センパイとの幸福な2日間
文字数 548文字
話の方向性が決まってしまえばあとは一気に書くだけだ。
……というのは甘かった。
僕はまだ、原稿を書かせてもらえなかった。
……というのは甘かった。
僕はまだ、原稿を書かせてもらえなかった。
かすみセンパイが主張して譲らなかったところから察するに、どうやら、台本というのは筆に任せて書くものではないらしい。
だが、物事には締め切りってものがある。
だが、物事には締め切りってものがある。
同じ2年生がせっついたのは、キャストもスタッフも台本の完成を待っているからだ。
僕も早く書きたかった。
前の僕なら多分そう思っただろうけど、ストーリーの流れが見えてきたら、いても立ってもいられなくなったのだ。
それに加えて、かすみセンパイへの心配もあった。
僕がせっつかれているわけだから、舞台監督として面倒見ると言ったかすみセンパイだって責められてると考えるのが当然だろう。
それでも僕は、「早く原稿を書きたい」とは言い出せなかった。
周りのプレッシャーからは逃げれば済むけど、放課後ずっと目の前に座っているセンパイの罵声からは逃げようがない。
それに、僕に真剣に語りかけるセンパイの顔を見ていると、どうしても話を遮る気にはなれなかったのだった。