真剣なセンパイと僕の責任

文字数 432文字

 僕もしまったと思った。いかに傲慢でキツイかすみセンパイとはいえ、女の子なのだ。
イヤ、僕も……。
 お互い、しばし押し黙った。しばらくして、かすみセンパイは僕の隣の席に座った。
 かすみセンパイは、何も書いてない黒板をまっすぐ見つめていた。そして、そのままの姿勢で、キャラをメモした紙を僕の机の上からそっと取った。
……。
……。
 僕はセンパイの横顔を見た。内にハネたボブカットのせいで、黒縁メガネの童顔が余計に幼く見える。
 だが、メモをじっと見つめる表情は凛と張りつめていた。その厳しい表情のせいか、なんだか背中がぞくっとした。
アタシが書けばイチバン早いのよ。だけど、問題は台本ができるできないじゃない。
……。
 僕の目を真っ直ぐ見て、僕のいちばん痛いところを突く。
アンタがアンタの責任を果たさないこと。
ぐ……。
 かすみセンパイは再びメモに視線を戻した。
 僕も厳粛な気持ちになった。今までそうやって生きてきたのだ、僕は。
 だから、かすみセンパイの横顔を見つめながら言った。
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登場人物紹介

真崎周平(まさきしゅうへい)


やる気なし、その場にいるだけのほとんど幽霊演劇部員。高校2年生。

アニメオタクで事なかれ主義のどうしようもないダメ男だが、その場の勢いで引き受けた戯曲づくりに夢中になっていく。

安藤かすみ


舞台に情熱の全てを注ぐ演劇少女。演技演出戯曲執筆と、劇作の全てに通じる高校3年生。小柄だがプロポーションも抜群、但し本人に自覚は多分、ない。下級生の面倒見はいいが態度はキツい。実は照れ屋。

羽佐間観(はざま かん)


周作の台本に登場する主人公。

オクテな高校生だが、好奇心は強い。

紫藤悠里(しどう ゆうり)


周作の台本のヒロイン。

未来から来た精巧なアンドロイド。2人以上の人間と接触するとショートする。

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