意外に知られてないブラック部活

文字数 574文字

……辞めるわけにはいかないってか。適当にやろっと。
 入部前は、アニメやマンガで見た、可愛い女の子たちがタンクトップ姿で踊っているというイメージしかなかった。そんなところで小道具かなんか手伝って、適当にサボればいいと思っていたのに……結果は、この通りだった。
ま~さ~き~!
ぐるじ……苦、しい、放して!
……放して?
……ください。
 確かに女子の先輩の中には可愛い女の子もいた。かすみセンパイもその一人である。だが、その性格は童顔に反比例して、芝居のオニだった。
……反省は?
じでま、す……してます。
 かすみセンパイは、入部したときから他の部員とはテンションが違ったらしい。
 発声でも基礎訓練でも、習ったことはその日のうちに消化しようという意気込みがあったという。
……発声やらせりゃ身体の重心ふらふらフラフラ片足ずつ、基礎練やらせりゃトイレとか言って戻ってこない!
……それは、その、僕、いつもおなか痛くって。
ハラ痛いヤツが稽古中にこそこそコソコソ物陰隠れてものを食うなあああ!
……でも、僕、大道具。
1寸角のタル木も斜交いに切れんクセに何を言うかあああ!
 スタッフをやらせても大活躍だった。大道具でも照明でも、教えればすぐひととおりのことができたという。
 裏方仕事の早さには、上級生も驚いたそうだ。自分たちのやることをいつ見ていたのかと思うほどだったらしい。
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登場人物紹介

真崎周平(まさきしゅうへい)


やる気なし、その場にいるだけのほとんど幽霊演劇部員。高校2年生。

アニメオタクで事なかれ主義のどうしようもないダメ男だが、その場の勢いで引き受けた戯曲づくりに夢中になっていく。

安藤かすみ


舞台に情熱の全てを注ぐ演劇少女。演技演出戯曲執筆と、劇作の全てに通じる高校3年生。小柄だがプロポーションも抜群、但し本人に自覚は多分、ない。下級生の面倒見はいいが態度はキツい。実は照れ屋。

羽佐間観(はざま かん)


周作の台本に登場する主人公。

オクテな高校生だが、好奇心は強い。

紫藤悠里(しどう ゆうり)


周作の台本のヒロイン。

未来から来た精巧なアンドロイド。2人以上の人間と接触するとショートする。

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