母との闘い・序章

文字数 288文字

 センパイの怒りはもっともである。僕は待ちぼうけを食わせながら、電話の一本も入れなかった。
 原因は、オフクロである。
どこ行くの? 連休の宿題出てんでしょう? 
いや、その……。

 どこで聞いてきたのやら。

 部活だとは言えなかった。言えば……。

断りなさい。さあ、ここで電話!

 ……ということになる。

 かすみセンパイに電話を入れれば、会話の内容を不審がられるだろう。部活なんか本当はないのだから。

 そんなわけで。

宿題最優先。家から出ちゃダメよ!
 そして僕は、唯々諾々とオフクロの言いなりになるしかなかった。やっとの思いで宿題を徹夜で片付け、今朝早く、部活と偽って脱出してきたのである。
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登場人物紹介

真崎周平(まさきしゅうへい)


やる気なし、その場にいるだけのほとんど幽霊演劇部員。高校2年生。

アニメオタクで事なかれ主義のどうしようもないダメ男だが、その場の勢いで引き受けた戯曲づくりに夢中になっていく。

安藤かすみ


舞台に情熱の全てを注ぐ演劇少女。演技演出戯曲執筆と、劇作の全てに通じる高校3年生。小柄だがプロポーションも抜群、但し本人に自覚は多分、ない。下級生の面倒見はいいが態度はキツい。実は照れ屋。

羽佐間観(はざま かん)


周作の台本に登場する主人公。

オクテな高校生だが、好奇心は強い。

紫藤悠里(しどう ゆうり)


周作の台本のヒロイン。

未来から来た精巧なアンドロイド。2人以上の人間と接触するとショートする。

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