登場人物をキャラと呼んではいけない

文字数 484文字

 そして再び放課後。選択授業教室。 
で、このキャラなんですけど……。
登場人物をキャラ、キャラって言うな、うっとうしい。
 合いの手でも入れるかのようにダメ出しを繰り返すセンパイに、僕はいささか急いで「キャラ」を説明していた。生い立ちから性格、趣味、クセに至るまで……
 やっぱり徹夜して、マジメに考えてきたのである。今まで読んできたマンガや、見てきたアニメの知識を総動員して。
ふ~……。
 長い長い説明だった。喋り終えた僕は、脳味噌の中身全てを絞りつくしたような脱力感に襲われて、ちょっとふらついた。
別に座るなとは言ってない。

 嫌味だと取られたのか、本当に心配してくれたのか、それは分からない。どっちにせよ、足はふらついても踏ん張った。踏ん張らなければならない事情があった。

いえ、あの……大丈夫です。
 選択授業の教室に行く前、トイレに入ろうとしたら「使用禁止」と書いてあった。他にトイレはなくもない。だが、遅刻はマズイので、とりあえず部活を優先した。説明終わってセンパイのジャッジを聞いたら、使えるトイレを探して走ろうと思っていたのだ。
 そして、かすみセンパイの判定は……。
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登場人物紹介

真崎周平(まさきしゅうへい)


やる気なし、その場にいるだけのほとんど幽霊演劇部員。高校2年生。

アニメオタクで事なかれ主義のどうしようもないダメ男だが、その場の勢いで引き受けた戯曲づくりに夢中になっていく。

安藤かすみ


舞台に情熱の全てを注ぐ演劇少女。演技演出戯曲執筆と、劇作の全てに通じる高校3年生。小柄だがプロポーションも抜群、但し本人に自覚は多分、ない。下級生の面倒見はいいが態度はキツい。実は照れ屋。

羽佐間観(はざま かん)


周作の台本に登場する主人公。

オクテな高校生だが、好奇心は強い。

紫藤悠里(しどう ゆうり)


周作の台本のヒロイン。

未来から来た精巧なアンドロイド。2人以上の人間と接触するとショートする。

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