新たな挑戦

文字数 443文字

共通点は分かった?
 徹夜で2冊とも読んできた僕は、自信たっぷりに頷いた。
両方とも、舞台の上で劇になっていました。その……ナレーターの回想とか、説明が。
よし!
じゃあ……。
アンタのもそうするといい。
 こうして、僕の台本は、主人公の羽佐間観(はざま かん)が、アンドロイドの紫藤悠里(しどう ゆうり)に関する思い出を語るという劇になった。
問題は、どの場面を劇にするかってことよ。
まず、20年後の観が花道に現れるところから始まります。
 そこで、僕はまず、「はじめ」の部分を説明した。

ここだ……間違いない。

あのときはここにまだ、錆びた金属板の、栄養ドリンクの広告があった。こんな山奥に人なんか来るわけない。何のつもりかさっぱり訳が分からないけど、それが、あの子だ。

 舞台上には観が語るとおりに廃屋が現れる。いつの間にか時間は20年戻り、観は廃屋を覗きこんでいる。ふと、観客に気付いて、唇に指を当てる。
しーっ……。夏休みが始まって間もないある日の朝早く、学校の補習に来た僕は、悠里を初めて見かけた。
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登場人物紹介

真崎周平(まさきしゅうへい)


やる気なし、その場にいるだけのほとんど幽霊演劇部員。高校2年生。

アニメオタクで事なかれ主義のどうしようもないダメ男だが、その場の勢いで引き受けた戯曲づくりに夢中になっていく。

安藤かすみ


舞台に情熱の全てを注ぐ演劇少女。演技演出戯曲執筆と、劇作の全てに通じる高校3年生。小柄だがプロポーションも抜群、但し本人に自覚は多分、ない。下級生の面倒見はいいが態度はキツい。実は照れ屋。

羽佐間観(はざま かん)


周作の台本に登場する主人公。

オクテな高校生だが、好奇心は強い。

紫藤悠里(しどう ゆうり)


周作の台本のヒロイン。

未来から来た精巧なアンドロイド。2人以上の人間と接触するとショートする。

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