4–9 悟空と戦う直前に(カトリック仙人天佑視点)
文字数 1,065文字
すでに立ち去った場の空気を探ってみると、この国のクーデターは首尾よく片付いたようだ。最初は彼らの軍事力も利用して我らの目指す討伐をなそうと思案していたが、最悪独裁者ではなくただの護衛の一人に化けていたのが孫悟空だったのだから、頼るわけにはいかないだろう。そもそも人界と仙界は薄いつながりを保ち続ける必要があるのが理 、必要以上の干渉はそれこそご法度。
さて、そとは鬱蒼としている、この国は熱帯雨林がまだかなり残ってるぐらい自然が豊富である、で……あるがゆえに人気のない広場などはあまりない。その数少ない平坦な土地の一つとして……あそこがいいな。
ではこの勝負、この国最大の体育遊戯場、そこの時と空間の位相をずらしできあがる『場所』で、
私たちカトリック仙人一行は、日本の英雄にでもあった豊臣秀吉に魂を汚されつつある斉天大聖 孫悟空と決闘をする。
今回の指令を老君にはじめて聞いたときの、日本の絵物語である新しき孫悟空による、老君の心配していた旧来の幻想の『変容と喪失』の影響による事件ではなかったが、それ以上に奇怪な話ではある。『猿』という共通項で、日本の戦国安土桃山時代活躍した英雄と、民間信仰されてるはいえ元々通俗小説の登場人物ならぬ登場猿物である悟空が重なり合ってしまったとは。
戦いの場の見当は、相手も同じらしい、距離を置きつつ互いに同じ方向に向かっていけている。
小声でヤマタノオロチさんと意思疎通。悟空さんに聞かれているかどうかしらないが、ここまで互いにぶっちゃけたからには要らぬ心配は無用に思えた。
「右真中のさん、先ほどはお見事」
「完全に君たち自分たちの世界に入ってるんだもん、ほっといても良かったんだけど、つい尾が出ちゃったよ」
「ははは、申し訳ない。失礼ついでに突っ込んだことを聞いてしまいますが、私の制御下にありながら、あれほどの力をふるえたわけですから、見当がついてしまいましたよ。残り七蛇頭、他の方々はどうかしりませんが『右真中の』さんは、とっくに我らと同じ信仰に回心することを承諾していますよね」
「あ、わかっちゃった。どこまでも悪を滅ぼしたいみたいな考えは受け入れようがないけど、皆を良しとしその全てを背負う尊い者を崇めるというのなら、距離はとりつつも仲間としてやってけそうだからさ。己を悪とするか善となるかは、それ長い年月自然に練り上げるものとして、僕は僕でいたいのさ。その僕を否定してくれないでいるならキリスト様とやらに仕えてあげようじゃないか」
さて、そとは鬱蒼としている、この国は熱帯雨林がまだかなり残ってるぐらい自然が豊富である、で……あるがゆえに人気のない広場などはあまりない。その数少ない平坦な土地の一つとして……あそこがいいな。
ではこの勝負、この国最大の体育遊戯場、そこの時と空間の位相をずらしできあがる『場所』で、
私たちカトリック仙人一行は、日本の英雄にでもあった豊臣秀吉に魂を汚されつつある斉天大聖 孫悟空と決闘をする。
今回の指令を老君にはじめて聞いたときの、日本の絵物語である新しき孫悟空による、老君の心配していた旧来の幻想の『変容と喪失』の影響による事件ではなかったが、それ以上に奇怪な話ではある。『猿』という共通項で、日本の戦国安土桃山時代活躍した英雄と、民間信仰されてるはいえ元々通俗小説の登場人物ならぬ登場猿物である悟空が重なり合ってしまったとは。
戦いの場の見当は、相手も同じらしい、距離を置きつつ互いに同じ方向に向かっていけている。
小声でヤマタノオロチさんと意思疎通。悟空さんに聞かれているかどうかしらないが、ここまで互いにぶっちゃけたからには要らぬ心配は無用に思えた。
「右真中のさん、先ほどはお見事」
「完全に君たち自分たちの世界に入ってるんだもん、ほっといても良かったんだけど、つい尾が出ちゃったよ」
「ははは、申し訳ない。失礼ついでに突っ込んだことを聞いてしまいますが、私の制御下にありながら、あれほどの力をふるえたわけですから、見当がついてしまいましたよ。残り七蛇頭、他の方々はどうかしりませんが『右真中の』さんは、とっくに我らと同じ信仰に回心することを承諾していますよね」
「あ、わかっちゃった。どこまでも悪を滅ぼしたいみたいな考えは受け入れようがないけど、皆を良しとしその全てを背負う尊い者を崇めるというのなら、距離はとりつつも仲間としてやってけそうだからさ。己を悪とするか善となるかは、それ長い年月自然に練り上げるものとして、僕は僕でいたいのさ。その僕を否定してくれないでいるならキリスト様とやらに仕えてあげようじゃないか」