人は幾つもの顔を持つ

文字数 421文字

あんた、親の前でそういう口答えできる?
  僕はオフクロの顔を思い出した。あのヒステリー。思い出すだけでムカっとくる。

……! ……! ……、……!

口を開けば、進学のことしか言わない。
オマエの息子だ。オマエが選んだオヤジの息子だ。つまらない見栄で、僕にプレッシャーかけないでほしい。
なんて口答えは……やったことない。だけど、キレたらできるかもしれない。
できるさ。
じゃあ、アンタんとこの担任には?

 すかさず突っ込まれた。

 確かに、あの担任は結構うるさい。態度や言葉遣いに細かい。ちょっと言い間違えたり、ちょっと気が緩んだりしただけなのに物凄く怒鳴られる。
 いっぺんキレてみるのもいいかもしれない。……勇気いるけど、たぶん。

できる……かも。
じゃあ、たとえば退学寸前になっても校長にそういう態度取れる?
 たとえの踏み込み方がが極端すぎる。できるわけない。
それは……。
 口ごもると、かすみセンパイはトドメを刺してきた。
二重人格者ってことになるよ、アンタ。
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登場人物紹介

真崎周平(まさきしゅうへい)


やる気なし、その場にいるだけのほとんど幽霊演劇部員。高校2年生。

アニメオタクで事なかれ主義のどうしようもないダメ男だが、その場の勢いで引き受けた戯曲づくりに夢中になっていく。

安藤かすみ


舞台に情熱の全てを注ぐ演劇少女。演技演出戯曲執筆と、劇作の全てに通じる高校3年生。小柄だがプロポーションも抜群、但し本人に自覚は多分、ない。下級生の面倒見はいいが態度はキツい。実は照れ屋。

羽佐間観(はざま かん)


周作の台本に登場する主人公。

オクテな高校生だが、好奇心は強い。

紫藤悠里(しどう ゆうり)


周作の台本のヒロイン。

未来から来た精巧なアンドロイド。2人以上の人間と接触するとショートする。

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