が渦巻く中で、じっと上目遣いで彼を睨んでいた。

 ヴィルはただ黙って私のことを見つめていた。その表情には理解できないものに対する怖れと動揺が感じられて、私は今にも胸が張り裂けそうだった。いずれヴィルがそこに辿り着くことなんて分かりきっていたのに……。だから私は苦し紛れの嘘を付いてしまう。

「なーんてね、ちょっとした冗談よ。本気にしないで。だったらいいよね、って話だから」

 彼は大きなため息をついた。

「冗談だと? まったく、そういうのはやめてくれ。心臓に悪い」

「ごめんなさい。ちょっとびっくりさせちゃったね。実のところ、この剣の仕組みって私にもまだよくわかっていないの。私が

でこの力を使える理由もね……」

 ヴィルはさらに困惑の色を深めていた。その目は、私の瞳を探るように見つめていた。私はその視線に対して、微笑みながらも怖くなって、彼に背を向けた。

「父さまも母さまも、何も教えてくれなかったし、私もこれが大切なものだってことくらいしか知らない。でもこれだけは言える。私はこの剣と共にあることで力を使えているの……」

 私の目には涙が浮かんでいた。

 自分の中にいる怪物とこの未知の力を秘めた剣。その組み合わせが、どれだけ強力で危険なものか。その不安が私を蝕んでいた。

 前世の二十一歳の私とこの世界で生まれ育った十二歳の私。その間で揺れている私には、重すぎる運命がのしかかっているように感じられた。



※1 場裏青 深淵の流儀の一つで、この世界で言うところの水魔法に相当する。水を集め、必要な成分を集めて作り、水の有り様をイメージのままに自在に操る。場裏という特殊な領域内で、精霊子を利用して具現化され、魔術師が模倣することはできない。

※2 場裏赤 深淵の流儀の一つで、この世界で言うところの火の魔法に相当する。ただし、本質は熱操作であり、熱を加えることも奪うこともできる。場裏という特殊な領域内で、精霊子を利用して具現化され、魔術師が模倣することはできない。
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登場人物紹介

ミツル・グロンダイルのキャラクター設定

基本情報年齢: 12歳(外見年齢)


外見: この大陸では珍しい黒髪と薄緑の透き通った瞳。美しい容貌だが、体型は少し少年のようで、まな板の寸胴であることに敏感。自称年齢: 21歳(前世の記憶を持つため)


性格: 冷淡に見えながらも実は直情的で、一人でいることを好む。時折無邪気な一面を見せることがある。前世の記憶と現在の状況の狭間で揺れ動き、冷静な大人の一面と子供っぽさが共存する複雑なキャラクター。


好物

食事に関しては美味しいものを少しだけなタイプ。剣の中の茉凜がアルコール依存になってしまったため。最近はお酒も嗜む。


社会的関係: 引っ込み思案で人付き合いが苦手なため、孤独を好む。しかし、孤独を埋めるために時折無邪気な一面を見せる。自分の力や能力に対する内なる葛藤と向き合いながら、過去の記憶と現在の状況の狭間で揺れ動く。


ミツル・グロンダイルの物語における役割

憧れの存在: ユベル・グロンダイル(父)の影響を強く受けており、彼の戦闘スタイルや技術に憧れを抱く。父の遺志を継いで魔獣を狩る役割を担う。

遺産と使命: 父が遺した白きマウザーグレイルを持ち、彼の意志を継ぐ重要な役割を果たしている。彼女の能力と背景は、物語の重要な要素となっている。

謎と葛藤: 彼女の能力と前世の記憶には深い謎があり、物語の進行とともにその全容が明かされる可能性がある。彼女の内面的な葛藤や成長は、物語の核心に深く関わっている。


前世の名前: 柚羽 美鶴(ゆずは みつる)

年齢: 不明(死後、弟の弓鶴に憑依しているため、年齢としては弓鶴の年齢に準じる)

性別: 女性(現在は弟の弓鶴に憑依中)

出身地:九州地方某県の山中の柚羽家(深淵の三家の一つ、始まりの回廊の守護者)

職業: 柚羽家の後継者で深淵の始まりの回廊の巫女


 美鶴は深淵の三家の一つである柚羽家の長女であり、始まりの回廊の守護者。柚羽家襲撃事件で両親を失った後、叔父の虎洞寺氏に保護された。その後、両親の死の真相を知り、自ら人身御供になる覚悟を決め、柚羽家の後継者となった。彼女は密かに深淵の根源の再生を図り、解呪に臨んだが、その試みは失敗し、死亡した。


その後

 美鶴はデルワーズの画策により、弟の弓鶴と意識と記憶の全情報を交換させることで、彼に憑依する形で生き延びる。弟を取り戻すために再び解呪に進もうとした際、茉凜と出会う。茉凜が持つ「黒」の力の安全装置としての役割によって、二人は運命共同体となることが決まる。


 自らが女性であることに対する戸惑いと、茉凜に対する淡い感情を抱くようになり、自分が本当は弟ではないことや、茉凜が見ているのは弟であることに苦悩する。


 美鶴は両親の死の真相を知った後、自らが柚羽家の後継者として深淵の根源の再生を図ろうとしたが、その試みが失敗したことに対する責任感を抱えている。


 茉凜の猛烈なアタックに対して、次第に閉じていた心を開き始めると共に、彼女に対して淡い心を抱く。しかし、自分が本来女性であることや、それを知られることを怖れて受け入れることに苦しんでいる。


 美鶴は茉凜と共に深淵の根源の解呪に挑む中で、茉凜の存在が自らにとってどれほど重要であるかを認識し始める。しかし、彼女は自分の感情と状況に苦悩し、特に自分が女性として抱く感情や、茉凜が見ているのが自分ではなく弟であることに対して深い悩みを抱えている。


深淵の黒鶴

 精霊子に対する感受性が極めて高く、世界に漂うすべての精霊子を集積できる。彼女の前世の名前(美鶴)と組み合わせて【黒鶴】と呼ばれる。限定された空間(場裏)を形成し、その中でイメージ通りの現象を具現化。四大元素すべてを制御可能で、並列起動による複合行使も可能。背中に現れる翼は物質的ではなく、彼女の願望を投影したもの。


場裏

 限定された空間を形成し、その中で事象を操作。色で呼称される流儀に基づき、たとえば赤であれば熱の操作に関わり、イメージのままに具現化できる。詠唱や魔道具を必要としない強力な魔術として認識されている。戦闘と


能力の影響

 ミツルの戦闘スタイルは、前世の影響を色濃く受け継いでおり、流動的で柔軟な戦術が特徴。彼女の能力は瞬時に強力な現象を引き起こすことができ、そのため精神的な負荷が非常に大きい。精神崩壊や自我喪失のリスクが伴う。


精神的負荷

 精霊子の収集と能力の使用により、大脳辺縁系に過大な負荷がかかり、精神的な負担が大きい。特に精霊子への感受性が高い彼女は、負荷に耐えきれず暴走する危険がある。

ヴィル・ブルフォード

 ミツルの前にふらりと現れた、ぼさぼさ頭の無精髭の中年剣士。『黒髪のグロンダイル』の噂を聞きつけて訪れたという、彼の真意と思惑は?

 自らを『放浪のしがない剣士』と言う割に、その剣技は一流で、歴戦の強者。『雷光』とあだ名されると対魔獣戦のエキスパートで、その戦いぶりはミツルも舌を巻く。


年齢 48歳

身長 190センチ近い

体格 大柄で強靭

出身地 不明

職業  剣士、冒険者、元リーディス王国銀翼騎士団右翼副長

髪: ぼさぼさの金髪。長さは無造作に伸びており、戦いの中で乱れたまま放置されている。

顔 無精ひげが顔全体に生えており、荒々しさと共に風格を漂わせている。

武器 中央に深い溝が彫られたブロードソード。鍛造で作られており、適度な粘りを持ち、滅多に折れない。


剣術スタイル

流派 雷光(らいこう)

特徴 巨体とその質量を生かした高速ダッシュ


戦闘スタイル

高速ダッシュ 雷のようなスピードで踏み込み、敵の懐に入り込む

敵の死角利用 相手の身体を死角として利用し、瞬時に繰り出される高速の斬撃で敵を仕留める

左手の傷 突きを繰り出す際に意図的に剣の先に左手を添え、敵の注意を引き付ける。実際の攻撃は横や下から繰り出されるため、非常に巧妙。猪突猛進型でありながらも、臨機応変に対応できる柔軟さを持つ。これは、変幻自在で『型』のないユベルと毎日修練を積み重ねた結果(苦肉の策)による。


戦闘技術

片手剣術 基本的には片手でブロードソードを操るが、必要に応じて両刀も使うことができる。戦況に応じて剣の使い方を変え、迅速かつ的確に対応。


特殊技

雷光突き 瞬時に高速で踏み込み、突きを繰り出す技

閃光斬り 一瞬の隙を突き、相手の死角から高速で斬撃を繰り出す技


特徴と戦術

巨体と速度を生かして、魔獣の懐に入り込み、致命的な攻撃を繰り出す。視線誘導の技術で、敵の視線を引き付けてから攻撃する。


心理と性格

戦場での冷静な判断力と卓越した技術で、数々の戦場で名を馳せる。敵の動きを見極め、最適な攻撃や防御を選択する。どんな状況でも冷静に対応し、自信を持って戦う。猪突猛進型でありながら、変幻自在の戦術を使いこなす柔軟さを持つ。


元リーディス王国銀翼騎士団右翼副長を務めた経験を持つ。騎士団時代の訓練と経験が、彼の戦術的な判断力と剣術の技術に大いに寄与している。特に、ユベルとの修練で得た経験が、彼の変幻自在な戦術に大きな影響を与えている。


その戦闘スタイル

一九〇センチ近い大柄な体躯を持ちながらも、その強靭な体に似合わぬほどの軽快さを誇る剣士。彼の手に握られているのは、ロングソードよりも短いブロードソードに近いもので、中央には深い溝が彫られている。この剣は鍛造で、適度な粘りを持ち、使い手によっては滅多に折れることがない。


ヴィルの剣術のスタイルは「雷光」と呼ばれ、彼の巨体とその質量を生かした高速ダッシュが特徴。彼は特に大きな魔獣を相手にするのが得意で、雷のようなスピードで踏み込むと、敵の懐に入り込み、相手の身体自体を死角として利用する。瞬時に繰り出される高速の斬撃で、敵を一気に仕留める。


特筆すべきは、彼の左手に傷が絶えないこと。これは、突きを繰り出す際に意図的に剣の先に手を添えて、その手に注意を引き付けるためだ。敵がその手に視線を奪われている間に、実際の攻撃は横や下から繰り出されるため、彼の戦術は非常に巧妙。


ヴィルの剣は基本的に片手で操られることが多いが、必要に応じて双剣で戦うこともできる。その柔軟な使い方と、雷光のような素早さを駆使して、彼は戦場でその名を轟かせた。

茉凜(マリン)のキャラクター設定


基本情報年齢: 17歳

身長: 173センチ

プロポーション:高跳びの選手かファッションモデルのようなスラリとしたかっこいいスタイル。ただし本人は自覚なしで自信がない。 


外見: ミルクティーブラウンの髪、大きな瞳、お日様のような笑顔。純粋で優しい少女の姿が特徴的。


性格: 天真爛漫でポジティブ。どんな困難な状況でも明るさを失わず、死の淵の絶対的不利な状況でも輝く。特に追い込まれるとスイッチが切り替わり、予知視界を用いる能力が発揮される。


背景前世: 元々は私たちの世界に住んでいた人物。異世界に突然放り込まれ、さらに剣の中に転生させられるという過酷な運命を辿る。


役割: ミツルの相棒であり、恋人(?)。彼女の無条件の愛情と楽観的な性格がミツルの心の支えとなっている。過去のトラウマ: 落雷事故によるトラウマがあるが、それを嘆くことなく明るさを保ち続ける。ミツルにとっては大きな支え。


能力と役割能力: マウザーグレイル経由の予知視界。死の淵での絶対的不利な状況でも特に有効で、剣の中にあるこの能力が最大の武器である。


役割: ミツルの『深淵の黒鶴』を制御するための安全装置(セーフティ)として機能。暴走を防ぐ唯一の手段として、ミツルとの接触と精神的な感応が必要。自身の全てを捧げる覚悟を持ち、ミツルを守ることを使命としている。


心情と内面愛情: ミツルに対して無条件の愛情を注いでおり、彼女の存在はミツルにとって欠かせない心の拠り所となっている。愛情が恋であることに気づきながらも、その感情を告白することはできない。


支え: ミツルの冷たい態度や無口さの裏に隠された繊細な心を理解し、彼の孤独や苦しみを誰よりも感じ取っている。彼の心の支えとなることを自分の使命と感じ、彼を守るために自分の全てを捧げる覚悟を持っている。


内面の葛藤: 弓鶴(ミツル)が自分にとって特別でなくなるのではないかという不安を抱えながらも、彼の幸せを最優先に考え、自分の感情を抑え込んでいる。仲直りを図る際には自分を押し殺して彼らの関係を修復しようとするなど、内面的には複雑な感情が渦巻いている。

白きマウザーグレイル

基本情報正式名称: 精霊器接続式対魔族兵装 MW-CSV-DD MAUSER-GRELL(マウザーグレイル)

形状: 純白のロングソード

特徴: 刃に相当する部分がなく、実質的には何物も斬れない

構造と材質材質: 不明。構成素材については詳細が不明だが、非常に高い堅牢さを誇る。

耐久性: どんな魔獣の攻撃にもヒビ一つ入らないほどの堅牢さを持つ。

重量: 見た目よりも軽量で、非力なミツルでも自在に扱える。

機能と特性魔導兵装: 剣の形をとった魔導兵装であり、実際には物理的に斬ることはできない。

潜在能力: 現在のところ、ミツルもその実体と潜在能力については把握していない。

補助機能: ミツルの持つスキル「真凜」が安全装置として補助を行っている。

戦闘における役割安全装置: ミツルが持つ「深淵の黒鶴」の能力を制御するための安全装置として機能する。マウザーグレイルが実際の戦闘では使われないが、その存在がミツルの能力の安定に寄与している。

象徴的な意味: 剣そのものは物理的な攻撃力を持たないが、深い意味や力を秘めている可能性がある。特に、ミツルの精神的、象徴的な支えとしての役割を果たしている。

謎と疑問実体の不明: 現状、剣の具体的な機能やその実体についてはミツル自身も把握していない。剣の持つ潜在的な力や目的については謎に包まれている。発見される

可能性: 今後のストーリー展開で、その真の力や役割が明らかになる可能性がある。

ユベル・グロンダイル

 ミツルの父で、『閃光』の異名を持つ変幻自在の剣術を操る天才。すでに故人である。


ユベル・グロンダイルのキャラクター概要

年齢と外見:

年齢:50代外見:かつて金髪だったが、現在は黒く染めている。無精髭を蓄え、スリムで筋肉質な体型。優雅な立ち姿と流れるような戦闘動作が特徴。


役割と経歴:

元リーディス王国銀翼騎士団右翼リーダーであり、対魔獣戦のエキスパート。リーディス王国の銀翼騎士団に所属し、多くの戦場を経験。特に魔獣戦においてその名を馳せた。


基本戦術:

ユベルの戦闘スタイルは「柔」の極みであり、その動きは流動的でまるで水のように変幻自在。力強さでは他の剣士に劣ることもあるが、素早さと身軽さで魔獣を屠る。ステップワークや変則的な体術を駆使し、敵の動きを予測させない巧妙な戦術を展開。回転しながらの斬撃や舞うような動きで敵の意識を散らし、戦局を有利に進める。


家族との関係:

妻:メイレア(元リーディス王国の第三王女)。非常に深い愛情を持ち、二人の関係はミツルにとって時折恥ずかしくなるほどの愛情表現がなされていた。娘:ミツルにとってユベルは憧れの対象であり、彼の戦闘スタイルや技術に強く影響を受けている。

最後の旅と戦い:

妻メイレアの行方不明後、ユベルは娘ミツルを連れて探索の旅に出る。愛する妻を取り戻すため、家族の絆を守るための決意を持っていた。未知の魔獣との戦いで命を落とし、その犠牲によってミツルは生き延びることができた。

白きマウザーグレイル:

ユベルが妻との絆として持っていた白きマウザーグレイルは、ミツルに託された。この剣はユベルの思いと愛情を象徴し、ミツルにとっては父の遺志を継ぐ重要なアイテム。


お尋ね者:

尊敬を集める存在だったが、妻を誘拐した罪が科せられ、お尋ね者として追われていた。ユベル・グロンダイルの戦闘スタイル


「柔」の戦術:

ユベルの戦闘スタイルは「柔」の戦術を体現し、流動的で変幻自在な動きが特徴。彼の動きは舞踏家のように優雅でありながら、非常に戦術的で緻密。


ステップワークと回転体術:

軽やかなステップワークで敵の攻撃を避け、回転しながらの斬撃で敵を翻弄。体操選手やフィギュアスケーターを彷彿とさせる華麗な動きが特徴。


対魔獣戦の特化:

魔獣の懐に自在に出入りし、相手の身体を盾として利用することで最短距離からの攻撃を実現。風のように迅速で、敵の反応を許さない。

彼の戦闘スタイルを際立たせている。

前世での二人

 それは第二章で語られる。

虎洞寺健

美鶴と弓鶴の叔父で、保護者であり協力者。

能力が実用に耐えない血族が所属する郭外のリーダーで、自身は多数の企業を成功に導いた実業家で資産家。その貢献によって上層部にも大きな発言力を持ち、水面下で二人の活動をサポートする。彼の目的は深淵の呪いからの解放と深淵の解体である。

佐藤さん

 柚羽家のお手伝いさんで、美鶴の理解者。昔からの柚羽家のお手伝いさんで、その家事能力は超人。茉凜の料理の師匠。

真坂明

 15歳の少女で、身長は152センチメートル。黒のショートカットが特徴的で、衣装は、黒のクロップトップと高腰のパンツ、袖にディテールが施されたオープンジャケットで、全体的にクールでスタイリッシュな印象。均整の取れたスタイルも、洗練された雰囲気に一役買っている。

性格は情熱的で、自分が思ったことをはっきりと口にするタイプ。弓鶴の元許嫁であり、真坂家の次期後継者としての重責を担っている。また、「深淵の赤の流儀」の高度な術者でもあり、その実力は並外れている。彼女の存在感は、その内に秘めた強い意志と、家の名に恥じない実力から来ている。

明は破談後も弓鶴を想い続けており、それが彼女の能力の原動力になっている。自身が家の後継者となり、弓鶴を婿として迎えようと決意した結果、兄二人を殺害してしまう。

柚羽 美鶴

 ミツルの前世で転生時二十歳。その過去はダイジェストとして第二章で語られる。ミツルの内向的なところは彼女の成分。

 前世では茉凜に対して次第に恋心を抱いていくが、さまざまな問題が障害となって、素直に気持ちを伝えられずにいた。

 彼女のバルファへの転生がグロンダイル家にもたらした影響が、ミツルが戦い旅する理由。

鳴海沢洸人

深淵の血族、上帳を構成する三家の一つ、鳴海沢の長子。流儀青の強力な使い手。弓鶴の確保のために遣わされるが敗退し、その後弓鶴と茉凜の監視役として転校してくる。

数年前に暗殺に失敗し、その後始末として対象を家族諸共惨殺したことがきっかけで、殺せない欠陥品になってしまった。強力な血を残すために家に留め置かれ、鬱々とした日々を送っていた彼を変えたのは、深淵の始まりの回廊の巫女からの言葉だった。 

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