超ハイスペックな先輩のお説教

文字数 465文字

 さらに、いつの間にか台本の書き方や演出の方法まで身につけていたとなれば、去年、2年生になった時点で新入部員指導の最前線に立っていても不思議ではない。
(……何でこんな底辺校に?)

 部の誰もがそう言っている。

 芝居の鬼……今日のかすみセンパイなどは、まさにそのオニの顔をしている。

……ほら!
……痛っテえ!
 僕を椅子に投げ落とすなり、上から目線でこう命ずる……。
座って話を聞け。アタシの話は終わってない。
 思えば、1年前の僕が甘かったのだ。
 キャストもスタッフも関係ない、厳しい基礎練習。
 夏場は汗で水溜りができ、冬場は全身から湯気が立つほどの筋トレ。
 早朝と放課後遅くまでの稽古。
 分刻み、時間厳守のスケジュール。
 遅刻には正座の罰則。
 僕には全く関係ないが、「部内恋愛禁止」という冗談のようなルール。
 入部して1年経って、僕は猛烈に後悔しているのだった。
(……こんなはずじゃなかった)
 そして2年に上がった4月末の今日。
 僕は放課後の選択授業教室に呼び出され、ショートカットの似合う、可憐な安藤かすみセンパイの説教をくらっている。
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登場人物紹介

真崎周平(まさきしゅうへい)


やる気なし、その場にいるだけのほとんど幽霊演劇部員。高校2年生。

アニメオタクで事なかれ主義のどうしようもないダメ男だが、その場の勢いで引き受けた戯曲づくりに夢中になっていく。

安藤かすみ


舞台に情熱の全てを注ぐ演劇少女。演技演出戯曲執筆と、劇作の全てに通じる高校3年生。小柄だがプロポーションも抜群、但し本人に自覚は多分、ない。下級生の面倒見はいいが態度はキツい。実は照れ屋。

羽佐間観(はざま かん)


周作の台本に登場する主人公。

オクテな高校生だが、好奇心は強い。

紫藤悠里(しどう ゆうり)


周作の台本のヒロイン。

未来から来た精巧なアンドロイド。2人以上の人間と接触するとショートする。

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