セリフを生かす技
文字数 605文字
さて、昼飯をさっさと啜りこんで、午後の作業である。
午前の作業がスムーズに進んだので、午後もこんなもんかとタカをくくっていたが、世の中そんなに甘いもんではない。
僕の手は、すっかり止まってしまったのだった。
午前の作業がスムーズに進んだので、午後もこんなもんかとタカをくくっていたが、世の中そんなに甘いもんではない。
僕の手は、すっかり止まってしまったのだった。
原因は、かすみセンパイのダメ出しが異様に多いことだった。1シーン書いてはダメ出し、削除して書き直し……
ダメ出しで特に多かったのが、肝心のセリフがまずいことだった。話の展開は、頭の中では分かっている。だが、分かっていてもなかなか書けるものではない。
ダメ出しで特に多かったのが、肝心のセリフがまずいことだった。話の展開は、頭の中では分かっている。だが、分かっていてもなかなか書けるものではない。
時間が経つにつれて、かすみセンパイはヒートアップしていった。
部活の将来と大会の成功を願うかすみセンパイの気持ちを考えれば、どれだけ罵声を浴びても仕方ないと思えてくる。僕は言われるままに何度でもセリフを書き直した。
かすみセンパイのダメ出しに辟易し、セリフに呻吟しながら書き進めていく。それでも不思議なもので、ある程度書くと登場人物が自然に喋りだすのが感じられた。