ポルノじゃありません

文字数 425文字

ポイント・オブ・ノーリターンがそのトラブルだね。
口を挟んだかすみセンパイは、僕が首をかしげると、黒板に「P・O・N・R」と書いた。
ポルノ……。
つぶやいた僕の後頭部を、かすみセンパイがしばき倒した。
何てこというんだ、この破廉恥漢!
すみませ……。
回帰不能点。ここまで来たら後戻りできないところ……。
 僕の詫びもすまないうちに説明に入ったセンパイは、自らの豊かな胸をぎゅっと抱えた。息が荒い。
 ツインテールの髪留めを外すと、長い黒髪がはらりとこぼれて揺れる。
あの……。
観への恋心と悠里への嫉妬、口にできない思い! 逆巻く感情を抑えきれずに教室を飛び出すあきら……。
 黒縁メガネのレンズに光が反射していた。その奥の目はどうなっているか分からない。
 でも、多分その目はイってるなと感じた。意外な側面だった。
……コホン。

……以上のことが原因で大騒ぎになる。事なかれ主義の担任が動かざるを得なくなる。

 センパイは何事もなかったかのように居住まいを正して話を続ける。
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登場人物紹介

真崎周平(まさきしゅうへい)


やる気なし、その場にいるだけのほとんど幽霊演劇部員。高校2年生。

アニメオタクで事なかれ主義のどうしようもないダメ男だが、その場の勢いで引き受けた戯曲づくりに夢中になっていく。

安藤かすみ


舞台に情熱の全てを注ぐ演劇少女。演技演出戯曲執筆と、劇作の全てに通じる高校3年生。小柄だがプロポーションも抜群、但し本人に自覚は多分、ない。下級生の面倒見はいいが態度はキツい。実は照れ屋。

羽佐間観(はざま かん)


周作の台本に登場する主人公。

オクテな高校生だが、好奇心は強い。

紫藤悠里(しどう ゆうり)


周作の台本のヒロイン。

未来から来た精巧なアンドロイド。2人以上の人間と接触するとショートする。

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