第26話 冷酷王子と町娘

文字数 3,882文字

 明との一件があってから、私たちは自然と名前で呼び合うようになった。最初はただの流れに身を任せていたけれど、その変化が私の心の中に小さな波紋を広げていることに気づき始めていた。

 真凜が「その方が気楽だから」と提案してくれたとき、私はただ頷くだけで精一杯だった。表面上は冷静を装っていたけれど、その内側で戸惑いがじわじわと広がっていた。

 彼女の優しさが、私の冷たく固まった心にぶつかり、まるで氷のように頑なな部分を溶かそうとしているかのようだった。彼女の温かさが私の心を温める一方で、その変化に対する恐れや不安が常に心の奥に潜んでいた。彼女の笑顔や優しい言葉が、私にとっては心地良いけれども、同時にそれを受け入れることで何か大切なものを失ってしまうのではないかと感じていた。

 彼女の存在が、私の心に静かに影響を与え続けている。真凜の優しさが私にとっては温かい光でありながらも、その光に包まれることで、私の心の深い部分に新たな感情が芽生えてしまうことを恐れていた。彼女が差し出す温もりに触れるたびに、自分の心が少しずつ変わっていくのを感じながら、その変化に対する複雑な感情を抱え続けている自分がいた。

      ◇        ◇

 新しい学園生活が始まることになった。四月の爽やかな空気が、少しだけ私の緊張を和らげてくれたけれど、新たな環境への不安は拭えなかった。真凜と私は、虎洞寺氏が理事長を務める【翡創学園】の高等部に一年生として通うことになったが、心の中では既に複雑な思いが渦巻いていた。

 真凜は事故の影響で留年し、私も出席日数が足りなかったため、同じく留年することになった。幸いにも、私たちは異なるクラスになると知り、少しだけ安堵したものの、同じ学校で過ごすことには不安があった。

 初登校の日の朝、私は決意を固めて真凜に忠告した。「学校では俺に近づくな、話しかけるな」と。理由を説明することはできず、ただ「面倒だからだ」とだけ伝えたが、真凜の目には理解できないという表情が浮かんでいた。

 彼女の視線が私の心を揺さぶったが、自分が築き上げた「氷の王子様」という仮面を崩したくなかった。それが、私の本当の気持ちを守るための盾となっていたからだ。でも、私がどれほど冷たい態度を装っても、心の奥では真凜の存在が深く影響を与えていた。

 学校に到着したとき、私は真凜を先に行かせようとしたが、彼女は右手で私を強引に引いて、一緒に歩き始めた。驚きと困惑が混じった私の心は、彼女の無理やりの行動に対抗しようとしたけれど、真凜の力は予想外に強く、私を引きずるようにして校舎へと歩かされた。

 彼女の強引さと、それにも関わらずどこか優しさを感じさせるその力に、私は心の中で葛藤していた。彼女の手が私の手に触れるたびに、何かが崩れていくような気がして、その感覚にどう対処すべきかがわからなかった。

 周囲の生徒たちの視線が私たちに集まり、私はその注目に顔が熱くなるのを感じていた。心の中では、「どうしてこんなことになったのか」と悔やむ思いが渦巻いていた。

 真凜の背は弓鶴である私よりもずっと高く、スタイルはファッションモデルのように美しく、その堂々とした姿が周囲の視線を集めるのは当然のことといえた。

 彼女が背筋を伸ばし、自信に満ちた態度で私を引っ張って歩く姿は、まるで太陽のように眩しく、私の心に強く印象づけられていった。その堂々たる振る舞いが、周囲の目を一身に集める中で、私は新たな感情が芽生え始めるのを感じていた。

 「だから面倒なことになると言ったんだ」と不機嫌そうに口にしたが、彼女は「なあに、気にしない気にしない」と、明るい笑顔で答えていた。彼女の笑顔と、周囲を全く気にしないその姿勢は、私の内面に大きな影響を与えていた。

 真凜の存在が、私の心の壁を少しずつ崩していく様子に、私はどうしようもない混乱と共に、新しい感情が芽生えていくのを感じていた。

 その後、真凜は休み時間になるたび私のクラスにやって来ていた。無視しようと心に決めたが、彼女の一途な行動には戸惑いが募るばかりだった。

      ◇         ◇

 しばらくしないうちに、虎洞寺邸で一緒に住んでいるという事実もすぐに広まり、まるで私たちが「同棲している」とでも言わんばかりの変な噂が立ち、私はただただ頭を抱えるしかなかった。真凜はそんなことなど気にもせずに、無邪気な笑顔で毎日を楽しんでいるようだった。

 そんな中で迎えたある昼休み。真凜が手作りのお弁当を持って私の元にやって来た。彼女の笑顔はまるで春の陽光のように眩しく、私はその温かさに胸が締め付けられるような気がした。

 彼女が私の机の上にお弁当を差し出し、「これ、一緒に食べようよ」と言った。弁当箱の蓋が少し開いていて、中から漂ってくる香りが私の食欲をそそる。周囲の生徒たちの視線がじりじりと感じられ、私はその圧力に圧倒されていた。

 心の中で「無視しよう」と決めていたが、彼女の笑顔に押されて、どうしてもその決意を貫けなかった。「やめろ」と声を低くして言うのが精一杯だったが、真凜は微笑みを崩さずにお弁当をさらに押し寄せてきた。

 その頑固さに苛立ちを覚え、ついに手を払いのけてしまった。弁当箱が彼女の手から滑り落ち、床に音を立てて転がる。教室全体がその音に反応し、一瞬にして静まり返った。

 私の心はその瞬間に冷たい汗をかき、全ての視線が自分に注がれているのを感じた。真凜の驚きと困惑が交じった表情に、胸の奥で自己嫌悪が広がり、ただただその場の空気に押しつぶされるような思いだった。

 真凜が弁当箱を見下ろし、驚きと悲しみが一瞬だけその瞳に映ったのを見たとき、私は自分の行動のひどさを深く理解した。彼女がただ私に優しくしようとしていただけなのに、私はその善意を踏みにじってしまった。胸の奥で締めつけられるような痛みが広がり、居たたまれない気持ちに押しつぶされるようだった。

 言葉を発することもできず、私はただ教室を飛び出してしまった。廊下を駆け抜けながら、心の中で「どうして、あんなことをしてしまったの」と繰り返し自問し続けた。真凜の笑顔、あの優しさが私をどれだけ温かく包んでくれていたのかを思い返し、その後悔と自責の念はますます深くなっていった。

 一人になりたくて、私は人が少ない場所を探し、学校の屋上へと向かった。冷たい風が頬を撫で、その冷たさが心の中の混乱を少しだけ和らげてくれるようだった。空を見上げ、深呼吸を繰り返しながら、自分の愚かさを噛み締めていた。

 「私はなんてことを……」と小さく呟くと、その言葉は風に流され、どこかへ消えていった。私の内心の苦悩が、空に溶けていくような感覚に包まれながら、自分の行動に対する罪悪感と悲しみに深く沈んでいった。

 如月灯子(きさらぎとうこ)が私の前に現れたとき、私の中に驚きの波が広がった。彼女は弓鶴の中等部時代からの友人だった。復学後は自然に距離が開き、関わりがなくなっていた。留年によって彼女は二年生になり、私と再び交わるとは思いもよらなかった。

 灯子は私と真凜の噂を耳にし、教室を通り過ぎたときに先ほどの騒動を目撃していたようだった。私はその場から逃げるようにして去ってしまい、彼女の存在にも気づかなかった。その後、彼女は真凜に近づき、何とかフォローしたのだという。

 だというのに、私の彼女に対する反応は無関心で冷たかった。

「だからどうしたというんだ。あんな人の気持ちもわからないおせっかいなど、迷惑なだけだ」

 すると、灯子は私の冷たい言葉に少し首を傾げてから、優しい眼差しで答えた。

「あなたって、本当に変わってしまったのね。昔はそんな人じゃなかったのに……。言っておくけど、人の気持ちがわからないのはあなたの方じゃないの? いい? 理由はどうあれ、彼女にあやまりなさい」

 その言葉は、私の心の奥深くに鋭く刺さった。灯子が去った後、私はただ立ち尽くしていた。自分の冷たさがひどく悔やまれ、心の中で反省が広がっていった。

 昼休みの終わり、廊下で真凜と偶然出会ったとき、私は目を合わせることもできず、ただ通り過ぎようとした。彼女は静かに立っていて、その姿に私は立ち止まり、心の奥底に隠れていた感情が一気に溢れ出すのを感じた。

 「すまなかった……」と呟くのが精一杯だった。その一言が、私の最大の謝罪だった。

 真凜は、私の言葉に驚いたような表情を浮かべ、目をぱちくりさせた後、ゆっくりと優しく微笑んだ。その笑顔は、彼女の頬に小さなえくぼを作り、温かさを感じさせるもので、彼女は両手を前に軽く組んで、まるで心から受け入れるようにした。

「ううん、あれはただの弾みみたいなものだから、全然気にしてないよ。でも、いつもお昼を食べてないみたいだから、身体のことが心配で、少しでも食べてもらえたらと思ったんだ。だって、相棒の健康管理は大切だからねっ」

 彼女の言葉が、私の心に少しの変化をもたらした。真凜が優しく手を振りながら、少し照れたように笑っている姿が、私の心に温かさを運んできた。言葉にはできない感謝の気持ちが込み上げた。

「心配かけてすまない。これからはちゃんと食べるようにする……」

 私の言葉に対して、真凜は再び嬉しそうに微笑み、その笑顔が私の心にじんわりと温かさを広げた。彼女の無邪気な優しさが、私の硬く閉ざされた心に小さな光を差し込んでくれるようだった。それはまるで冷えた体が徐々に温まっていくような、じんわりとした変化だった。
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登場人物紹介

ミツル・グロンダイルのキャラクター設定

基本情報年齢: 12歳(外見年齢)


外見: この大陸では珍しい黒髪と薄緑の透き通った瞳。美しい容貌だが、体型は少し少年のようで、まな板の寸胴であることに敏感。自称年齢: 21歳(前世の記憶を持つため)


性格: 冷淡に見えながらも実は直情的で、一人でいることを好む。時折無邪気な一面を見せることがある。前世の記憶と現在の状況の狭間で揺れ動き、冷静な大人の一面と子供っぽさが共存する複雑なキャラクター。


好物

食事に関しては美味しいものを少しだけなタイプ。剣の中の茉凜がアルコール依存になってしまったため。最近はお酒も嗜む。


社会的関係: 引っ込み思案で人付き合いが苦手なため、孤独を好む。しかし、孤独を埋めるために時折無邪気な一面を見せる。自分の力や能力に対する内なる葛藤と向き合いながら、過去の記憶と現在の状況の狭間で揺れ動く。


ミツル・グロンダイルの物語における役割

憧れの存在: ユベル・グロンダイル(父)の影響を強く受けており、彼の戦闘スタイルや技術に憧れを抱く。父の遺志を継いで魔獣を狩る役割を担う。

遺産と使命: 父が遺した白きマウザーグレイルを持ち、彼の意志を継ぐ重要な役割を果たしている。彼女の能力と背景は、物語の重要な要素となっている。

謎と葛藤: 彼女の能力と前世の記憶には深い謎があり、物語の進行とともにその全容が明かされる可能性がある。彼女の内面的な葛藤や成長は、物語の核心に深く関わっている。


前世の名前: 柚羽 美鶴(ゆずは みつる)

年齢: 不明(死後、弟の弓鶴に憑依しているため、年齢としては弓鶴の年齢に準じる)

性別: 女性(現在は弟の弓鶴に憑依中)

出身地:九州地方某県の山中の柚羽家(深淵の三家の一つ、始まりの回廊の守護者)

職業: 柚羽家の後継者で深淵の始まりの回廊の巫女


 美鶴は深淵の三家の一つである柚羽家の長女であり、始まりの回廊の守護者。柚羽家襲撃事件で両親を失った後、叔父の虎洞寺氏に保護された。その後、両親の死の真相を知り、自ら人身御供になる覚悟を決め、柚羽家の後継者となった。彼女は密かに深淵の根源の再生を図り、解呪に臨んだが、その試みは失敗し、死亡した。


その後

 美鶴はデルワーズの画策により、弟の弓鶴と意識と記憶の全情報を交換させることで、彼に憑依する形で生き延びる。弟を取り戻すために再び解呪に進もうとした際、茉凜と出会う。茉凜が持つ「黒」の力の安全装置としての役割によって、二人は運命共同体となることが決まる。


 自らが女性であることに対する戸惑いと、茉凜に対する淡い感情を抱くようになり、自分が本当は弟ではないことや、茉凜が見ているのは弟であることに苦悩する。


 美鶴は両親の死の真相を知った後、自らが柚羽家の後継者として深淵の根源の再生を図ろうとしたが、その試みが失敗したことに対する責任感を抱えている。


 茉凜の猛烈なアタックに対して、次第に閉じていた心を開き始めると共に、彼女に対して淡い心を抱く。しかし、自分が本来女性であることや、それを知られることを怖れて受け入れることに苦しんでいる。


 美鶴は茉凜と共に深淵の根源の解呪に挑む中で、茉凜の存在が自らにとってどれほど重要であるかを認識し始める。しかし、彼女は自分の感情と状況に苦悩し、特に自分が女性として抱く感情や、茉凜が見ているのが自分ではなく弟であることに対して深い悩みを抱えている。


深淵の黒鶴

 精霊子に対する感受性が極めて高く、世界に漂うすべての精霊子を集積できる。彼女の前世の名前(美鶴)と組み合わせて【黒鶴】と呼ばれる。限定された空間(場裏)を形成し、その中でイメージ通りの現象を具現化。四大元素すべてを制御可能で、並列起動による複合行使も可能。背中に現れる翼は物質的ではなく、彼女の願望を投影したもの。


場裏

 限定された空間を形成し、その中で事象を操作。色で呼称される流儀に基づき、たとえば赤であれば熱の操作に関わり、イメージのままに具現化できる。詠唱や魔道具を必要としない強力な魔術として認識されている。戦闘と


能力の影響

 ミツルの戦闘スタイルは、前世の影響を色濃く受け継いでおり、流動的で柔軟な戦術が特徴。彼女の能力は瞬時に強力な現象を引き起こすことができ、そのため精神的な負荷が非常に大きい。精神崩壊や自我喪失のリスクが伴う。


精神的負荷

 精霊子の収集と能力の使用により、大脳辺縁系に過大な負荷がかかり、精神的な負担が大きい。特に精霊子への感受性が高い彼女は、負荷に耐えきれず暴走する危険がある。

ヴィル・ブルフォード

 ミツルの前にふらりと現れた、ぼさぼさ頭の無精髭の中年剣士。『黒髪のグロンダイル』の噂を聞きつけて訪れたという、彼の真意と思惑は?

 自らを『放浪のしがない剣士』と言う割に、その剣技は一流で、歴戦の強者。『雷光』とあだ名されると対魔獣戦のエキスパートで、その戦いぶりはミツルも舌を巻く。


年齢 48歳

身長 190センチ近い

体格 大柄で強靭

出身地 不明

職業  剣士、冒険者、元リーディス王国銀翼騎士団右翼副長

髪: ぼさぼさの金髪。長さは無造作に伸びており、戦いの中で乱れたまま放置されている。

顔 無精ひげが顔全体に生えており、荒々しさと共に風格を漂わせている。

武器 中央に深い溝が彫られたブロードソード。鍛造で作られており、適度な粘りを持ち、滅多に折れない。


剣術スタイル

流派 雷光(らいこう)

特徴 巨体とその質量を生かした高速ダッシュ


戦闘スタイル

高速ダッシュ 雷のようなスピードで踏み込み、敵の懐に入り込む

敵の死角利用 相手の身体を死角として利用し、瞬時に繰り出される高速の斬撃で敵を仕留める

左手の傷 突きを繰り出す際に意図的に剣の先に左手を添え、敵の注意を引き付ける。実際の攻撃は横や下から繰り出されるため、非常に巧妙。猪突猛進型でありながらも、臨機応変に対応できる柔軟さを持つ。これは、変幻自在で『型』のないユベルと毎日修練を積み重ねた結果(苦肉の策)による。


戦闘技術

片手剣術 基本的には片手でブロードソードを操るが、必要に応じて両刀も使うことができる。戦況に応じて剣の使い方を変え、迅速かつ的確に対応。


特殊技

雷光突き 瞬時に高速で踏み込み、突きを繰り出す技

閃光斬り 一瞬の隙を突き、相手の死角から高速で斬撃を繰り出す技


特徴と戦術

巨体と速度を生かして、魔獣の懐に入り込み、致命的な攻撃を繰り出す。視線誘導の技術で、敵の視線を引き付けてから攻撃する。


心理と性格

戦場での冷静な判断力と卓越した技術で、数々の戦場で名を馳せる。敵の動きを見極め、最適な攻撃や防御を選択する。どんな状況でも冷静に対応し、自信を持って戦う。猪突猛進型でありながら、変幻自在の戦術を使いこなす柔軟さを持つ。


元リーディス王国銀翼騎士団右翼副長を務めた経験を持つ。騎士団時代の訓練と経験が、彼の戦術的な判断力と剣術の技術に大いに寄与している。特に、ユベルとの修練で得た経験が、彼の変幻自在な戦術に大きな影響を与えている。


その戦闘スタイル

一九〇センチ近い大柄な体躯を持ちながらも、その強靭な体に似合わぬほどの軽快さを誇る剣士。彼の手に握られているのは、ロングソードよりも短いブロードソードに近いもので、中央には深い溝が彫られている。この剣は鍛造で、適度な粘りを持ち、使い手によっては滅多に折れることがない。


ヴィルの剣術のスタイルは「雷光」と呼ばれ、彼の巨体とその質量を生かした高速ダッシュが特徴。彼は特に大きな魔獣を相手にするのが得意で、雷のようなスピードで踏み込むと、敵の懐に入り込み、相手の身体自体を死角として利用する。瞬時に繰り出される高速の斬撃で、敵を一気に仕留める。


特筆すべきは、彼の左手に傷が絶えないこと。これは、突きを繰り出す際に意図的に剣の先に手を添えて、その手に注意を引き付けるためだ。敵がその手に視線を奪われている間に、実際の攻撃は横や下から繰り出されるため、彼の戦術は非常に巧妙。


ヴィルの剣は基本的に片手で操られることが多いが、必要に応じて双剣で戦うこともできる。その柔軟な使い方と、雷光のような素早さを駆使して、彼は戦場でその名を轟かせた。

茉凜(マリン)のキャラクター設定


基本情報年齢: 17歳

身長: 173センチ

プロポーション:高跳びの選手かファッションモデルのようなスラリとしたかっこいいスタイル。ただし本人は自覚なしで自信がない。 


外見: ミルクティーブラウンの髪、大きな瞳、お日様のような笑顔。純粋で優しい少女の姿が特徴的。


性格: 天真爛漫でポジティブ。どんな困難な状況でも明るさを失わず、死の淵の絶対的不利な状況でも輝く。特に追い込まれるとスイッチが切り替わり、予知視界を用いる能力が発揮される。


背景前世: 元々は私たちの世界に住んでいた人物。異世界に突然放り込まれ、さらに剣の中に転生させられるという過酷な運命を辿る。


役割: ミツルの相棒であり、恋人(?)。彼女の無条件の愛情と楽観的な性格がミツルの心の支えとなっている。過去のトラウマ: 落雷事故によるトラウマがあるが、それを嘆くことなく明るさを保ち続ける。ミツルにとっては大きな支え。


能力と役割能力: マウザーグレイル経由の予知視界。死の淵での絶対的不利な状況でも特に有効で、剣の中にあるこの能力が最大の武器である。


役割: ミツルの『深淵の黒鶴』を制御するための安全装置(セーフティ)として機能。暴走を防ぐ唯一の手段として、ミツルとの接触と精神的な感応が必要。自身の全てを捧げる覚悟を持ち、ミツルを守ることを使命としている。


心情と内面愛情: ミツルに対して無条件の愛情を注いでおり、彼女の存在はミツルにとって欠かせない心の拠り所となっている。愛情が恋であることに気づきながらも、その感情を告白することはできない。


支え: ミツルの冷たい態度や無口さの裏に隠された繊細な心を理解し、彼の孤独や苦しみを誰よりも感じ取っている。彼の心の支えとなることを自分の使命と感じ、彼を守るために自分の全てを捧げる覚悟を持っている。


内面の葛藤: 弓鶴(ミツル)が自分にとって特別でなくなるのではないかという不安を抱えながらも、彼の幸せを最優先に考え、自分の感情を抑え込んでいる。仲直りを図る際には自分を押し殺して彼らの関係を修復しようとするなど、内面的には複雑な感情が渦巻いている。

白きマウザーグレイル

基本情報正式名称: 精霊器接続式対魔族兵装 MW-CSV-DD MAUSER-GRELL(マウザーグレイル)

形状: 純白のロングソード

特徴: 刃に相当する部分がなく、実質的には何物も斬れない

構造と材質材質: 不明。構成素材については詳細が不明だが、非常に高い堅牢さを誇る。

耐久性: どんな魔獣の攻撃にもヒビ一つ入らないほどの堅牢さを持つ。

重量: 見た目よりも軽量で、非力なミツルでも自在に扱える。

機能と特性魔導兵装: 剣の形をとった魔導兵装であり、実際には物理的に斬ることはできない。

潜在能力: 現在のところ、ミツルもその実体と潜在能力については把握していない。

補助機能: ミツルの持つスキル「真凜」が安全装置として補助を行っている。

戦闘における役割安全装置: ミツルが持つ「深淵の黒鶴」の能力を制御するための安全装置として機能する。マウザーグレイルが実際の戦闘では使われないが、その存在がミツルの能力の安定に寄与している。

象徴的な意味: 剣そのものは物理的な攻撃力を持たないが、深い意味や力を秘めている可能性がある。特に、ミツルの精神的、象徴的な支えとしての役割を果たしている。

謎と疑問実体の不明: 現状、剣の具体的な機能やその実体についてはミツル自身も把握していない。剣の持つ潜在的な力や目的については謎に包まれている。発見される

可能性: 今後のストーリー展開で、その真の力や役割が明らかになる可能性がある。

ユベル・グロンダイル

 ミツルの父で、『閃光』の異名を持つ変幻自在の剣術を操る天才。すでに故人である。


ユベル・グロンダイルのキャラクター概要

年齢と外見:

年齢:50代外見:かつて金髪だったが、現在は黒く染めている。無精髭を蓄え、スリムで筋肉質な体型。優雅な立ち姿と流れるような戦闘動作が特徴。


役割と経歴:

元リーディス王国銀翼騎士団右翼リーダーであり、対魔獣戦のエキスパート。リーディス王国の銀翼騎士団に所属し、多くの戦場を経験。特に魔獣戦においてその名を馳せた。


基本戦術:

ユベルの戦闘スタイルは「柔」の極みであり、その動きは流動的でまるで水のように変幻自在。力強さでは他の剣士に劣ることもあるが、素早さと身軽さで魔獣を屠る。ステップワークや変則的な体術を駆使し、敵の動きを予測させない巧妙な戦術を展開。回転しながらの斬撃や舞うような動きで敵の意識を散らし、戦局を有利に進める。


家族との関係:

妻:メイレア(元リーディス王国の第三王女)。非常に深い愛情を持ち、二人の関係はミツルにとって時折恥ずかしくなるほどの愛情表現がなされていた。娘:ミツルにとってユベルは憧れの対象であり、彼の戦闘スタイルや技術に強く影響を受けている。

最後の旅と戦い:

妻メイレアの行方不明後、ユベルは娘ミツルを連れて探索の旅に出る。愛する妻を取り戻すため、家族の絆を守るための決意を持っていた。未知の魔獣との戦いで命を落とし、その犠牲によってミツルは生き延びることができた。

白きマウザーグレイル:

ユベルが妻との絆として持っていた白きマウザーグレイルは、ミツルに託された。この剣はユベルの思いと愛情を象徴し、ミツルにとっては父の遺志を継ぐ重要なアイテム。


お尋ね者:

尊敬を集める存在だったが、妻を誘拐した罪が科せられ、お尋ね者として追われていた。ユベル・グロンダイルの戦闘スタイル


「柔」の戦術:

ユベルの戦闘スタイルは「柔」の戦術を体現し、流動的で変幻自在な動きが特徴。彼の動きは舞踏家のように優雅でありながら、非常に戦術的で緻密。


ステップワークと回転体術:

軽やかなステップワークで敵の攻撃を避け、回転しながらの斬撃で敵を翻弄。体操選手やフィギュアスケーターを彷彿とさせる華麗な動きが特徴。


対魔獣戦の特化:

魔獣の懐に自在に出入りし、相手の身体を盾として利用することで最短距離からの攻撃を実現。風のように迅速で、敵の反応を許さない。

彼の戦闘スタイルを際立たせている。

前世での二人

 それは第二章で語られる。

虎洞寺健

美鶴と弓鶴の叔父で、保護者であり協力者。

能力が実用に耐えない血族が所属する郭外のリーダーで、自身は多数の企業を成功に導いた実業家で資産家。その貢献によって上層部にも大きな発言力を持ち、水面下で二人の活動をサポートする。彼の目的は深淵の呪いからの解放と深淵の解体である。

佐藤さん

 柚羽家のお手伝いさんで、美鶴の理解者。昔からの柚羽家のお手伝いさんで、その家事能力は超人。茉凜の料理の師匠。

真坂明

 15歳の少女で、身長は152センチメートル。黒のショートカットが特徴的で、衣装は、黒のクロップトップと高腰のパンツ、袖にディテールが施されたオープンジャケットで、全体的にクールでスタイリッシュな印象。均整の取れたスタイルも、洗練された雰囲気に一役買っている。

性格は情熱的で、自分が思ったことをはっきりと口にするタイプ。弓鶴の元許嫁であり、真坂家の次期後継者としての重責を担っている。また、「深淵の赤の流儀」の高度な術者でもあり、その実力は並外れている。彼女の存在感は、その内に秘めた強い意志と、家の名に恥じない実力から来ている。

明は破談後も弓鶴を想い続けており、それが彼女の能力の原動力になっている。自身が家の後継者となり、弓鶴を婿として迎えようと決意した結果、兄二人を殺害してしまう。

柚羽 美鶴

 ミツルの前世で転生時二十歳。その過去はダイジェストとして第二章で語られる。ミツルの内向的なところは彼女の成分。

 前世では茉凜に対して次第に恋心を抱いていくが、さまざまな問題が障害となって、素直に気持ちを伝えられずにいた。

 彼女のバルファへの転生がグロンダイル家にもたらした影響が、ミツルが戦い旅する理由。

鳴海沢洸人

深淵の血族、上帳を構成する三家の一つ、鳴海沢の長子。流儀青の強力な使い手。弓鶴の確保のために遣わされるが敗退し、その後弓鶴と茉凜の監視役として転校してくる。

数年前に暗殺に失敗し、その後始末として対象を家族諸共惨殺したことがきっかけで、殺せない欠陥品になってしまった。強力な血を残すために家に留め置かれ、鬱々とした日々を送っていた彼を変えたのは、深淵の始まりの回廊の巫女からの言葉だった。 

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