最後のピースがはまる
文字数 667文字
そう言いながら、かすみセンパイはルーズリーフの真ん中に線を引く。僕の無知丸出しの質問にいちいち答えながら、しゃっしゃかと描いたのはこの図だった。
もっとも、この図が完成するまでにはセンパイも相当、僕のまどろっこしい質問に我慢を重ねなければならなかったろうと思う。
線を境にした一方には「廃屋」と書かれ、もう一方には大きなマルが描かれた。装置の置き場所らしかった。
小屋の奥にメカがあるのは分かったけど、教室のシーンだってあるのだ。小屋の装置はどこへやるんだろう。
引っかかったな、とでも言うように、センパイは悪戯っぽく笑った。何が何だか、さっぱり分からなかった。装置を動かさないと、場面が変わったことが分からない。
廃屋の外にたちはだかる観が、両親やあきら、総一郎、担任と睨み合うシーンだ。どうしても、壁とか扉の装置を置かなくちゃいけない。
結構なムチャ振りを、かすみセンパイはさらっと言ってのけた。裏方の苦労が分かってんだろか。