ヤマタノオロチ  《作者注◉その男 マザコンかロリコンかって条件設定は間違い》

文字数 1,444文字



大蛇(だいじゃ)ヤマタノオロチのヒトリゴト



この国は豊かである。日の本は恵みに満ちている

あふれんばかりの良質な水。
今や杉畑が中心だといえど、緑麗しい山々

玄米とはこれ完全な食べ物であり
狭い耕作地であろうとも、水田こそが命を繋ぐ
奇跡的なこの穀物を敬う限り、繁栄は約束されたようなもの

むしろ警戒すべきは殖えすぎることなのかもしれない
天災が日常のこの土地、農業はどこか賭け事めいている
その賭けに負けたが最後、飢饉は必至の土地である

今は金でどうにかできても、
いつまで飢えの地獄を遠ざけることができようか

ゆえに自然の暴威に繋がりし、祟り神こそ恐ろしい
荒神たちを静めなければ


根づくは我ら、古来より祭られし神々

全知万能だという一神を奉ずる者どもは、
土着の妖魔ごとくに扱うかもしれぬが、知ったことではない


それこそ生贄を求めた大蛇怪
八岐大蛇(ヤマタノオロチ)でさえ
神として祭る民草の、

優しき純真と
それを超えた(したた)かさ


我らはお互いにわかっていた、理解し合えていたのだ
そうであったのに、いつのまにか、どうして、なぜ……


そして、
人を捧ぐ儀式の主催者であった我、であるからこそ観えること
人柱は否定されゆくのが文明であり、また正道なる歴史の流れ

ニエは否定される、
それ人界の(ことわり)は、その途上にある


ゆえに、
《ヤツは、アイツは、あの男は、あの御方は、》
《あれなる雄は、撹拌者(トリックスター)(かくはんしゃ)は、》
《時代を超える英雄は、高天原からの下り者は、》


【思考が八つに分離
【……、一尾選択{文化的男性性基準}】
【この頭蓋にて言葉を選べ】


あの男は、スサノオは肯定されるべき、

では、あるのだけれど、そうであるはずなのだけれど、

あの想いは、あれは、まったくもって自然でない


母を、イザナミを求めすぎていたのだろうか
なぜ『黄泉に行きたい』『母君に会いたい』と

だって知っているだろう、スサノオよ
御前と母イザナミの間には、なぁんにも……


だからこそわからぬのだ
我を、八尾なる我らを、
なんの憎悪をもって斬り刻んだのだろうか?

……あの少年の心で

誇りに満ち満ちた英雄の矜持と、
人の世が未来に求めるナニカを具現化せし使命

この二つ尊きものから外れる、
おぞましき感情の滓が漂い続けている


まぁ良い、言ってもせんなきことよ
いま、思うべきはヤツ


さぁ来るがよい、カトリック仙人とやら
我らのうち我こそは、問わねばなるまい、

貴方(あなた)がたにとって
聖母マリアとは、いったいなんであるのかを。



そしてもうひとつ、
……なぜ(ヘビ)をそのよう象徴と結びつけたのか


 我らはもともと善神なのだ
 ヘビはネズミを食らうゆえに、
 そしてこの身、この形態ゆえに
 我らは豊穣と繁栄の象徴であったのに

 なぜ、あの文化圏は我らを
 あのような存在にしか見れぬのだ

 いにしえのとき、もう届かぬ古代世界
 あの遥かに遠い
 自然の恵み貧しき土地で、

 ……なにがあったのだろう?




◉【裏設定】

敵対者、
傍観者、
文化的男性性基準、
肯定する土着神々(日本基準では高天原系以外のこの国の)
否定する土着神々(まつろわぬ)、
生物学的男性性基準、
宗教全体基準(世界)、
人類伝説歴史視点、


これら八つの思考形態
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登場人物紹介

柳生烏丸(やぎゅう からすまる)


ヒロイン


柳生剣士でありながら女仙


キリスト教 正教会信徒


詳細は後日

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