まるで子供のケンカのように

文字数 454文字

だから、この構成でやっちゃうと、キャラと設定の説明がムダに長くなるのよ。
 思い出すのも腹立たしいといった口調でつけくわえたセンパイは、小さな、柔らかい手で僕の肩をぽん、と叩く。
センパイ……。
気にしないで、アンタだけじゃないから。
 けなされてるんだか励まされてるんだか分かりゃしない。
じゃあ、どこで説明するんですか。
 なおもゴネる僕のささやかな抵抗なんか知ったことかという態度で、かすみセンパイはさらっと説明した。
「はじめ」。全体の三分の一くらい。それも、登場人物の行動を通さなくちゃダメ。それがどう変化したかを描くのが「おわり」。

 何だか納得いかない。

 僕はムキになって質問をぶつけ続けたけど、その度にセンパイは軽くかわした。

そんな簡単なことでいいんですか?
初めと終わりがあるから「ドラマ」になるんじゃない。
じゃあ、「なか」って?
なんでそんな結末になったのか、ってことじゃない。
そんなのいつ誰がどこで誰が決めたんですか。
 自分でも、子どものケンカみたいだと思う。だが、かすみセンパイは大真面目に答えてみせた。
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登場人物紹介

真崎周平(まさきしゅうへい)


やる気なし、その場にいるだけのほとんど幽霊演劇部員。高校2年生。

アニメオタクで事なかれ主義のどうしようもないダメ男だが、その場の勢いで引き受けた戯曲づくりに夢中になっていく。

安藤かすみ


舞台に情熱の全てを注ぐ演劇少女。演技演出戯曲執筆と、劇作の全てに通じる高校3年生。小柄だがプロポーションも抜群、但し本人に自覚は多分、ない。下級生の面倒見はいいが態度はキツい。実は照れ屋。

羽佐間観(はざま かん)


周作の台本に登場する主人公。

オクテな高校生だが、好奇心は強い。

紫藤悠里(しどう ゆうり)


周作の台本のヒロイン。

未来から来た精巧なアンドロイド。2人以上の人間と接触するとショートする。

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