キャラと違うことするヤツって

文字数 412文字

 そんなことが言えるほどセンパイは偉いのか! 
 ついムカッときて言ってしまった。
じゃあ、センパイは誰に対しても同じ態度が取れるんですか?
取れないわ。
 さらっと答えるかすみセンパイに、僕は勢い込んで、さらに続けた。
じゃあ、そんなこと言われたくないです。
 かすみセンパイは肩をすくめて溜息をついた。
そういうことじゃなくて。
 苛立ち気味に見えたが、目を伏せて何かをぐっとこらえると、また溜息をついて言い直した。
 別にアンタを非難してるわけじゃなくて、それが人間なのよ。人間は完全じゃないから、状況が変化すれば、違う側面を見せるの。
 でも、それは本当の自分じゃない。僕だって、いつも自分のキャラと違うことをしないように気をつけている。
 みんな、それでいいと思ってくれている。クラスでもそう扱ってくれている。
 キャラ違うことなんかしたら、みんな絶対引く。
 昨日の新体操部員みたいに、汚いものでも見るような眼をして。
 だから僕は言った。
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登場人物紹介

真崎周平(まさきしゅうへい)


やる気なし、その場にいるだけのほとんど幽霊演劇部員。高校2年生。

アニメオタクで事なかれ主義のどうしようもないダメ男だが、その場の勢いで引き受けた戯曲づくりに夢中になっていく。

安藤かすみ


舞台に情熱の全てを注ぐ演劇少女。演技演出戯曲執筆と、劇作の全てに通じる高校3年生。小柄だがプロポーションも抜群、但し本人に自覚は多分、ない。下級生の面倒見はいいが態度はキツい。実は照れ屋。

羽佐間観(はざま かん)


周作の台本に登場する主人公。

オクテな高校生だが、好奇心は強い。

紫藤悠里(しどう ゆうり)


周作の台本のヒロイン。

未来から来た精巧なアンドロイド。2人以上の人間と接触するとショートする。

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