台本もクライマックスに向けて

文字数 517文字

……一晩経って翌日の教室。
……ほら。
……ごめん。
……気にして、ないから。
……小菅。
……もういいだろ、このへんで……ったく! なあ観、おまえもそういう……いやなんとなくまあ事情は知ってるけど、そこはそれ、あきらちゃんとは知らない仲でもないんだからあれだ、そう!  
悪い、小菅、これだけは。
そうかよ、もういいよ。俺はいいけど、あきらちゃんにだけは、な。腹割って……。
観が言いたくないなら、いい。
あきら……ごめん。
何それ何それ、じゃあ夕べの俺の苦労なに? 泣いてるアキラちゃんなだめてここまで連れてきた俺の立場ど~なんの?
そこへ担任に呼ばれた両親がやってきて、そこは懇談の場になる。
気持ちは分かるが小菅くん、ここは僕に任せてくれないかな。
親父……? おふくろ……? 先生、何で?
観! たるんどるんじゃないか、お前少し!
父さん! こういうときだけいいカッコしようったってダメよ。
もう、ほっといてくれよ!
じゃあ頑張って、よい四者面談を。……行こうぜ、あきらちゃん。俺たちの出る幕じゃないってよ。
観……あたし……。
 小菅とあきらが出て行った後、担任は面倒臭そうに、夏休み中の生活についての説教を始める。ふてくされる観。叱る父親。軽く流す母親……。
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登場人物紹介

真崎周平(まさきしゅうへい)


やる気なし、その場にいるだけのほとんど幽霊演劇部員。高校2年生。

アニメオタクで事なかれ主義のどうしようもないダメ男だが、その場の勢いで引き受けた戯曲づくりに夢中になっていく。

安藤かすみ


舞台に情熱の全てを注ぐ演劇少女。演技演出戯曲執筆と、劇作の全てに通じる高校3年生。小柄だがプロポーションも抜群、但し本人に自覚は多分、ない。下級生の面倒見はいいが態度はキツい。実は照れ屋。

羽佐間観(はざま かん)


周作の台本に登場する主人公。

オクテな高校生だが、好奇心は強い。

紫藤悠里(しどう ゆうり)


周作の台本のヒロイン。

未来から来た精巧なアンドロイド。2人以上の人間と接触するとショートする。

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