何が間違っていたのか

文字数 508文字

 確かにやっつけと言われればやっつけだ。でも、僕だって今まで見たアニメやマンガの知識は人よりあるつもりだ。知っている限りのネタを総動員して書いたのが今回の台本だった。
……未来から来た美少女アンドロイドと。
現代の高校生の恋。
 アニメの番宣CMだったら、こんな感じだ。ありがちだけど、悪くない話だと思う。僕は僕なりに自信を持っていた。
 だが、センパイがケチをつけたポイントはそこじゃなかった。
前半何にも起こんないじゃない。
 少年とアンドロイドの説明。ふたりの恋が深まっていく。周りの人が邪魔をする。アンドロイドが壊れて消滅する。
 こういう展開で書いたのだから、前半は「ふたりが恋に落ちる」という事件が起こっていればいいはずだ。
だって、起承転結で書きましたよ。前半は「起」と「承」なんだから、アンドロイドと少年を紹介して、それから恋を詳しく描けばいいんじゃないですか?

 これは口答えじゃなくて、反論のつもりだった。僕だってアニメ歴は長い。どんなふうに展開するのがパターンなのかは知っているつもりだ。

 だが、センパイは僕が信じてきたことをたった一言で全否定してくれた。

アンタのは登場人物が延々と設定語り合ってるだけじゃない。
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登場人物紹介

真崎周平(まさきしゅうへい)


やる気なし、その場にいるだけのほとんど幽霊演劇部員。高校2年生。

アニメオタクで事なかれ主義のどうしようもないダメ男だが、その場の勢いで引き受けた戯曲づくりに夢中になっていく。

安藤かすみ


舞台に情熱の全てを注ぐ演劇少女。演技演出戯曲執筆と、劇作の全てに通じる高校3年生。小柄だがプロポーションも抜群、但し本人に自覚は多分、ない。下級生の面倒見はいいが態度はキツい。実は照れ屋。

羽佐間観(はざま かん)


周作の台本に登場する主人公。

オクテな高校生だが、好奇心は強い。

紫藤悠里(しどう ゆうり)


周作の台本のヒロイン。

未来から来た精巧なアンドロイド。2人以上の人間と接触するとショートする。

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