4-14 二重人格を彷彿させるような (カトリック仙人天佑視点)
文字数 1,046文字
「こんな醜態をさらして、ただ大人しくこの場をさるわけにはいかない。まだ自覚はできている、私は斉天大聖 孫悟空だ」
「無理するでない悟空、ここはおとなしく引いておけ、
そうでないと、お前、豊臣とかいう日本人と混ざりあってしまうぞ、戻れなくなるぞ癒着してしまうんじゃぞ。いままでは自覚なく隣り合ってたにすぎなかったのに。そうすれば、大元、太源に存在している『孫悟空』と、いまここにいるお前は分離してしまう。そしたらどうなる。孫悟空という信仰の おおもと は変わらずとも、いまこの場のその身その心は両方とも消えてしまうんじゃぞ、日本の怨霊と混ぜあわされた死霊になり、天佑との闘いに勝とうが負けようが滅することが決定されてしまう。お前はせっかく克服した『死』に『消滅』にその全てを委ねる覚悟はあるのか。そこの大蛇との喧嘩、そこまでする価値があるのかい」
「いまさらですよ、老君。目の前に大妖の大蛇。私にとってはひさびさの妖怪退治ではないですか。この心は浮きたっていたようだ。ああこの高揚を忘れてしまっていた、私は異教徒の祈りの場を破壊するなんてことは酷いことであり、仏教徒の私にとっても馬鹿げたことだ、そしてとてもつまらないことだったとやっと理解できることができました。いらない執着が一つ消えた。私はただ暴れたかっただけだったんだ。この地に散々な迷惑をかけてしまったあとにこんなことに気づくなんて、我が存在に混ざりし極東の独裁王、私は汝の手をとろうと思う。目的はただただ目の前の強敵を倒す、ただそのために死力をともにつくそう」
「そうか腹を決めたかい。オレと一緒に、目の前のキリシタン供を屠るっていうんなら、こちらとしても願ったり叶ったりかもしれんなぁ。なにせオレの生きた戦国期、日本人を奴隷として海外に売り払ったりしたことを、こちらは覚えておるからのう」
口調が変わった大猿、いやこの人格こそが孫悟空の身のうちに巣食った豊臣秀吉とかいう過去の日本国独裁者か。奴隷貿易に関しては反省して当然だが、豊臣秀吉といえば、江戸時代につながるキリスト教禁教の始まりともいえる弾圧を加えた人物。やはり我らとは敵対するか。
「ワシも得物をもって戦った経験がないわけではないが、伝説の斉天大聖のもつ武力武才にかなうわけもなく。身体はそちらの自由に動かしてくれい、邪魔にならないように己を抑えておくが、我が一族を滅ぼした徳川ゆかりの仙女も懲らしめてやりたくある。どうだ、尻尾を巻いて逃げて醜態でも晒してくれるか、柳生の小娘よい」
「無理するでない悟空、ここはおとなしく引いておけ、
そうでないと、お前、豊臣とかいう日本人と混ざりあってしまうぞ、戻れなくなるぞ癒着してしまうんじゃぞ。いままでは自覚なく隣り合ってたにすぎなかったのに。そうすれば、大元、太源に存在している『孫悟空』と、いまここにいるお前は分離してしまう。そしたらどうなる。孫悟空という信仰の おおもと は変わらずとも、いまこの場のその身その心は両方とも消えてしまうんじゃぞ、日本の怨霊と混ぜあわされた死霊になり、天佑との闘いに勝とうが負けようが滅することが決定されてしまう。お前はせっかく克服した『死』に『消滅』にその全てを委ねる覚悟はあるのか。そこの大蛇との喧嘩、そこまでする価値があるのかい」
「いまさらですよ、老君。目の前に大妖の大蛇。私にとってはひさびさの妖怪退治ではないですか。この心は浮きたっていたようだ。ああこの高揚を忘れてしまっていた、私は異教徒の祈りの場を破壊するなんてことは酷いことであり、仏教徒の私にとっても馬鹿げたことだ、そしてとてもつまらないことだったとやっと理解できることができました。いらない執着が一つ消えた。私はただ暴れたかっただけだったんだ。この地に散々な迷惑をかけてしまったあとにこんなことに気づくなんて、我が存在に混ざりし極東の独裁王、私は汝の手をとろうと思う。目的はただただ目の前の強敵を倒す、ただそのために死力をともにつくそう」
「そうか腹を決めたかい。オレと一緒に、目の前のキリシタン供を屠るっていうんなら、こちらとしても願ったり叶ったりかもしれんなぁ。なにせオレの生きた戦国期、日本人を奴隷として海外に売り払ったりしたことを、こちらは覚えておるからのう」
口調が変わった大猿、いやこの人格こそが孫悟空の身のうちに巣食った豊臣秀吉とかいう過去の日本国独裁者か。奴隷貿易に関しては反省して当然だが、豊臣秀吉といえば、江戸時代につながるキリスト教禁教の始まりともいえる弾圧を加えた人物。やはり我らとは敵対するか。
「ワシも得物をもって戦った経験がないわけではないが、伝説の斉天大聖のもつ武力武才にかなうわけもなく。身体はそちらの自由に動かしてくれい、邪魔にならないように己を抑えておくが、我が一族を滅ぼした徳川ゆかりの仙女も懲らしめてやりたくある。どうだ、尻尾を巻いて逃げて醜態でも晒してくれるか、柳生の小娘よい」