サカナを食べると
文字数 802文字
(イラスト:MeKo先生)
魚の腹から臓物が流れ出る。中々に見苦しい光景だ。
「シヘン。毒を探知できるかしら?」
「や、やってみます!!」
シヘンは内臓に手をかざし、毒気の薄い部分を探す。
「あ、これかな……?」
自信なさげにシヘンが手を止めた下にはどの部位かは分からないが、緑色の臓器があった。
「周りと色も違うし、それっぽいわね」
「で、ですが、確証はありません!!」
全神経を集中させたシヘンだったが、自分の腕を信じきれずに言う。
「どのみち、このままじゃ宿敵は危ないわ」
「俺はシヘンさんの腕を信じている」
はぁはぁと息を荒げながらマルクエンは話す。
ラミッタは緑色の臓器を一口サイズに切ってマルクエンの口へ運んだ。
謎の魚から出てきた謎の部位を食べるのは少し抵抗があるが。
「死にたくなかったら食べなさい」
意を決してマルクエンは差し出されたそれを食べた。ねっとりとした食感と、ほのかな甘味が口に広がる。
しばらく様子を見た後、ラミッタが尋ねた。
「どうかしら?」
「意外と美味かった」
「味の感想じゃ無いわよバカ!!」
「そうだな、調子は良くならないが、悪化も止まったって所だ」
それを聞いて皆はホッとする。
「もしかしてッスけど、あの集落の人達も、この魚の毒でやられたんスかね」
「その可能性は高いわね。急いで戻りましょう。宿敵、私の背中に乗って」
「いや、大丈夫だ。自分で歩ける」
そう言って立ち上がろうとするマルクエンにラミッタはデコピンをした。
「無理なのが丸わかりよ。いいから言う事を聞きなさい」
「すまんな、ラミッタ」
自分より何回りも大きいマルクエンを軽く背負ってラミッタは洞窟を抜ける。ラミッタの柔らかな肌の感触が布越しに伝わった。
一行は洞窟の外に置いていた金属を身に着ける。マルクエンの鎧だけは重くなるので一旦放置することにした。
皆で集落まで急ぎ走る。しばらくし、たどり着くと少女が泣きながら待っていた。