そしてセンパイから……。

文字数 381文字

トイレは下。行くときはドア向いて真っ直ぐ歩け。
はい……。
 まじめくさって返事すると、声は再びフニャフニャとなった。
疲れちゃった。アンタの電話一日中待って、一晩中怒って、半日怒鳴ってたら。
すみません……。
 とりあえず謝った。センパイの怒りの前では、いかなる反論も効果はない。
 だが、意外な言葉が返ってきた。
ゴメン。アタシもちょっと意地張りすぎた。アンタのことだから、アタシが電話してくるだろうと思ってるんじゃないかと思ったら、なんか腹立ってきちゃってさ。

 そこまで信用がないのか、僕は……。

 でも、センパイのほうからも謝ってきたのは、何だか可愛かった。

 トサ、と寝返りを打つ、布団の音が聞こえる。

結局こんな突貫工事になっちゃった。ゴメン……。
いえ……。
 それだけ答えて、僕はキーを叩き続けた。その一言で、連休前からのシゴキに対する怒りも不満も消えてなくなっていた。
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登場人物紹介

真崎周平(まさきしゅうへい)


やる気なし、その場にいるだけのほとんど幽霊演劇部員。高校2年生。

アニメオタクで事なかれ主義のどうしようもないダメ男だが、その場の勢いで引き受けた戯曲づくりに夢中になっていく。

安藤かすみ


舞台に情熱の全てを注ぐ演劇少女。演技演出戯曲執筆と、劇作の全てに通じる高校3年生。小柄だがプロポーションも抜群、但し本人に自覚は多分、ない。下級生の面倒見はいいが態度はキツい。実は照れ屋。

羽佐間観(はざま かん)


周作の台本に登場する主人公。

オクテな高校生だが、好奇心は強い。

紫藤悠里(しどう ゆうり)


周作の台本のヒロイン。

未来から来た精巧なアンドロイド。2人以上の人間と接触するとショートする。

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