ごもっともなお怒り

文字数 509文字

話が違うんじゃないのか、え?
話……ですか?
とぼけんな周作。

 話というのはこうだ。
 演劇部は夏に地区大会を控えている。地区大会の先は県大会である。
 ウチは常に県大会の上位校で、遠い昔には全国大会に出たこともあるらしい。
 更に台本は毎年、生徒創作だという。前年度、3年が卒業した後に1年生が書いて、2年生が指導して完成することになっている。

 この「新2年生による生徒創作システム」もまたウチの売りで、他校もマネして次々に県大会に出場し、ウチのライバルになっていると聞いた。

 つまり、本家本元のウチがここでコケれば間違いなく地区で落選し、いい物笑いの種になるということだ。

 そこで、僕の迂闊な一言が問題になってくる。

アンタが書くって言ったんだろ。
……そうです。
 そう。1ヶ月前、部活の台本制作会議で、それを書くと言ってしまったのだ、僕は。
 引き受けたのは春休み前になる。
 それなのに僕は、ずるずると今日までサボり通してしまったのだった。
もう、かばいきれないからな。
 台本がなかなか出ないので、僕は随分と周りからせっつかれた。せっつかれたというより、完全に吊るしあげだった。
 それを抑えてくれたのが、かすみセンパイなのである。
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登場人物紹介

真崎周平(まさきしゅうへい)


やる気なし、その場にいるだけのほとんど幽霊演劇部員。高校2年生。

アニメオタクで事なかれ主義のどうしようもないダメ男だが、その場の勢いで引き受けた戯曲づくりに夢中になっていく。

安藤かすみ


舞台に情熱の全てを注ぐ演劇少女。演技演出戯曲執筆と、劇作の全てに通じる高校3年生。小柄だがプロポーションも抜群、但し本人に自覚は多分、ない。下級生の面倒見はいいが態度はキツい。実は照れ屋。

羽佐間観(はざま かん)


周作の台本に登場する主人公。

オクテな高校生だが、好奇心は強い。

紫藤悠里(しどう ゆうり)


周作の台本のヒロイン。

未来から来た精巧なアンドロイド。2人以上の人間と接触するとショートする。

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