キャラは一貫しなくちゃいけないんじゃないの?

文字数 581文字

わかりました。
 教室を出て行こうとしたところで、センパイはダメ出しの理由を説明しはじめた。
まず、オクテが積極的にならなかったら、オチつかないでしょ! この話。
すみませんちょっと。
 僕は両太腿をきゅっと締めて手を挙げると、かすみセンパイは形の整った眉を寄せ、露骨に顔をしかめた。
何よ。
トイレ行かせてください!
 我慢の限界で叫ぶと、かすみセンパイはいらだたしげにバン、と机をぶっ叩いた。
 行って来い!
 命じられるままに、僕はトイレを探して駆け出した。

どこだよ、使えるのは……ええと、ここの角曲がって階段上がって確か……。

あった! ああ、チャック固い、開かないよ限界限界限界……。

よかった、開いた! 

……ふ~。

 用を済ませると、冷静にものが考えられるようになった。選択授業教室に戻る廊下で、かすみセンパイへの反論を考える。
 まず、アニメやマンガを見て育ってきた僕としては、納得がいかなかった。

 長編ならともかく、短編でキャラが180°変わったら、読者はついてこられないじゃないいか。
 現実の人間だって、個性があるだろ? ひとりひとりを区別する目印だろ?
 じゃあ、目印は1つあればいいじゃないか。

 

 必要最低限の点数稼ぐのがやっとのバカ生徒とか。
 アニメとかマンガとかにはまっている、皆勤しか能のない人畜無害な高校生とか……。

 だから僕は、自分の信念に従って言い返した。
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登場人物紹介

真崎周平(まさきしゅうへい)


やる気なし、その場にいるだけのほとんど幽霊演劇部員。高校2年生。

アニメオタクで事なかれ主義のどうしようもないダメ男だが、その場の勢いで引き受けた戯曲づくりに夢中になっていく。

安藤かすみ


舞台に情熱の全てを注ぐ演劇少女。演技演出戯曲執筆と、劇作の全てに通じる高校3年生。小柄だがプロポーションも抜群、但し本人に自覚は多分、ない。下級生の面倒見はいいが態度はキツい。実は照れ屋。

羽佐間観(はざま かん)


周作の台本に登場する主人公。

オクテな高校生だが、好奇心は強い。

紫藤悠里(しどう ゆうり)


周作の台本のヒロイン。

未来から来た精巧なアンドロイド。2人以上の人間と接触するとショートする。

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