孫悟空《作者注 ◉ノド筋肉が衰えて声でなくなるの怖いよ。エア友○最高》

文字数 884文字


猿王 孫悟空のヒトリゴト


許せなかった、許せなかった、許せなかった
人民を猿あつかいし売り飛ばす奴ら
そんなクソ野郎どもに慈悲などワカナイ

あの罪を消すわけには行かない

主とやらを信じて、寺を焼きはらった王を知っている
あの教えの聖職者どもが、蛮行を煽ったこともあっただろう

悟浄は常に考えていた
八戒は常に欲っしていた
白馬なる龍は進み続けた

そして師匠、玄奘さまは、常に信じていたんだ

善意を、


万人に仏性はあるかいなや

 殺さずにすむ者を、信仰のために破壊する奴らに
 信じるという尊い行為を、信じぬ者への蔑みへと変えててしまう愚物らに
 オレは、仏性の欠片(かけら)さえ感じることができないのだ。



 にしても、思い出の悟浄の頭に皿がみえるような
 ちがう、ちがう、弟弟子は極東の水妖なんかじゃない

 心に浮かぶのお師匠様の姿が、
どうしても女体にみえてしまうような

 ああ、あいつらは、ほんとに。江戸の頃、水滸伝でも


 いやだ いやだ、混ざっていく。
あの東の国生まれの、あのような存在との混在を止めることができない。
 

 オレは『孫悟空』なんだ。
 斉天大聖。孫行者。通天大聖。猴行者。美猴王。

 弼馬温(ひっぱおん)。卑しきとされたタダの馬番。
ああこの呼び方でさえ良い。

 これらの呼称もできた存在なのに……そうであったのに。
 

 やめてくれ、とめてくれ、もどしてくれ
 あんなヤツじゃない、あんな男じゃない、オレはアイツなんかじゃない。

 ああ猿と見下された、ああ、アイツらが、あの教えが、


【まどろむほどに七変万化。
きらいなはずの存在が、するりと思考の掌から逃げる】


 きづけばまた、如意棒に手ごたえ
 主とやらを信じるアイツらの、集合場所をまた壊してゆく。

 その感覚のたびにオレは、
天竺で途絶えてしまった仏の教えに想いをはせ
 その歴史に、怒り悲しみ憂い、どんどんと困惑が……

 くるくるくるくると螺旋に囚われる心地、そんな明滅が止まらないのだ。

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登場人物紹介

柳生烏丸(やぎゅう からすまる)


ヒロイン


柳生剣士でありながら女仙


キリスト教 正教会信徒


詳細は後日

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