割とタイプの少女の闖入……でもたぶんモブ

文字数 448文字

 そのとき、どピンクのジャージを来た新体操部女の子が、教室の戸を開けた。
 ショートカットの、結構可愛い子だった。結構タイプだったりする。
……。
 目を丸くして僕を見ている。
 怯えた表情で。
 しばしの沈黙が教室を支配した。
 やがて、隣の教室から先生の声がした。新体操部顧問の、若い女性の教師だ。
どうしたの?
あ、ミーティングこっちでしたか?
何慌ててるの?
すみません、体育館の水道、赤い水が出て。
 何かトラブルがあって、ミーティングに遅れたらしい。
 活動場所を間違えた新体操部員は再び戸を閉めた。
 すみませんも言わずに。あの反応は、完全に引いている。
 僕の耳には、ぱたぱたと遠ざかっていく部員と顧問の足音が空しく聞こえていた。
あの……。
 僕の問いは、かすみセンパイが一つ手を叩いただけでかき消された。
 黒縁メガネのレンズが光っている。こんな冷血女だとは思わなかった。
 かすみセンパイは何事もなかったかのように、もっともらしく言う。
こころとからだはつながってるのよ。はい、これで漢詩の構成インストール完了!
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登場人物紹介

真崎周平(まさきしゅうへい)


やる気なし、その場にいるだけのほとんど幽霊演劇部員。高校2年生。

アニメオタクで事なかれ主義のどうしようもないダメ男だが、その場の勢いで引き受けた戯曲づくりに夢中になっていく。

安藤かすみ


舞台に情熱の全てを注ぐ演劇少女。演技演出戯曲執筆と、劇作の全てに通じる高校3年生。小柄だがプロポーションも抜群、但し本人に自覚は多分、ない。下級生の面倒見はいいが態度はキツい。実は照れ屋。

羽佐間観(はざま かん)


周作の台本に登場する主人公。

オクテな高校生だが、好奇心は強い。

紫藤悠里(しどう ゆうり)


周作の台本のヒロイン。

未来から来た精巧なアンドロイド。2人以上の人間と接触するとショートする。

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