キャラと呼んではいけない理由

文字数 462文字

 タイクツ、と言われたキャラは、かすみセンパイの手でメモ書きされて、ご丁寧にも顔イラスト付きで僕の目の前にある。

 センパイはそれをひとつひとつ指差しながら、僕が徹夜で考えて、力の限り説明したキャラ設定を、たった一言ずつで斬って捨てた。

 さらにご丁寧なことに、いちいち声色まで変えて。

羽佐間観(はざま かん):オクテな高校生。
紫藤悠里(しどう ゆうり):未来から来たアンドロイド。
小菅総一郎(こすげ そういちろう):観の悪友。おせっかい。
都築あきら(つづき あきら):観の幼馴染。気が強い。
五塚真吾(いつか しんご):担任。冷たいインテリ。
羽佐間均(はざま きん):観の父親。厳格。
羽佐間美好(はざま みよし):観の母親。ちゃらんぽらん。
 器用なことに、老若男女、自由自在に演じ分けたセンパイは、いま声優のオーディション受けても一発で受かるんじゃないかって気がした。
すげ……。
アンタが今、長々とくっちゃべった「キャラ」は、まとめると結局こういうこと。
 反論しようとしたが、言われてみればその通りだった。そこで僕は素直に言った。
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登場人物紹介

真崎周平(まさきしゅうへい)


やる気なし、その場にいるだけのほとんど幽霊演劇部員。高校2年生。

アニメオタクで事なかれ主義のどうしようもないダメ男だが、その場の勢いで引き受けた戯曲づくりに夢中になっていく。

安藤かすみ


舞台に情熱の全てを注ぐ演劇少女。演技演出戯曲執筆と、劇作の全てに通じる高校3年生。小柄だがプロポーションも抜群、但し本人に自覚は多分、ない。下級生の面倒見はいいが態度はキツい。実は照れ屋。

羽佐間観(はざま かん)


周作の台本に登場する主人公。

オクテな高校生だが、好奇心は強い。

紫藤悠里(しどう ゆうり)


周作の台本のヒロイン。

未来から来た精巧なアンドロイド。2人以上の人間と接触するとショートする。

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