2-21 あぅ、ラヴ到達。なんだけど、あれ?【てんゆう、抱きしめたりビビったり】
文字数 1,247文字
彼女、烏丸さんの手も私の背にまわされる。
互いに互いを支え合うかのごとくに、私たちは無言でその存在への祝福を認め合う。
時が止まったかのような……終末の先、その幸福な新しい世界を、誰よりも早く二人で体験してるかのような安寧。
たぶん、こういう一瞬のために今、人は生きているのだろう。
「完全に僕のこと忘れ、恋人たちだけの世界に浸ってるだろ、君ら」
「空気読んでください、右真中のさん。出歯亀……とは、さすがに言いませんが、黙視していただくことを切にお願いしたく」
「まぁ言わせてよね。キリストを奉じる信者になるかは未定ではあるけど、君たちの協力してもいいかもって思てるんだしさ。それにしたってさぁ、……ヨセフさん、マリアさん、イエスさんだっけ。聖家族のように信じなさい、ってさぁ。君たちホントに男女の交わりなしに、子ができるって思いこめてるの?。欲望を突きつける役割をもちたい僕、蛇妖ヤマタノオロチには、死からの復活よりも納得し難いのだけどねぇ」
「だからこその奇跡なんですよ、それを信じるから信仰なんです。人類史のなかで、ただの一度だけなんですから。特例の特別のたった一回、摩訶不思議が在っても『あり』です!」
「降参、君が得た自己への真実、そこに向かう誠実は本物だ。もう今後、その信仰へ茶々をいれるのは控えるとするよ」
「あと先ほど貴方が指摘していました信仰とは関係ないところですが、牛魔王、うちの牛親父はただの女好きです。お金も大好きでしょうが、我が母、玉面公主という女性本人にも惹かれているでしょうから安心とでもいうか。そういう面で、私のほうは烏丸嬢と似た苦悩を抱えたことはありませんでした。まぁ羅刹女さんは魅力は私にも理解できますから、むべなるかな」
「うーわぉ、継母に対して劣情をもよおしたと、告白されちゃった」
「誰も、そんなことまでは言ってな……」
と言いかけたところで気づく。
なにか急速に膨れ上がる殺気のような怒気ともとれる、研ぎ澄まされた刃を握りし鬼、そんな凶暴極まりない想い、激烈な感情が我が両腕のうちの人物から、
「斬る、この人を侮辱するなら……たとえ敵わなくても、刻む」
「ん、えっと、あの。どうしましたか烏丸さん」
うわ、なんか背筋がゾワゾワする。
「あーあ、どハマりしちゃった。身体を重ねる前からこの深度。罪深いねぇ色男の天佑さん。これから大変だよ。占の視線でとらえた結果というか、似てる誰かが来るんだろうなって期待と警戒をしてたんだけど、女の方だったかぁ」
ヤマタノオロチのナニやら含みのある言い方に、私の想い人が反応する。
「……それは、どういう」
「柳生烏丸ちゃん、こっちを今凄い眼で睨んでる君ね、性別は違うとはいえソックリだよ。我と我ら八首を斬り刻めしスサノオに兄妹か、とさえ思えるほどのに、その精神性は近い」
蛇は、母を慕いし雄神の名を口にする時、どこかウットリとした表情を隠せないようだった。
互いに互いを支え合うかのごとくに、私たちは無言でその存在への祝福を認め合う。
時が止まったかのような……終末の先、その幸福な新しい世界を、誰よりも早く二人で体験してるかのような安寧。
たぶん、こういう一瞬のために今、人は生きているのだろう。
「完全に僕のこと忘れ、恋人たちだけの世界に浸ってるだろ、君ら」
「空気読んでください、右真中のさん。出歯亀……とは、さすがに言いませんが、黙視していただくことを切にお願いしたく」
「まぁ言わせてよね。キリストを奉じる信者になるかは未定ではあるけど、君たちの協力してもいいかもって思てるんだしさ。それにしたってさぁ、……ヨセフさん、マリアさん、イエスさんだっけ。聖家族のように信じなさい、ってさぁ。君たちホントに男女の交わりなしに、子ができるって思いこめてるの?。欲望を突きつける役割をもちたい僕、蛇妖ヤマタノオロチには、死からの復活よりも納得し難いのだけどねぇ」
「だからこその奇跡なんですよ、それを信じるから信仰なんです。人類史のなかで、ただの一度だけなんですから。特例の特別のたった一回、摩訶不思議が在っても『あり』です!」
「降参、君が得た自己への真実、そこに向かう誠実は本物だ。もう今後、その信仰へ茶々をいれるのは控えるとするよ」
「あと先ほど貴方が指摘していました信仰とは関係ないところですが、牛魔王、うちの牛親父はただの女好きです。お金も大好きでしょうが、我が母、玉面公主という女性本人にも惹かれているでしょうから安心とでもいうか。そういう面で、私のほうは烏丸嬢と似た苦悩を抱えたことはありませんでした。まぁ羅刹女さんは魅力は私にも理解できますから、むべなるかな」
「うーわぉ、継母に対して劣情をもよおしたと、告白されちゃった」
「誰も、そんなことまでは言ってな……」
と言いかけたところで気づく。
なにか急速に膨れ上がる殺気のような怒気ともとれる、研ぎ澄まされた刃を握りし鬼、そんな凶暴極まりない想い、激烈な感情が我が両腕のうちの人物から、
「斬る、この人を侮辱するなら……たとえ敵わなくても、刻む」
「ん、えっと、あの。どうしましたか烏丸さん」
うわ、なんか背筋がゾワゾワする。
「あーあ、どハマりしちゃった。身体を重ねる前からこの深度。罪深いねぇ色男の天佑さん。これから大変だよ。占の視線でとらえた結果というか、似てる誰かが来るんだろうなって期待と警戒をしてたんだけど、女の方だったかぁ」
ヤマタノオロチのナニやら含みのある言い方に、私の想い人が反応する。
「……それは、どういう」
「柳生烏丸ちゃん、こっちを今凄い眼で睨んでる君ね、性別は違うとはいえソックリだよ。我と我ら八首を斬り刻めしスサノオに兄妹か、とさえ思えるほどのに、その精神性は近い」
蛇は、母を慕いし雄神の名を口にする時、どこかウットリとした表情を隠せないようだった。