ナレーションの使い方

文字数 437文字

観が廃屋に通うあたりはナレーションでさらっと流す。小菅を上手に使えよ。
 言われるまでもなく、僕はカンが冴えるようになったのを感じていた。
観がナレーションしている間に、舞台には教室が現れます。そこではもう、小菅がウロウロしています。やがてあきらが入ってきて、小菅は逃げていきます。その動きを見ながら、観は二人について解説します。
パクッたな?

  僕は自分の口元がにやけるのを感じていた。
 テネシー・ウィリアムズ『ガラスの動物園』と、ソーントン・ワイルダー『わが町』のナレーションは、こんな具合に進んでいたのだ。

 僕はセンパイの問いには答えず、小菅の使い方についてのアイデアを確認した。

観が悠里のことを隠しても、小菅がしゃべってしまう?
よくやった!
 かすみセンパイが拍手した。僕はなんだか得意な気分になって、先の展開を意気揚々と語った。
 それを聞いたあきらとのトラブルが原因で、観がやってることは担任や両親にバレてしまいます。もちろん、どれだけ問い詰められても観は何も教えません。
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登場人物紹介

真崎周平(まさきしゅうへい)


やる気なし、その場にいるだけのほとんど幽霊演劇部員。高校2年生。

アニメオタクで事なかれ主義のどうしようもないダメ男だが、その場の勢いで引き受けた戯曲づくりに夢中になっていく。

安藤かすみ


舞台に情熱の全てを注ぐ演劇少女。演技演出戯曲執筆と、劇作の全てに通じる高校3年生。小柄だがプロポーションも抜群、但し本人に自覚は多分、ない。下級生の面倒見はいいが態度はキツい。実は照れ屋。

羽佐間観(はざま かん)


周作の台本に登場する主人公。

オクテな高校生だが、好奇心は強い。

紫藤悠里(しどう ゆうり)


周作の台本のヒロイン。

未来から来た精巧なアンドロイド。2人以上の人間と接触するとショートする。

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