第47話  洸人と灯子

文字数 3,171文字

 私たちは元の私たちに戻った。共通の確かな目的意識を得て、さらに結束が強くなったと言えるのかもしれない。とはいえ、私たちの関係や、二人の間に存在する微かな距離感は、特に変わることなく、日々の生活はそのまま続いていた。

 胸の内に渦巻く感情を抑えて、ただ今はこのままでいたいと願っていた。それが私にとっても彼女にとっても、正しいことなのだと信じていたから。

 私たちは親友で、それ以上ではない。周囲の目には、私たちの関係が恋人のように映るかもしれない。しかし、常識的には男の子と女の子の友情が成立するはずがないとされるから、私たちの絆もまた、誤解を招くことが多い。

 私は女の子でありながら、三つも年下の茉凜に対して、それ以上の感情を抱いていると感じることが、恐怖の原因となっている。

 私自身、対人関係の経験が乏しく、誰かを深く好きになるという経験も未だない。それゆえ、茉凜に対して抱く特別な感情がただの友情以上のものであることを認めることが、どうしても信じられないのだ。心の中でその感情が膨らんでいくのを感じるたびに、その感情を否定しようとする自分と、受け入れざるを得ない現実との間で揺れ動いている。

 もし私たちの関係が進展し、お互いに触れ合いたいという状況になったとき、私はどうすればいいのだろう。今の私は弓鶴として彼女と接していて、彼女が見ているのは男の子だ。もしもそんな状況で、私が彼女に触れ合いたいと思ったとき、その行為が彼女を傷つけることになるのではないかと心配していた。私自身も、彼女を傷つけたくないと強く願っていた。

 この感情とどう向き合い、どのようにして彼女と真摯に向き合うべきか、答えが見えないまま、私はその先に待つ未来に不安を抱きながら、ただただ心を重くするばかりだった。

   ◇        ◇

 石与瀬の街を歩いていると、偶然にも洸人と灯子が並んで歩いているのを目にした。私たちは驚きのあまり、顔を見合わせるしかなかった。この二人が一緒にいるなんて、想像もしていなかったのだ。周囲の喧騒が遠くなり、私たちの視線は自然と彼らに引き寄せられた。

 灯子は普段の姿とは違って、洸人と並んでいるとき、どこか少し照れくさそうな表情を浮かべていた。それはまさしく恋をしている女の子といった感じで、洸人も普段の彼の無愛想さを忘れさせるほどで、とても輝いていた。その姿に、私たちはただただ圧倒されるばかりだった。

 二人に尋ねると、驚くべきことに、彼らは夏休みに入る前からなんとなく付き合っていたらしい。私たちはその言葉に言葉を失い、まるで自分たちの目の前に立ち現れた奇跡を見ているような気分になった。

 洸人の素行不良を灯子が見かねて注意したことがきっかけで、彼女は彼につきまとい、その行動を厳しく監視していたというのだ。もちろん、洸人は茉凜との約束を守り、女子への誘惑は止めていたものの、その軽々しい態度は変わらなかったらしい。

 そのうち、洸人は灯子のしつこい厳しさに対して興味を持ち、灯子もまた洸人の奥深さに気づき始めた。私たちが、試験勉強で手一杯だったあの頃、彼らの関係が密かに進展していたことに驚きを隠せなかった。

 しかし、その表面的な驚きや好奇心の裏には、微かな不安が広がっていた。洸人が深淵の血族であることを知っている私たちにとって、彼との関係を深める灯子がどのような影響を受けるのか、心配せずにはいられなかった。灯子が洸人の影響を受けて、危険にさらされるのではないかと、胸の奥で静かに不安が広がっていった。

 もしかしたら、灯子が家族や友人たちの前から姿を消し、普通の生活に戻れなくなるかもしれない――そんな暗い未来が頭をよぎるたび、私の胸は締めつけられるような痛みを感じた。

 洸人がこれまでに何人もの女の子と付き合い、そして別れてきた理由が、理解できるような気がした。一人の女性と深く関わることで、その先に待つ避けられない未来が、どれほど彼にとって恐ろしいものであったかを想像すると、彼の心の葛藤が痛いほどわかるように思えた。そのために、どんなに心が惹かれても、本当の意味での絆を結ぶことができなかったのだろう。

 灯子との関係もまた、同じ運命を辿るのではないか――そんな予感が私の心の片隅に重くのしかかっていた。その思いは、どんなに希望を抱こうとしても、どうしても払拭できなかった。

   ◇        ◇

 ある日、私は心の中の不安を抱えながら、鳴海沢に尋ねる決意を固めた。彼の本当の気持ちを知りたくて、灯子に対する本当の思いを聞いてみたかったからだ。夜の静けさの中で、私は震える手を抑えつつ、緊張を必死に押さえながら、彼に問いかけた。

「洸人、お前は灯子のこと……本当に守れるのか?」

 私の声は微かに震えていた。心の奥底から湧き上がる不安を抑えきれず、彼の返答を待つ間、どこか冷たい夜の空気が一層胸に圧し掛かってきた。

 洸人は一瞬、深い沈黙に包まれた。彼の瞳は私の目を真っ直ぐに見つめて、その静かな力強さを感じさせた。そして、彼はゆっくりと口を開いた。

「僕はもう、過去のしがらみに囚われるつもりはないよ。何があっても彼女を守ると、そう心に決めたんだ。今の僕は灯子のために何ができるか、それだけを考えている。君がいてくれたからこそ、僕はその覚悟を持つことができたんだ。解呪の成就を願う君という希望の存在のおかげだよ」

 洸人の言葉に触れたとき、私の心は静かに揺れた。その言葉の奥に、彼がどれほど過去と向き合い、灯子に対する真摯な想いを抱いているのかが伝わってきた。鳴海沢がすでに灯子に自分の正体を打ち明けていたという事実も、彼の決意を一層強く感じさせた。

「だが……それは灯子にとって、あまりにも大きな負担になるんじゃないのか。彼女は普通の女の子なんだぞ」

 私の声は抱える懸念を隠しきれずに、自然に漏れてしまった。鳴海沢は私の不安に対して微笑み、その笑顔には彼がどれほど灯子を大切に思っているのかが溢れていた。

「君の心配は当然だよ。でも、彼女は想像以上に強い人だ。僕にとっては手強い人といってもいいかな。そんな彼女が、僕のすべてを受け入れると覚悟を決めてくれたんだ。そんな風に言ってくれる人なんて、生まれて初めてだった。僕が彼女のためにできることは、ただ全力で守ること。それが僕の役目だと信じている」

 その言葉を聞いて、私の心は再び静かに揺れた。洸人の深い覚悟と灯子への真摯な思いが伝わり、彼が自分の正体を灯子に打ち明けたことも、その決意をより強く感じさせた。私の胸は、その言葉に触れることで少しだけ安らぎを取り戻した。

 ◇          ◇

 夏休み前に灯子が経験した大きなトラブルは、解呪派に傾く鳴海沢家を快く思わない連中による仕業だった。その窮地を洸人が救い、彼らの距離が急速に縮まったという話に、私は胸が締めつけられるような思いを抱いた。灯子が彼の告白を受け入れ、共に歩む未来を選んだと聞いたとき、感動とともに自分の力不足への焦りも感じた。

 彼らの強さに心から感動しつつも、自分もそのような強さを持ちたいと強く願った。心に迷いや不安を抱えながらも、未来に光を見出し、それを掴むために勇気を持って前進している彼らを見て、自分もその一端を担いたいと切に願った。

 その決意を固めたのは、私が背中を押したからだ、と彼は言った。その一言が、私の心に温かさをもたらし、同時に強い責任感も芽生えさせた。彼らの幸せを守りたいと、切実に願わずにはいられなかった。

 だからこそ、私は心の中で誓った。彼らのために、そして自分のためにも、解呪を必ず成し遂げると。彼らが見据える未来が幸せに満ちたものであるように願いを込めて、私は改めて覚悟を決めた。
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登場人物紹介

ミツル・グロンダイルのキャラクター設定

基本情報年齢: 12歳(外見年齢)


外見: この大陸では珍しい黒髪と薄緑の透き通った瞳。美しい容貌だが、体型は少し少年のようで、まな板の寸胴であることに敏感。自称年齢: 21歳(前世の記憶を持つため)


性格: 冷淡に見えながらも実は直情的で、一人でいることを好む。時折無邪気な一面を見せることがある。前世の記憶と現在の状況の狭間で揺れ動き、冷静な大人の一面と子供っぽさが共存する複雑なキャラクター。


好物

食事に関しては美味しいものを少しだけなタイプ。剣の中の茉凜がアルコール依存になってしまったため。最近はお酒も嗜む。


社会的関係: 引っ込み思案で人付き合いが苦手なため、孤独を好む。しかし、孤独を埋めるために時折無邪気な一面を見せる。自分の力や能力に対する内なる葛藤と向き合いながら、過去の記憶と現在の状況の狭間で揺れ動く。


ミツル・グロンダイルの物語における役割

憧れの存在: ユベル・グロンダイル(父)の影響を強く受けており、彼の戦闘スタイルや技術に憧れを抱く。父の遺志を継いで魔獣を狩る役割を担う。

遺産と使命: 父が遺した白きマウザーグレイルを持ち、彼の意志を継ぐ重要な役割を果たしている。彼女の能力と背景は、物語の重要な要素となっている。

謎と葛藤: 彼女の能力と前世の記憶には深い謎があり、物語の進行とともにその全容が明かされる可能性がある。彼女の内面的な葛藤や成長は、物語の核心に深く関わっている。


前世の名前: 柚羽 美鶴(ゆずは みつる)

年齢: 不明(死後、弟の弓鶴に憑依しているため、年齢としては弓鶴の年齢に準じる)

性別: 女性(現在は弟の弓鶴に憑依中)

出身地:九州地方某県の山中の柚羽家(深淵の三家の一つ、始まりの回廊の守護者)

職業: 柚羽家の後継者で深淵の始まりの回廊の巫女


 美鶴は深淵の三家の一つである柚羽家の長女であり、始まりの回廊の守護者。柚羽家襲撃事件で両親を失った後、叔父の虎洞寺氏に保護された。その後、両親の死の真相を知り、自ら人身御供になる覚悟を決め、柚羽家の後継者となった。彼女は密かに深淵の根源の再生を図り、解呪に臨んだが、その試みは失敗し、死亡した。


その後

 美鶴はデルワーズの画策により、弟の弓鶴と意識と記憶の全情報を交換させることで、彼に憑依する形で生き延びる。弟を取り戻すために再び解呪に進もうとした際、茉凜と出会う。茉凜が持つ「黒」の力の安全装置としての役割によって、二人は運命共同体となることが決まる。


 自らが女性であることに対する戸惑いと、茉凜に対する淡い感情を抱くようになり、自分が本当は弟ではないことや、茉凜が見ているのは弟であることに苦悩する。


 美鶴は両親の死の真相を知った後、自らが柚羽家の後継者として深淵の根源の再生を図ろうとしたが、その試みが失敗したことに対する責任感を抱えている。


 茉凜の猛烈なアタックに対して、次第に閉じていた心を開き始めると共に、彼女に対して淡い心を抱く。しかし、自分が本来女性であることや、それを知られることを怖れて受け入れることに苦しんでいる。


 美鶴は茉凜と共に深淵の根源の解呪に挑む中で、茉凜の存在が自らにとってどれほど重要であるかを認識し始める。しかし、彼女は自分の感情と状況に苦悩し、特に自分が女性として抱く感情や、茉凜が見ているのが自分ではなく弟であることに対して深い悩みを抱えている。


深淵の黒鶴

 精霊子に対する感受性が極めて高く、世界に漂うすべての精霊子を集積できる。彼女の前世の名前(美鶴)と組み合わせて【黒鶴】と呼ばれる。限定された空間(場裏)を形成し、その中でイメージ通りの現象を具現化。四大元素すべてを制御可能で、並列起動による複合行使も可能。背中に現れる翼は物質的ではなく、彼女の願望を投影したもの。


場裏

 限定された空間を形成し、その中で事象を操作。色で呼称される流儀に基づき、たとえば赤であれば熱の操作に関わり、イメージのままに具現化できる。詠唱や魔道具を必要としない強力な魔術として認識されている。戦闘と


能力の影響

 ミツルの戦闘スタイルは、前世の影響を色濃く受け継いでおり、流動的で柔軟な戦術が特徴。彼女の能力は瞬時に強力な現象を引き起こすことができ、そのため精神的な負荷が非常に大きい。精神崩壊や自我喪失のリスクが伴う。


精神的負荷

 精霊子の収集と能力の使用により、大脳辺縁系に過大な負荷がかかり、精神的な負担が大きい。特に精霊子への感受性が高い彼女は、負荷に耐えきれず暴走する危険がある。

ヴィル・ブルフォード

 ミツルの前にふらりと現れた、ぼさぼさ頭の無精髭の中年剣士。『黒髪のグロンダイル』の噂を聞きつけて訪れたという、彼の真意と思惑は?

 自らを『放浪のしがない剣士』と言う割に、その剣技は一流で、歴戦の強者。『雷光』とあだ名されると対魔獣戦のエキスパートで、その戦いぶりはミツルも舌を巻く。


年齢 48歳

身長 190センチ近い

体格 大柄で強靭

出身地 不明

職業  剣士、冒険者、元リーディス王国銀翼騎士団右翼副長

髪: ぼさぼさの金髪。長さは無造作に伸びており、戦いの中で乱れたまま放置されている。

顔 無精ひげが顔全体に生えており、荒々しさと共に風格を漂わせている。

武器 中央に深い溝が彫られたブロードソード。鍛造で作られており、適度な粘りを持ち、滅多に折れない。


剣術スタイル

流派 雷光(らいこう)

特徴 巨体とその質量を生かした高速ダッシュ


戦闘スタイル

高速ダッシュ 雷のようなスピードで踏み込み、敵の懐に入り込む

敵の死角利用 相手の身体を死角として利用し、瞬時に繰り出される高速の斬撃で敵を仕留める

左手の傷 突きを繰り出す際に意図的に剣の先に左手を添え、敵の注意を引き付ける。実際の攻撃は横や下から繰り出されるため、非常に巧妙。猪突猛進型でありながらも、臨機応変に対応できる柔軟さを持つ。これは、変幻自在で『型』のないユベルと毎日修練を積み重ねた結果(苦肉の策)による。


戦闘技術

片手剣術 基本的には片手でブロードソードを操るが、必要に応じて両刀も使うことができる。戦況に応じて剣の使い方を変え、迅速かつ的確に対応。


特殊技

雷光突き 瞬時に高速で踏み込み、突きを繰り出す技

閃光斬り 一瞬の隙を突き、相手の死角から高速で斬撃を繰り出す技


特徴と戦術

巨体と速度を生かして、魔獣の懐に入り込み、致命的な攻撃を繰り出す。視線誘導の技術で、敵の視線を引き付けてから攻撃する。


心理と性格

戦場での冷静な判断力と卓越した技術で、数々の戦場で名を馳せる。敵の動きを見極め、最適な攻撃や防御を選択する。どんな状況でも冷静に対応し、自信を持って戦う。猪突猛進型でありながら、変幻自在の戦術を使いこなす柔軟さを持つ。


元リーディス王国銀翼騎士団右翼副長を務めた経験を持つ。騎士団時代の訓練と経験が、彼の戦術的な判断力と剣術の技術に大いに寄与している。特に、ユベルとの修練で得た経験が、彼の変幻自在な戦術に大きな影響を与えている。


その戦闘スタイル

一九〇センチ近い大柄な体躯を持ちながらも、その強靭な体に似合わぬほどの軽快さを誇る剣士。彼の手に握られているのは、ロングソードよりも短いブロードソードに近いもので、中央には深い溝が彫られている。この剣は鍛造で、適度な粘りを持ち、使い手によっては滅多に折れることがない。


ヴィルの剣術のスタイルは「雷光」と呼ばれ、彼の巨体とその質量を生かした高速ダッシュが特徴。彼は特に大きな魔獣を相手にするのが得意で、雷のようなスピードで踏み込むと、敵の懐に入り込み、相手の身体自体を死角として利用する。瞬時に繰り出される高速の斬撃で、敵を一気に仕留める。


特筆すべきは、彼の左手に傷が絶えないこと。これは、突きを繰り出す際に意図的に剣の先に手を添えて、その手に注意を引き付けるためだ。敵がその手に視線を奪われている間に、実際の攻撃は横や下から繰り出されるため、彼の戦術は非常に巧妙。


ヴィルの剣は基本的に片手で操られることが多いが、必要に応じて双剣で戦うこともできる。その柔軟な使い方と、雷光のような素早さを駆使して、彼は戦場でその名を轟かせた。

茉凜(マリン)のキャラクター設定


基本情報年齢: 17歳

身長: 173センチ

プロポーション:高跳びの選手かファッションモデルのようなスラリとしたかっこいいスタイル。ただし本人は自覚なしで自信がない。 


外見: ミルクティーブラウンの髪、大きな瞳、お日様のような笑顔。純粋で優しい少女の姿が特徴的。


性格: 天真爛漫でポジティブ。どんな困難な状況でも明るさを失わず、死の淵の絶対的不利な状況でも輝く。特に追い込まれるとスイッチが切り替わり、予知視界を用いる能力が発揮される。


背景前世: 元々は私たちの世界に住んでいた人物。異世界に突然放り込まれ、さらに剣の中に転生させられるという過酷な運命を辿る。


役割: ミツルの相棒であり、恋人(?)。彼女の無条件の愛情と楽観的な性格がミツルの心の支えとなっている。過去のトラウマ: 落雷事故によるトラウマがあるが、それを嘆くことなく明るさを保ち続ける。ミツルにとっては大きな支え。


能力と役割能力: マウザーグレイル経由の予知視界。死の淵での絶対的不利な状況でも特に有効で、剣の中にあるこの能力が最大の武器である。


役割: ミツルの『深淵の黒鶴』を制御するための安全装置(セーフティ)として機能。暴走を防ぐ唯一の手段として、ミツルとの接触と精神的な感応が必要。自身の全てを捧げる覚悟を持ち、ミツルを守ることを使命としている。


心情と内面愛情: ミツルに対して無条件の愛情を注いでおり、彼女の存在はミツルにとって欠かせない心の拠り所となっている。愛情が恋であることに気づきながらも、その感情を告白することはできない。


支え: ミツルの冷たい態度や無口さの裏に隠された繊細な心を理解し、彼の孤独や苦しみを誰よりも感じ取っている。彼の心の支えとなることを自分の使命と感じ、彼を守るために自分の全てを捧げる覚悟を持っている。


内面の葛藤: 弓鶴(ミツル)が自分にとって特別でなくなるのではないかという不安を抱えながらも、彼の幸せを最優先に考え、自分の感情を抑え込んでいる。仲直りを図る際には自分を押し殺して彼らの関係を修復しようとするなど、内面的には複雑な感情が渦巻いている。

白きマウザーグレイル

基本情報正式名称: 精霊器接続式対魔族兵装 MW-CSV-DD MAUSER-GRELL(マウザーグレイル)

形状: 純白のロングソード

特徴: 刃に相当する部分がなく、実質的には何物も斬れない

構造と材質材質: 不明。構成素材については詳細が不明だが、非常に高い堅牢さを誇る。

耐久性: どんな魔獣の攻撃にもヒビ一つ入らないほどの堅牢さを持つ。

重量: 見た目よりも軽量で、非力なミツルでも自在に扱える。

機能と特性魔導兵装: 剣の形をとった魔導兵装であり、実際には物理的に斬ることはできない。

潜在能力: 現在のところ、ミツルもその実体と潜在能力については把握していない。

補助機能: ミツルの持つスキル「真凜」が安全装置として補助を行っている。

戦闘における役割安全装置: ミツルが持つ「深淵の黒鶴」の能力を制御するための安全装置として機能する。マウザーグレイルが実際の戦闘では使われないが、その存在がミツルの能力の安定に寄与している。

象徴的な意味: 剣そのものは物理的な攻撃力を持たないが、深い意味や力を秘めている可能性がある。特に、ミツルの精神的、象徴的な支えとしての役割を果たしている。

謎と疑問実体の不明: 現状、剣の具体的な機能やその実体についてはミツル自身も把握していない。剣の持つ潜在的な力や目的については謎に包まれている。発見される

可能性: 今後のストーリー展開で、その真の力や役割が明らかになる可能性がある。

ユベル・グロンダイル

 ミツルの父で、『閃光』の異名を持つ変幻自在の剣術を操る天才。すでに故人である。


ユベル・グロンダイルのキャラクター概要

年齢と外見:

年齢:50代外見:かつて金髪だったが、現在は黒く染めている。無精髭を蓄え、スリムで筋肉質な体型。優雅な立ち姿と流れるような戦闘動作が特徴。


役割と経歴:

元リーディス王国銀翼騎士団右翼リーダーであり、対魔獣戦のエキスパート。リーディス王国の銀翼騎士団に所属し、多くの戦場を経験。特に魔獣戦においてその名を馳せた。


基本戦術:

ユベルの戦闘スタイルは「柔」の極みであり、その動きは流動的でまるで水のように変幻自在。力強さでは他の剣士に劣ることもあるが、素早さと身軽さで魔獣を屠る。ステップワークや変則的な体術を駆使し、敵の動きを予測させない巧妙な戦術を展開。回転しながらの斬撃や舞うような動きで敵の意識を散らし、戦局を有利に進める。


家族との関係:

妻:メイレア(元リーディス王国の第三王女)。非常に深い愛情を持ち、二人の関係はミツルにとって時折恥ずかしくなるほどの愛情表現がなされていた。娘:ミツルにとってユベルは憧れの対象であり、彼の戦闘スタイルや技術に強く影響を受けている。

最後の旅と戦い:

妻メイレアの行方不明後、ユベルは娘ミツルを連れて探索の旅に出る。愛する妻を取り戻すため、家族の絆を守るための決意を持っていた。未知の魔獣との戦いで命を落とし、その犠牲によってミツルは生き延びることができた。

白きマウザーグレイル:

ユベルが妻との絆として持っていた白きマウザーグレイルは、ミツルに託された。この剣はユベルの思いと愛情を象徴し、ミツルにとっては父の遺志を継ぐ重要なアイテム。


お尋ね者:

尊敬を集める存在だったが、妻を誘拐した罪が科せられ、お尋ね者として追われていた。ユベル・グロンダイルの戦闘スタイル


「柔」の戦術:

ユベルの戦闘スタイルは「柔」の戦術を体現し、流動的で変幻自在な動きが特徴。彼の動きは舞踏家のように優雅でありながら、非常に戦術的で緻密。


ステップワークと回転体術:

軽やかなステップワークで敵の攻撃を避け、回転しながらの斬撃で敵を翻弄。体操選手やフィギュアスケーターを彷彿とさせる華麗な動きが特徴。


対魔獣戦の特化:

魔獣の懐に自在に出入りし、相手の身体を盾として利用することで最短距離からの攻撃を実現。風のように迅速で、敵の反応を許さない。

彼の戦闘スタイルを際立たせている。

前世での二人

 それは第二章で語られる。

虎洞寺健

美鶴と弓鶴の叔父で、保護者であり協力者。

能力が実用に耐えない血族が所属する郭外のリーダーで、自身は多数の企業を成功に導いた実業家で資産家。その貢献によって上層部にも大きな発言力を持ち、水面下で二人の活動をサポートする。彼の目的は深淵の呪いからの解放と深淵の解体である。

佐藤さん

 柚羽家のお手伝いさんで、美鶴の理解者。昔からの柚羽家のお手伝いさんで、その家事能力は超人。茉凜の料理の師匠。

真坂明

 15歳の少女で、身長は152センチメートル。黒のショートカットが特徴的で、衣装は、黒のクロップトップと高腰のパンツ、袖にディテールが施されたオープンジャケットで、全体的にクールでスタイリッシュな印象。均整の取れたスタイルも、洗練された雰囲気に一役買っている。

性格は情熱的で、自分が思ったことをはっきりと口にするタイプ。弓鶴の元許嫁であり、真坂家の次期後継者としての重責を担っている。また、「深淵の赤の流儀」の高度な術者でもあり、その実力は並外れている。彼女の存在感は、その内に秘めた強い意志と、家の名に恥じない実力から来ている。

明は破談後も弓鶴を想い続けており、それが彼女の能力の原動力になっている。自身が家の後継者となり、弓鶴を婿として迎えようと決意した結果、兄二人を殺害してしまう。

柚羽 美鶴

 ミツルの前世で転生時二十歳。その過去はダイジェストとして第二章で語られる。ミツルの内向的なところは彼女の成分。

 前世では茉凜に対して次第に恋心を抱いていくが、さまざまな問題が障害となって、素直に気持ちを伝えられずにいた。

 彼女のバルファへの転生がグロンダイル家にもたらした影響が、ミツルが戦い旅する理由。

鳴海沢洸人

深淵の血族、上帳を構成する三家の一つ、鳴海沢の長子。流儀青の強力な使い手。弓鶴の確保のために遣わされるが敗退し、その後弓鶴と茉凜の監視役として転校してくる。

数年前に暗殺に失敗し、その後始末として対象を家族諸共惨殺したことがきっかけで、殺せない欠陥品になってしまった。強力な血を残すために家に留め置かれ、鬱々とした日々を送っていた彼を変えたのは、深淵の始まりの回廊の巫女からの言葉だった。 

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