起承転結で書いてはいけない理由

文字数 414文字

 そんなはずはなかった。
 少年とアンドロイドの説明。ふたりの恋が深まっていく。周りの人が邪魔をする。アンドロイドが壊れて消滅する。
 こういう展開で書いたのだから、前半はふたりが恋に落ちるという事件が起こっているはずだ。
だって、起承転結で書きましたよ。前半は起と承なんだから、アンドロイドと少年の恋を詳しく描けばいいんじゃないですか?
アンタのは登場人物が延々と設定語り合ってるだけじゃない。
 僕の反論を完全否定したかすみセンパイは、教室の黒板に大きく「はじめ」「なか」「おわり」と書く。
何ですか、それは?
 僕が嫌味たっぷりに尋ねると、センパイは呆れたように溜息をついて、一音一音区切るようにこう言った。
劇の基本的な構成。
 初耳である。そんな構成、聞いたこともない。小・中・高と、学校の国語の授業だって起承転結起承転結と、お経の文句みたいに覚えさせられてきた。センパイの言うことのほうが、世間一般の常識から外れているように聞こえた。
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登場人物紹介

真崎周平(まさきしゅうへい)


やる気なし、その場にいるだけのほとんど幽霊演劇部員。高校2年生。

アニメオタクで事なかれ主義のどうしようもないダメ男だが、その場の勢いで引き受けた戯曲づくりに夢中になっていく。

安藤かすみ


舞台に情熱の全てを注ぐ演劇少女。演技演出戯曲執筆と、劇作の全てに通じる高校3年生。小柄だがプロポーションも抜群、但し本人に自覚は多分、ない。下級生の面倒見はいいが態度はキツい。実は照れ屋。

羽佐間観(はざま かん)


周作の台本に登場する主人公。

オクテな高校生だが、好奇心は強い。

紫藤悠里(しどう ゆうり)


周作の台本のヒロイン。

未来から来た精巧なアンドロイド。2人以上の人間と接触するとショートする。

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