キャラは個性じゃない

文字数 475文字

キャラと違うことするヤツって、変だと思いませんか?
 すると、かすみセンパイは真顔で言った。
それを差別っていうのよ。芝居やる人間が絶対やってはいけないこと。
 そこまで言うことはないんじゃないか。結構ムカッときた。
でも、キャラって個性じゃないんですか?
 つい声を荒らげた僕の問いに、かすみセンパイはたしなめるような優しい、しかしきっぱりとした口調で答えた。
個性は誰でも生まれつき持っているわ。キャラは回りが決め付けるもの。
周りが認めないキャラなんて、ただの思い込みです。
 こんなんで、どうしてここまでムキになったのか分からない。でも、センパイは淡々と僕を諭した。
人がやってることを見て評価するのと、見もしないで決め付けるのは違うわ。
 僕はそんな、人を上っ面で判断する人間じゃない。
僕がそういう人間だっていうんですか!

 僕がこんな叫びかたをするなんて、自分でも意外だった。しかも、女の子相手に。

 かすみセンパイが、あ、という顔をした。真顔で僕に説教していたのが、急に伏し目がちになって顔をそむけた。
 しばらく沈黙して、ぽつりと言った。

ゴメン……言い過ぎた。
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登場人物紹介

真崎周平(まさきしゅうへい)


やる気なし、その場にいるだけのほとんど幽霊演劇部員。高校2年生。

アニメオタクで事なかれ主義のどうしようもないダメ男だが、その場の勢いで引き受けた戯曲づくりに夢中になっていく。

安藤かすみ


舞台に情熱の全てを注ぐ演劇少女。演技演出戯曲執筆と、劇作の全てに通じる高校3年生。小柄だがプロポーションも抜群、但し本人に自覚は多分、ない。下級生の面倒見はいいが態度はキツい。実は照れ屋。

羽佐間観(はざま かん)


周作の台本に登場する主人公。

オクテな高校生だが、好奇心は強い。

紫藤悠里(しどう ゆうり)


周作の台本のヒロイン。

未来から来た精巧なアンドロイド。2人以上の人間と接触するとショートする。

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