そして物語は動き出す
文字数 618文字
そんなに簡単に登場人物が動かせるなんて信じられなかった。
だが、かすみセンパイの一言で、僕の頭の中にストーリーがするすると浮かんできたのである。
だが、かすみセンパイの一言で、僕の頭の中にストーリーがするすると浮かんできたのである。
それそれ、とかすみセンパイは僕に指鉄砲をつきつけて補足する。
僕のイメージの中で、登場人物同士の行動がつながってきた。さらに僕は畳み掛ける。
かすみセンパイの目が、黒縁メガネの向こうで輝いていた。自分からアイデアを出してくる。
僕が言葉を継げば、センパイも切り返してくる。やがて、僕は手を叩いた。
かすみセンパイが立ち上がって僕の頭に手を置く。
見下ろす眼差しはやっぱり上から目線だったが、その顔は笑っていた。
連休まであと3日。
連休まであと3日。
蛇口の水が出ないいいいいっ!
体育会の男子部員たちが騒いでいた。だが、窓の外では初夏の強い風に桜の木がざわめいている。そんな声は気にもならない……。