そして、男を試されるとき
文字数 421文字
とりあえず、僕は再び手首を掴んでみようと手を伸ばす。だが、その試みは最悪の結果を招いた。
かすみセンパイが寝返りを打った。その反動で、掌が飛んでくる。
かわそうとした僕は、バランスを崩した。もんどり打って倒れこむ。
シーツの上に横たわる、センパイの体の上に……。
しまった!
しまった!
起き上がろうとしたが、センパイはどんな夢を見ているのやら、細く滑らかな感触の腕が、僕を羽交い絞めにする。
温かく、柔らかな身体が押し付けられる。
逃れようと僕はもがいたが、ダメだった。僕の身体にも、昨夜までの疲れが溜まっていた。
僕の意識が遠のいていく。
僕の意識が遠のいていく。
最後に考えたのは、そんなことだった。
日は、そろそろ暮れかかっていた……。