第80話 5月5日 こどもの日。

文字数 1,314文字

朝の砂浜で聡と春香が夢中で鬼ヶ島の増築をしていると、6時過ぎにはるき君が朝ご飯だよと、迎えに来てくれた。
朝からたくさんのご馳走をいただいた。

朝ご飯を食べて一服した後、僕たち大人は引っ越しに向けた後片付けに取り掛かった。
子どもたちは再び浜に行き、砂遊びを再開した。
11時前に一旦小休止。
僕の車にレイちゃん、聡、春香を乗せて、飯田高校横の「野々江総合公園」に向かった。
湖の畔にある、僕たち家族もよく遊んだ公園だ。

今日は子どもの日ということで、珠洲に支援来てくれている四国のボランティア団体が、この公園で「縁日」を模したイベントを開催してくれていた。
イベントの会場に着くと、一足先に自転車で来ていたはるき君、ともき君とも合流。
二人は学校の友達と楽しそうに本場四国のうどんやたこ焼きを食べていた。
僕たちも幾つかのお店で、食べ物やゲームで遊ばせて貰う。
集まった珠洲の人たちも本当に楽しそうで、四国の方に感謝を告げていた。

イベントからの帰り道、大型バスから降りるボランティアの姿を見かけた。
ゴールデンウィークで、全国から多くのボランティアの方が奥能登に見えられている。
まだまだ人数が少ないと報じられている能登半島大震災のボランティアだが、受け入れ体制も少しづつだが整ってきている。
珠洲市内の至る所で、懸命に働くボランティアの姿があった。
こちらも感謝しかない。

三月家に戻ると、縁日に負けないぐらい盛大なバーベーキューが準備されていた。
発災時、避難所でも活躍したあのバーベーキューセットだ。
「こどもの日だしな」
と隆太さんが沢山フランクフルトやお肉を買ってきてくれた。
子どもたちは久しぶりのバーベキューに大喜びだ。
はるき君やともき君も縁日で結構食べていたが、さすが育ち盛り、レイちゃんが呆れるほど肉のおかわりを繰り返していた。

「ほら、ナオも飲め!」
お義父さんから缶ビールを渡された。
「いえ、帰りの運転もあるので、ノンアルで」
「何いってんだ、この暑さだ。飲みたいだろ?」
確かに。
気温はもう27度を超えている。
「飲みたかったら飲んでもいいわよ。帰りは私が運転するし」
レイちゃんが言ってくれた。
どうしようか。。。
まだ帰り道の「のと里山海道」が復路は全線開通しておらず、帰り道は3時間半近くかかる。
「レイも飲め、もう一晩泊まって行けばいいじゃねぇか」
「明日は明日で学校の準備とか色々あるの」
「明日の朝早くに帰れば今日でも明日でも変わらねぇだろ?ほら、聡も春香ももう一晩お泊りしたいだろ!」
「うん!!」
フランクフルトにかじりついたまま二人共頷いた。
「もう、、、まっ、こどもの日だしいっか。じゃあもう一晩泊まって明日の朝、早めに帰るか」
「やったー!」
聡も春香も大喜びだ。
それを見ている三月家のみんなも楽しそう。
僕も遠慮なくお義父さんから渡された缶ビールのプルトップを開けた。
ビールが喉から体中に染み渡る。
美味しいそうな匂い誘われてか、避難所で一緒だった近所の方もお酒等や具材を持ち寄り、一層賑やかなバーベキューとなった。
久しぶりに会った、町会長さんともお互いの近況を話し合った。

夜は砂浜にでて花火。
おかげで子供たち大満足の「子どもの日」を過ごすことができた。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み