じゃない地獄の連休

文字数 411文字

よし! じゃあ、徹底的に絞るからね。着席!
 僕は再び腕を掴まれ、椅子に座らされた。
ぢょっど、やずまぜでくだぢゃい……。
ダメ! 今から連休は始まってるの!
そんなムチャクチャな……。
 そして再び、いつも通りの説教が始まった。
だいたいアンタねえ、劇の基本的なスタイルを分かっていないの! 
1シーンごとにナレーターを出して話を進めちゃダメなんですか?
基本的には反則。「なぜそうなったか」「その結果どうなったか」ってことは、きっちりセリフとト書きでドラマにしなくっちゃ。
基本的には?
例外があるってこと。

 そこで先輩は、文庫本2冊を僕の目の前に置いた。


 テネシー・ウィリアムズ『ガラスの動物園』。

 ソーントン・ワイルダー『わが町』。

へえ……。
「へえ」じゃない! 読んでくる!
じゃあ、連休明けに。
明日だっての!
そんなムチャクチャな……。
……そんなわけで、僕は次の日から朝早く登校して、かすみセンパイの待つ選択授業教室に通うことになった。
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登場人物紹介

真崎周平(まさきしゅうへい)


やる気なし、その場にいるだけのほとんど幽霊演劇部員。高校2年生。

アニメオタクで事なかれ主義のどうしようもないダメ男だが、その場の勢いで引き受けた戯曲づくりに夢中になっていく。

安藤かすみ


舞台に情熱の全てを注ぐ演劇少女。演技演出戯曲執筆と、劇作の全てに通じる高校3年生。小柄だがプロポーションも抜群、但し本人に自覚は多分、ない。下級生の面倒見はいいが態度はキツい。実は照れ屋。

羽佐間観(はざま かん)


周作の台本に登場する主人公。

オクテな高校生だが、好奇心は強い。

紫藤悠里(しどう ゆうり)


周作の台本のヒロイン。

未来から来た精巧なアンドロイド。2人以上の人間と接触するとショートする。

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