ぶっ倒れマルクエン

文字数 977文字

 ヴィシソワも槍と盾を呼び寄せ、地上戦が始まる。

「さぁ、どこからでもどうぞ」

「えぇ、では早速!!」

 マルクエンは青いオーラを身に纏い、ラミッタの戦いを真似て、光の刃を飛ばしてから、同時に自分も突っ込んだ。

 しかし、ヴィシソワは。なんと光の刃を指先で(つま)んで投げ返してきた。

「なっ!?」

 慌てて避けるマルクエン。そんな彼にヴィシソワは言う。

「あなたのこの技も魔法の一種。光魔法のようなものですね」

 マルクエンが驚き、固まる。

「まさかとは思いますが、自分で使っていて知らなかったとでも?」

 図星だ。マルクエンは言い返せずにバツの悪そうな顔をする。

「まぁ良いでしょう。魔法ということは、反射も出来る」

「肝に銘じます……」

「さぁ、お話はここまで。掛かってきなさい!!」

 新調したばかりの剣を振り上げ、マルクエンが駆け出す。

 頭上に剣を構え、振り下ろす一撃に全てを掛けた。

 マルクエンの剣技の一つ、盾割りだ。

 その刃はヴィシソワの盾を確実に捉えていた。だが。

「ほう、これは中々ですね」

 戦場でいくつもの盾を破壊してきたこの技でも、魔力で強化された盾は壊れることもなく。ヴィシソワの手から弾かれる事もなかった。

 驚くことも、落ち込む時間もなく、ヴィシソワが槍を振り回してくる。

 マルクエンは急いで剣を引き寄せ、槍から身を守った。

 ヴィシソワが間合いを取ると、今度は槍で連続突きを繰り出す。

「ぐっ」

 マルクエンはまずいと思った。完全に槍の間合いであり、剣では攻撃が届かない。

 ここで踏み込まずに、あえて更に距離を取り、連続して剣を振るって光の刃を飛ばした。

 何度も弾かれ、避けられするが、マルクエンは螺旋(らせん)状に走りながら光の刃を出す。

 ぐるぐると周りながら、少しずつ距離を詰めるマルクエン。

 剣の届く距離まで近付くと、一気に一歩踏み出して斜めに斬り上げた。

 その一撃も軽々と盾で弾くヴィシソワ。

 だが、マルクエンは諦めずに何度も攻撃を入れた。

 人を遥かに凌駕(りょうが)したスピードで斬って突いて叩きつけて。

 ヴィシソワも弾き避けて盾で防ぐ。

 一瞬の隙もない攻防戦だ。それを10分ほど続けていた時に、急にマルクエンの動きが遅くなり、体に力が入らなくなった。

「なんだ!?」

 カクッと膝が言うことを聞かずに曲がり、地面に突っ伏す。

「魔力切れ、ですね」

 ヴィシソワは槍を突きつけながら言う。
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