第52話 演劇部にて

文字数 3,692文字

 ウォルターは、荒れ果てた戦場の残骸を背に、長い旅路を終えようとしていた。冷たい風が彼の頬を撫で、薄曇りの空がその心の奥底に潜む暗い陰を映し出しているようだった。左腕は戦場の最後の激闘によって動かすこともできず、その重さが彼の心にも深く刻まれていた。

 数週間前、彼は勇敢に戦い、仲間たちを守るために自らの命を賭けていた。破壊された村々が彼の背後にあり、前方には無数の魔族たちが押し寄せていた。彼の目には、燃え上がる絶望と仲間たちの痛ましい姿が深く刻まれていた。その戦いが終わるころには、彼は大きな傷を負い、左腕の自由を失ってしまった。

 その日以降、彼は戦場での戦いの残像にただ佇む日々を送っていた。心の奥には、死にゆく仲間たちの影がちらつき、無力感と喪失感が彼を圧し続けていた。

 ある日、迷いながらも歩みを進めたウォルターは、森の奥で淡い光に導かれ、ひとつの泉のほとりに辿り着いた。その光景は、彼の心に優しく深い感銘を与えた。

 泉の水面には、少女が静かに舞っていた。その舞いは、水面にさざ波を立てるような優雅さを持ち、まるで夢の中の光景のようだった。少女の動きは、ひとつひとつが静かな音楽に合わせて踊るようで、その姿にウォルターの心はすっかり奪われていた。

 ウォルターはその光景を見つめながら、心の中で過去の戦いを反芻していた。戦場で彼が目にしていたのは、常に絶望と混沌、友の血の色、敵の叫び声、炎の中で燃える破滅だけだった。しかし、今、彼が目の前にするのは、戦いとは無縁の美しい舞いだった。その景色に触れた瞬間、彼の心に眠っていた希望と夢が蘇り、複雑な感情が渦巻いていた。

 少女の舞いを見ることで、ウォルターは自分が失っていたもの、つまり純粋な喜びや美しさへの感受性を再び感じ取ることができた。それは彼が戦場で築き上げた冷徹な姿勢とは正反対の、温かく優しいものであった。

「なんて美しいんだ……」

 ウォルターは心の中で呟いた。彼の心には、過去の自分と現在の自分、そして未来への希望が交錯していた。

 その舞いを見つめるウォルターの目には、かすかな希望の光が宿り始めていた。もしかすると、再び立ち上がるべき時が来たのかもしれないという微かな期待が彼の心に芽生えていた。しかし、その希望と共に、過去の影が常に彼の心に重くのしかかっていた。

 少女の舞いを見つめるウォルターの胸には、希望と過去、そして新たな始まりへの期待が交錯していた。それは、彼が再び歩き出すための力となり、心の奥底から湧き上がる新たな決意を育む光景となっていた。

      ◇       ◇

 放課後の演劇部室で、脚本と演出担当の高岸が待っていた。彼女は二年生で、私と同じ年齢。赤いフレームのメガネをかけ、ポニーテールを揺らす小柄な女子で、その活発な印象が特徴だった。私たちが部室に入ると、彼女は満面の笑顔で駆け寄ってきた。

「おおお、柚羽君、来てくれたんだ! 役を引き受けてくれてありがとう! これで、イメージ通りのキャスティングが完成するわ!」

 その押しの強すぎる言葉に、一瞬、私は引いてしまった。どうやら彼女の中では、私が役を引き受けることが既定路線のようで、その情景を勝手に妄想しているようにも見えた。

 胸の中に不安と戸惑いが押し寄せ、言葉がうまく出てこない。

「い、いや、俺はまだ引き受けるとは言っていない。断る前に話を聞きに来ただけだ」

「そうかそうか!」

 高岸は私の葛藤には気づかず、勢いよく語り続けた。彼女の期待に満ちた目が、まるで私がすでに決断したかのように輝いていて、私の内心は混乱していた。彼女の熱意に押されて、引き受けるという選択肢が頭をよぎったが、心のどこかで「これでいいのか?」という疑問が燻っていた。

「柚羽君、あなたはこの役にぴったりなの! 我が校一の美貌はもちろんだけど、男の子が女の子の役を演じることに対する恥じらいや初々しさがこの役のイメージには重要で、きっとあなたならそれを自然に表現できるはず!」

 その言葉に、私は赤面してしまった。高岸は私の正体など知らない。校内随一の美貌を誇る弓鶴が女の子の役を演じるとなれば話題にはなるだろうし、彼女は単純にそれを期待しているのかもしれない。しかし、それは私にとってただの演技以上の意味を持っていた。

「まずは詳しく話を聞いてからだ。それから判断させてもらう」

 引きつった顔で答える私に、高岸はまだ妄想の世界から戻っていないようだった。心配になって、隣にいた灯子に小声で尋ねた。

「この人、本当に大丈夫なのか? こんな恥ずかしい役をやらされるなんて、不安しかないんだが?」

「まあ、彼女っていつもこんな感じだから。ちょっと妄想癖があって暴走気味だけど、仕事ぶりは確かだから。安心していいよ。それに、彼女の観察眼と直感は折り紙付きだからね」

「直感ね……」

 灯子の言葉に少し安心したものの、私の不安は拭えなかった。女の子としての自分を隠してきた私が、役の中でどう表現すればいいのか全くわからなかった。

 灯子の言葉を聞いた途端、高岸が急に真顔になり詰め寄ってきた。

「如月さん、あなた、話は通したって言ってなかった?」

「通したわよ? だからここに連れてきたんだけど、でもオーケーしたとは言ってないから」

「私はこれに命を懸けてるのよ。いい加減なことされると困るんだけど」

 「こんなものに命を懸けるな」と言いたくなる衝動をなんとか抑えた私たちは、その後、高岸から劇のテーマやコンセプト、そして大まかなストーリーと役柄について説明を受けることになった。

 テーマは「運命と自己犠牲からの救済」と「希望に向けての旅立ち」で、オーソドックスなボーイミーツ・ガールの物語だという。

 配役は、主役の騎士に茉凜、ヒロイン役に私、敵の魔族将軍に洸人、その部下で右腕の戦士に明といった具合だった。

「どうして部員でもない私たちが?」と疑問に思いながらも、高岸の説明を聞くと、どうやら配役は「イメージ優先」と「意外性」を重視しているという。

 そんな理由で、と頭が痛くなりそうだったが、高岸は既存のイメージを破壊したいらしい。また、彼女の直感はよく当たるのだというが、本当だろうか?

 彼女の直感が、私たち深淵の血族の陰の部分、過去や独特の雰囲気を感じ取ったのであれば大したものだが、どうして主役に茉凜が選ばれたのかが納得できない。男である弓鶴を考慮すれば、主役は私だろうという気持ちが心の奥にひそかにあった。

 高岸は私たちに、キャスティングの選択理由を熱心に説明してくれた。その言葉の一つ一つに、彼女の直感と情熱が込められていた。

 やはり高岸は、私たちが放つ独特な雰囲気を敏感に感じ取っていたようで、それがファンタジー世界が舞台の演目にぴったりだと直感したのだと語った。その言葉には、自信と確信が滲み出ており、私たちにとっての可能性を示唆するようだった。

 弓鶴の身体に亡霊のように憑依し、血族の宿願成就と本来の身体の持ち主である弟の魂を奪還しようとする私。血族の悲劇の連鎖に縛られ、生き方を捻じ曲げられてきた洸人と明。私たちの物語の深層が高岸の直感によって一層鮮明になったような気がした。

 そして、高岸が「加茂野さんは、背が高くてすらっとしていて、男装したら絶対に映えると思うのよね」と熱く語るのを聞きながら、一瞬、「有名歌劇団の男役」を思い浮かべた。しかし、その直後に浮かんだのは、私と向き合う時の茉凜の温かくてのほほんとした表情だった。彼女の姿を想像するたびに、どうしても首をひねらざるを得なかった。

 茉凜は弓鶴よりも三センチ以上背が高く、そのスタイルはファッションモデルのように見栄えがよく、男子よりも女子からの評価が高いのも理解できるし、私自身もその魅力を強く感じていた。彼女の堂々とした振る舞い方は、まるでステージを進む王者のようで、周囲の視線をものともしないその姿に、私はいつも安心感と頼もしさを抱いていた。

 彼女は元々普通の女の子だったが、一年以上前に落雷事故に遭い、それまでの人生が破壊されてしまった。それでも彼女は私と出会い、それを契機に新しい自分に生まれ変わろうと決意した。その逆境から立ち上がる前向きな姿勢が、彼女の強さの根源であると私はよく理解していた。

 私自身、茉凜に対して憧れのような感情を抱いていた。彼女と同じ舞台に立つことができたら、どんな風に感じるのだろうか。その堂々とした姿と、私本来の内面がどのように交わるのかを考えるだけで、心が高鳴った。けれども、心の奥底で「だめだ」と自分を押さえつけている自分もいた。

 結局、私たちはその場で即答することを避け、脚本を持ち帰ってじっくりと読んでみることに決めた。これからどうすべきか、脚本の中にヒントが隠されているかもしれない。そのためにも、まずは冷静に内容を把握することが大事だと考えた。

 部室に戻ると、再び静かな空気が流れ、私たちはそれぞれの思いを抱えながら、今後の道のりに対する不安と期待を胸に部室を後にした。
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登場人物紹介

ミツル・グロンダイルのキャラクター設定

基本情報年齢: 12歳(外見年齢)


外見: この大陸では珍しい黒髪と薄緑の透き通った瞳。美しい容貌だが、体型は少し少年のようで、まな板の寸胴であることに敏感。自称年齢: 21歳(前世の記憶を持つため)


性格: 冷淡に見えながらも実は直情的で、一人でいることを好む。時折無邪気な一面を見せることがある。前世の記憶と現在の状況の狭間で揺れ動き、冷静な大人の一面と子供っぽさが共存する複雑なキャラクター。


好物

食事に関しては美味しいものを少しだけなタイプ。剣の中の茉凜がアルコール依存になってしまったため。最近はお酒も嗜む。


社会的関係: 引っ込み思案で人付き合いが苦手なため、孤独を好む。しかし、孤独を埋めるために時折無邪気な一面を見せる。自分の力や能力に対する内なる葛藤と向き合いながら、過去の記憶と現在の状況の狭間で揺れ動く。


ミツル・グロンダイルの物語における役割

憧れの存在: ユベル・グロンダイル(父)の影響を強く受けており、彼の戦闘スタイルや技術に憧れを抱く。父の遺志を継いで魔獣を狩る役割を担う。

遺産と使命: 父が遺した白きマウザーグレイルを持ち、彼の意志を継ぐ重要な役割を果たしている。彼女の能力と背景は、物語の重要な要素となっている。

謎と葛藤: 彼女の能力と前世の記憶には深い謎があり、物語の進行とともにその全容が明かされる可能性がある。彼女の内面的な葛藤や成長は、物語の核心に深く関わっている。


前世の名前: 柚羽 美鶴(ゆずは みつる)

年齢: 不明(死後、弟の弓鶴に憑依しているため、年齢としては弓鶴の年齢に準じる)

性別: 女性(現在は弟の弓鶴に憑依中)

出身地:九州地方某県の山中の柚羽家(深淵の三家の一つ、始まりの回廊の守護者)

職業: 柚羽家の後継者で深淵の始まりの回廊の巫女


 美鶴は深淵の三家の一つである柚羽家の長女であり、始まりの回廊の守護者。柚羽家襲撃事件で両親を失った後、叔父の虎洞寺氏に保護された。その後、両親の死の真相を知り、自ら人身御供になる覚悟を決め、柚羽家の後継者となった。彼女は密かに深淵の根源の再生を図り、解呪に臨んだが、その試みは失敗し、死亡した。


その後

 美鶴はデルワーズの画策により、弟の弓鶴と意識と記憶の全情報を交換させることで、彼に憑依する形で生き延びる。弟を取り戻すために再び解呪に進もうとした際、茉凜と出会う。茉凜が持つ「黒」の力の安全装置としての役割によって、二人は運命共同体となることが決まる。


 自らが女性であることに対する戸惑いと、茉凜に対する淡い感情を抱くようになり、自分が本当は弟ではないことや、茉凜が見ているのは弟であることに苦悩する。


 美鶴は両親の死の真相を知った後、自らが柚羽家の後継者として深淵の根源の再生を図ろうとしたが、その試みが失敗したことに対する責任感を抱えている。


 茉凜の猛烈なアタックに対して、次第に閉じていた心を開き始めると共に、彼女に対して淡い心を抱く。しかし、自分が本来女性であることや、それを知られることを怖れて受け入れることに苦しんでいる。


 美鶴は茉凜と共に深淵の根源の解呪に挑む中で、茉凜の存在が自らにとってどれほど重要であるかを認識し始める。しかし、彼女は自分の感情と状況に苦悩し、特に自分が女性として抱く感情や、茉凜が見ているのが自分ではなく弟であることに対して深い悩みを抱えている。


深淵の黒鶴

 精霊子に対する感受性が極めて高く、世界に漂うすべての精霊子を集積できる。彼女の前世の名前(美鶴)と組み合わせて【黒鶴】と呼ばれる。限定された空間(場裏)を形成し、その中でイメージ通りの現象を具現化。四大元素すべてを制御可能で、並列起動による複合行使も可能。背中に現れる翼は物質的ではなく、彼女の願望を投影したもの。


場裏

 限定された空間を形成し、その中で事象を操作。色で呼称される流儀に基づき、たとえば赤であれば熱の操作に関わり、イメージのままに具現化できる。詠唱や魔道具を必要としない強力な魔術として認識されている。戦闘と


能力の影響

 ミツルの戦闘スタイルは、前世の影響を色濃く受け継いでおり、流動的で柔軟な戦術が特徴。彼女の能力は瞬時に強力な現象を引き起こすことができ、そのため精神的な負荷が非常に大きい。精神崩壊や自我喪失のリスクが伴う。


精神的負荷

 精霊子の収集と能力の使用により、大脳辺縁系に過大な負荷がかかり、精神的な負担が大きい。特に精霊子への感受性が高い彼女は、負荷に耐えきれず暴走する危険がある。

ヴィル・ブルフォード

 ミツルの前にふらりと現れた、ぼさぼさ頭の無精髭の中年剣士。『黒髪のグロンダイル』の噂を聞きつけて訪れたという、彼の真意と思惑は?

 自らを『放浪のしがない剣士』と言う割に、その剣技は一流で、歴戦の強者。『雷光』とあだ名されると対魔獣戦のエキスパートで、その戦いぶりはミツルも舌を巻く。


年齢 48歳

身長 190センチ近い

体格 大柄で強靭

出身地 不明

職業  剣士、冒険者、元リーディス王国銀翼騎士団右翼副長

髪: ぼさぼさの金髪。長さは無造作に伸びており、戦いの中で乱れたまま放置されている。

顔 無精ひげが顔全体に生えており、荒々しさと共に風格を漂わせている。

武器 中央に深い溝が彫られたブロードソード。鍛造で作られており、適度な粘りを持ち、滅多に折れない。


剣術スタイル

流派 雷光(らいこう)

特徴 巨体とその質量を生かした高速ダッシュ


戦闘スタイル

高速ダッシュ 雷のようなスピードで踏み込み、敵の懐に入り込む

敵の死角利用 相手の身体を死角として利用し、瞬時に繰り出される高速の斬撃で敵を仕留める

左手の傷 突きを繰り出す際に意図的に剣の先に左手を添え、敵の注意を引き付ける。実際の攻撃は横や下から繰り出されるため、非常に巧妙。猪突猛進型でありながらも、臨機応変に対応できる柔軟さを持つ。これは、変幻自在で『型』のないユベルと毎日修練を積み重ねた結果(苦肉の策)による。


戦闘技術

片手剣術 基本的には片手でブロードソードを操るが、必要に応じて両刀も使うことができる。戦況に応じて剣の使い方を変え、迅速かつ的確に対応。


特殊技

雷光突き 瞬時に高速で踏み込み、突きを繰り出す技

閃光斬り 一瞬の隙を突き、相手の死角から高速で斬撃を繰り出す技


特徴と戦術

巨体と速度を生かして、魔獣の懐に入り込み、致命的な攻撃を繰り出す。視線誘導の技術で、敵の視線を引き付けてから攻撃する。


心理と性格

戦場での冷静な判断力と卓越した技術で、数々の戦場で名を馳せる。敵の動きを見極め、最適な攻撃や防御を選択する。どんな状況でも冷静に対応し、自信を持って戦う。猪突猛進型でありながら、変幻自在の戦術を使いこなす柔軟さを持つ。


元リーディス王国銀翼騎士団右翼副長を務めた経験を持つ。騎士団時代の訓練と経験が、彼の戦術的な判断力と剣術の技術に大いに寄与している。特に、ユベルとの修練で得た経験が、彼の変幻自在な戦術に大きな影響を与えている。


その戦闘スタイル

一九〇センチ近い大柄な体躯を持ちながらも、その強靭な体に似合わぬほどの軽快さを誇る剣士。彼の手に握られているのは、ロングソードよりも短いブロードソードに近いもので、中央には深い溝が彫られている。この剣は鍛造で、適度な粘りを持ち、使い手によっては滅多に折れることがない。


ヴィルの剣術のスタイルは「雷光」と呼ばれ、彼の巨体とその質量を生かした高速ダッシュが特徴。彼は特に大きな魔獣を相手にするのが得意で、雷のようなスピードで踏み込むと、敵の懐に入り込み、相手の身体自体を死角として利用する。瞬時に繰り出される高速の斬撃で、敵を一気に仕留める。


特筆すべきは、彼の左手に傷が絶えないこと。これは、突きを繰り出す際に意図的に剣の先に手を添えて、その手に注意を引き付けるためだ。敵がその手に視線を奪われている間に、実際の攻撃は横や下から繰り出されるため、彼の戦術は非常に巧妙。


ヴィルの剣は基本的に片手で操られることが多いが、必要に応じて双剣で戦うこともできる。その柔軟な使い方と、雷光のような素早さを駆使して、彼は戦場でその名を轟かせた。

茉凜(マリン)のキャラクター設定


基本情報年齢: 17歳

身長: 173センチ

プロポーション:高跳びの選手かファッションモデルのようなスラリとしたかっこいいスタイル。ただし本人は自覚なしで自信がない。 


外見: ミルクティーブラウンの髪、大きな瞳、お日様のような笑顔。純粋で優しい少女の姿が特徴的。


性格: 天真爛漫でポジティブ。どんな困難な状況でも明るさを失わず、死の淵の絶対的不利な状況でも輝く。特に追い込まれるとスイッチが切り替わり、予知視界を用いる能力が発揮される。


背景前世: 元々は私たちの世界に住んでいた人物。異世界に突然放り込まれ、さらに剣の中に転生させられるという過酷な運命を辿る。


役割: ミツルの相棒であり、恋人(?)。彼女の無条件の愛情と楽観的な性格がミツルの心の支えとなっている。過去のトラウマ: 落雷事故によるトラウマがあるが、それを嘆くことなく明るさを保ち続ける。ミツルにとっては大きな支え。


能力と役割能力: マウザーグレイル経由の予知視界。死の淵での絶対的不利な状況でも特に有効で、剣の中にあるこの能力が最大の武器である。


役割: ミツルの『深淵の黒鶴』を制御するための安全装置(セーフティ)として機能。暴走を防ぐ唯一の手段として、ミツルとの接触と精神的な感応が必要。自身の全てを捧げる覚悟を持ち、ミツルを守ることを使命としている。


心情と内面愛情: ミツルに対して無条件の愛情を注いでおり、彼女の存在はミツルにとって欠かせない心の拠り所となっている。愛情が恋であることに気づきながらも、その感情を告白することはできない。


支え: ミツルの冷たい態度や無口さの裏に隠された繊細な心を理解し、彼の孤独や苦しみを誰よりも感じ取っている。彼の心の支えとなることを自分の使命と感じ、彼を守るために自分の全てを捧げる覚悟を持っている。


内面の葛藤: 弓鶴(ミツル)が自分にとって特別でなくなるのではないかという不安を抱えながらも、彼の幸せを最優先に考え、自分の感情を抑え込んでいる。仲直りを図る際には自分を押し殺して彼らの関係を修復しようとするなど、内面的には複雑な感情が渦巻いている。

白きマウザーグレイル

基本情報正式名称: 精霊器接続式対魔族兵装 MW-CSV-DD MAUSER-GRELL(マウザーグレイル)

形状: 純白のロングソード

特徴: 刃に相当する部分がなく、実質的には何物も斬れない

構造と材質材質: 不明。構成素材については詳細が不明だが、非常に高い堅牢さを誇る。

耐久性: どんな魔獣の攻撃にもヒビ一つ入らないほどの堅牢さを持つ。

重量: 見た目よりも軽量で、非力なミツルでも自在に扱える。

機能と特性魔導兵装: 剣の形をとった魔導兵装であり、実際には物理的に斬ることはできない。

潜在能力: 現在のところ、ミツルもその実体と潜在能力については把握していない。

補助機能: ミツルの持つスキル「真凜」が安全装置として補助を行っている。

戦闘における役割安全装置: ミツルが持つ「深淵の黒鶴」の能力を制御するための安全装置として機能する。マウザーグレイルが実際の戦闘では使われないが、その存在がミツルの能力の安定に寄与している。

象徴的な意味: 剣そのものは物理的な攻撃力を持たないが、深い意味や力を秘めている可能性がある。特に、ミツルの精神的、象徴的な支えとしての役割を果たしている。

謎と疑問実体の不明: 現状、剣の具体的な機能やその実体についてはミツル自身も把握していない。剣の持つ潜在的な力や目的については謎に包まれている。発見される

可能性: 今後のストーリー展開で、その真の力や役割が明らかになる可能性がある。

ユベル・グロンダイル

 ミツルの父で、『閃光』の異名を持つ変幻自在の剣術を操る天才。すでに故人である。


ユベル・グロンダイルのキャラクター概要

年齢と外見:

年齢:50代外見:かつて金髪だったが、現在は黒く染めている。無精髭を蓄え、スリムで筋肉質な体型。優雅な立ち姿と流れるような戦闘動作が特徴。


役割と経歴:

元リーディス王国銀翼騎士団右翼リーダーであり、対魔獣戦のエキスパート。リーディス王国の銀翼騎士団に所属し、多くの戦場を経験。特に魔獣戦においてその名を馳せた。


基本戦術:

ユベルの戦闘スタイルは「柔」の極みであり、その動きは流動的でまるで水のように変幻自在。力強さでは他の剣士に劣ることもあるが、素早さと身軽さで魔獣を屠る。ステップワークや変則的な体術を駆使し、敵の動きを予測させない巧妙な戦術を展開。回転しながらの斬撃や舞うような動きで敵の意識を散らし、戦局を有利に進める。


家族との関係:

妻:メイレア(元リーディス王国の第三王女)。非常に深い愛情を持ち、二人の関係はミツルにとって時折恥ずかしくなるほどの愛情表現がなされていた。娘:ミツルにとってユベルは憧れの対象であり、彼の戦闘スタイルや技術に強く影響を受けている。

最後の旅と戦い:

妻メイレアの行方不明後、ユベルは娘ミツルを連れて探索の旅に出る。愛する妻を取り戻すため、家族の絆を守るための決意を持っていた。未知の魔獣との戦いで命を落とし、その犠牲によってミツルは生き延びることができた。

白きマウザーグレイル:

ユベルが妻との絆として持っていた白きマウザーグレイルは、ミツルに託された。この剣はユベルの思いと愛情を象徴し、ミツルにとっては父の遺志を継ぐ重要なアイテム。


お尋ね者:

尊敬を集める存在だったが、妻を誘拐した罪が科せられ、お尋ね者として追われていた。ユベル・グロンダイルの戦闘スタイル


「柔」の戦術:

ユベルの戦闘スタイルは「柔」の戦術を体現し、流動的で変幻自在な動きが特徴。彼の動きは舞踏家のように優雅でありながら、非常に戦術的で緻密。


ステップワークと回転体術:

軽やかなステップワークで敵の攻撃を避け、回転しながらの斬撃で敵を翻弄。体操選手やフィギュアスケーターを彷彿とさせる華麗な動きが特徴。


対魔獣戦の特化:

魔獣の懐に自在に出入りし、相手の身体を盾として利用することで最短距離からの攻撃を実現。風のように迅速で、敵の反応を許さない。

彼の戦闘スタイルを際立たせている。

前世での二人

 それは第二章で語られる。

虎洞寺健

美鶴と弓鶴の叔父で、保護者であり協力者。

能力が実用に耐えない血族が所属する郭外のリーダーで、自身は多数の企業を成功に導いた実業家で資産家。その貢献によって上層部にも大きな発言力を持ち、水面下で二人の活動をサポートする。彼の目的は深淵の呪いからの解放と深淵の解体である。

佐藤さん

 柚羽家のお手伝いさんで、美鶴の理解者。昔からの柚羽家のお手伝いさんで、その家事能力は超人。茉凜の料理の師匠。

真坂明

 15歳の少女で、身長は152センチメートル。黒のショートカットが特徴的で、衣装は、黒のクロップトップと高腰のパンツ、袖にディテールが施されたオープンジャケットで、全体的にクールでスタイリッシュな印象。均整の取れたスタイルも、洗練された雰囲気に一役買っている。

性格は情熱的で、自分が思ったことをはっきりと口にするタイプ。弓鶴の元許嫁であり、真坂家の次期後継者としての重責を担っている。また、「深淵の赤の流儀」の高度な術者でもあり、その実力は並外れている。彼女の存在感は、その内に秘めた強い意志と、家の名に恥じない実力から来ている。

明は破談後も弓鶴を想い続けており、それが彼女の能力の原動力になっている。自身が家の後継者となり、弓鶴を婿として迎えようと決意した結果、兄二人を殺害してしまう。

柚羽 美鶴

 ミツルの前世で転生時二十歳。その過去はダイジェストとして第二章で語られる。ミツルの内向的なところは彼女の成分。

 前世では茉凜に対して次第に恋心を抱いていくが、さまざまな問題が障害となって、素直に気持ちを伝えられずにいた。

 彼女のバルファへの転生がグロンダイル家にもたらした影響が、ミツルが戦い旅する理由。

鳴海沢洸人

深淵の血族、上帳を構成する三家の一つ、鳴海沢の長子。流儀青の強力な使い手。弓鶴の確保のために遣わされるが敗退し、その後弓鶴と茉凜の監視役として転校してくる。

数年前に暗殺に失敗し、その後始末として対象を家族諸共惨殺したことがきっかけで、殺せない欠陥品になってしまった。強力な血を残すために家に留め置かれ、鬱々とした日々を送っていた彼を変えたのは、深淵の始まりの回廊の巫女からの言葉だった。 

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